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100.トントンテイル!
しおりを挟むここは森の奥の神秘的な泉、花々が咲き、不思議な光が辺りを照らしている。清い泉の水が跳ね、キラキラと輝いてみせた、その美しくも清らかな泉に響き渡る騒音が二つ。
「やだがってなんですかやだがってェッ!?女神権限を女神以外が持ち続けるなんて常識的に考えてあり得ないでしょう!!?」
「常識的に考えるならまず女神権限をただの人間の魂に取られる方があり得ないでしょうが!?アホな仮免の女神より可愛い子豚のとこに来た方がまだマシだって女神権限も考えたんじゃないのー!?」
「ンなわけないでしょう!?勝手に世界の女神の持ち物を盗んでおいて盗人猛々しいにも程があるわこの豚!ぶた!!ブタ!!!!」
「豚しか言えないのかこの和洋折衷仮免女神!なんで上は和装なのに下がスカートなんだよせめてどっちかに統一しろよ!!」
「これは子豚が袴を交換しなかったのが悪い!私の信仰ポイントを勝手に使った挙句この私をブロックなんて愚行をよくもよくもよくもォ!!」
「私が交換した玩具で遊んでたじゃねーかガキ女神ィ!そんなんだからこの世界の文化もしっちゃかめっちゃかになるんだよォ!!」
ギャンギャンキーキープープーピィピィ騒音としか例えようのない言い合いが続き、息が切れたのか時たま静寂が訪れる。周りの木々にも魔獣達にもとても迷惑だろう。
そんな騒音が半刻ほど続いた後、泉に膝をつく一柱と、地面に伏せる一匹の子豚が居た。
「はぁ、らちが、ふへぇ、埒が明かない、ふぅ……こんな、馬鹿な言い合い……」
「ぜぇ、も、ぜぇぜぇ、疲れました、ひぃ……こうなったら、子豚、強硬手段です、強硬手段をとります」
「なに、する気よ」
「かちゅ……刮目せよ!これが神の力である!!」
「今、セリフ噛まなかった?」
やっぱどっか抜けてるわねこの仮免女神、女神にならない方が世のため世界の為じゃないかしら、うっかりで人類滅亡とかたまったもんじゃない。
ガサゴソと袂をまた漁りだす仮免女神、今度は何を取り出す気なの、地球滅亡スイッチ?いやこの世界は地球じゃないか。よっこいと立ち上がり、こらしょと前を向く、コピー人間ならコピー人間でいいから、もう屋敷に帰らせてくれないかしら。
お目当てのものがあったのか、袂からズボッと手を引き抜いた女神が持っていたのは、二つ折りの携帯ゲーム機。真面目に殺されたいのかこの女神。
「見なさい子豚!コレが私が教習所の先生に土下座して貸してもらった『教員用女神権限端末』です!!」
パキョッ!
「いい音して開いたわね二つ折り端末、神の世界は著作権法外だとしても、許されないこともあるのよ女神教習所」
する……
「女神権限は……自分の手で取り返す!」
…………シュキン!
「伸びるタイプのタッチペン?」
「覚悟なさい子豚、仮だとしても女神を軽んじた事を後悔させてあげましょう!!」
もう夜も遅いのに付き合ってらんないわよ、帰ろ帰ろ、さっさと帰って寝ましょ。
くるりと踵を返して、チュートリアのお屋敷までの道を進もうとしたら目の前に棘のあるぶっとい蔦が突然生え始め、道を塞いでしまった。
「退路が塞がれた、だと……!?」
「ふはははははは!どうです、これが女神の手にある女神権限の本当の力!!恐れなさい畏れなさい!そして私に女神権限を早く返すのです卒業試験が受けられないでしょうが!!!!」
「笑い声が完璧な悪役なんだよなァーーッ!!」
「この世界の女神権限の保持者さえ変えて仕舞えばこっちのもの!調伏法・三鈷杵!!」
私だってただ黙って女神権限を取られるわけにはいかない、特にこの仮免女神にだけは権限を渡してはいけないと本能が叫んでいる。
たぶんトントンじゃなくて人間のほうの本能、絶対に碌な事にならない気がする。
蹄を前に突き出し天空(ソラ)に叫ぶ。
「女神権限解放(ステータスオープン)!、beautiful*仮免女神からの侵攻(アクセス)に抗え!!」
そして始まる高度な情報戦、仮免女神と私の間に火花が散り、一柱と一匹の手が指が蹄が激しく動く。
タッチペンと蹄尖が高速で宙を舞い、猛然とそれぞれの端末へと、相手を完膚なきまでに叩き潰す勢いで打ち当て続けた。
カツカツカツカツカツカツカツカツカツ
シャシャシャシャシャシャシャシャシャ
両者一歩も動かず、お互いの女神権限の妨害と世界の主を変更するため、画面を睨め付け一歩も引かぬ戦いを続ける。
カツカツカカッガスッカツカツカツカカカッッ
スシャシャシャビャビャッシュババババッッ
そう、両者一歩もその場を動かずに激しい戦いを繰り広げているのだ、それぞれの画面に向かって魂を削る戦いを……違うな、私のは本体に返したか。
とにかく鎬を削る激しい戦いを繰り広げていると、唐突に女神がタッチペンを湖面に向かって投げ捨てた。
「こんなのやってられるかァッ!!」
ヒュッ!ポチャん……
女神の足元に、タッチペンが入水した際の波紋が広がり、すぐに凪いだ水面に戻った。
「私は今からボタン入力で戦わせて貰う!」
ガチガチガチガチガチャチャチャゴチガチャチャ
馬鹿め、無理なボタン入力は端末の寿命を縮めるだけということが分からないのかあの仮免女神……!子供がするみたいなその無駄な連打で、世界中で星の数ほどの入力ボタンが御臨終なされたんだぞ……!!
私はそんな愚行は犯さない、ただ必要な入力のみを実行するだけ!女神権限には守護神が居る、あの全てを粉砕する守護神が!!
「私の敵の全てを粉砕せよ!長柄玄翁(ウイルスクラッシャー)!!」
シュババビバッッッッ……!
「なんの、私の世界を作りたもれ!天沼矛!!」
ガチョチャゴチャッッッ……!
天下無敵の長柄玄翁(ウイルスクラッシャー)が敗れた、だと……!?トンちゃんはその場に膝をついた、正確に言うと、お腹と顎を地面に付けた。
私の目の前に浮かぶ女神権限(ステータス)の画面には、[不正なアクセスはありません]の文字。その薄緑で半透明な画面の向こう側には、二つ折りゲーム機片手に勝ち誇った表情の女神が仁王立ちをしている。ムカつく。
「どうです子豚、所詮貴女は人間の小娘、教習所の講習を受けた本物の女神には勝てないのですよ」
「くっ……、ここまでなのか……ッ!」
「さぁ観念して、『子豚が全て悪うございました、この世界を統べる麗しくも美しく知性溢れる女神様に逆らった事がそもそもの間違いでございました、女神様のその御手で御造りになった七色に輝く神々しい探索機(スライム)をこの卑しい口で貪り食った事も深くお詫び致します』」
「あの虹色ゲーミングスライム探索機だったんかい……ッ!」
「『つきましては子豚の最初の贖罪として、慈悲深く聡明で愛しみの心に満ちた女神様に、矮小で愚鈍で食べるしか能のない子豚は、この世界の女神権限をお返ししたく存じます』と鳴くのです!さあ!はやく!!」
まだだ、子豚はこのまま終わるわけにはいかないのだ、なにか、なにか手はないのか!?
この仮免相手にピィキュゥ惨めったらしく鳴くのは止めだ、最後まで、お腹が空いて倒れるまで戦うんだ!地面から顔を上げ踏ん張り直し、必死に女神権限の画面を凝視する。
策を練れ、思考を止めるな、この仮免女神には何が一番効くのだろうか、この世界の女神権限で何ができるのか、この世界の……?そうだ!!
「この世界の女神権限は私が持っている!」
「ですからそれを返せと何度も言っているでしょう、というか元々私のですし、女神権限って名前ですし、ステとか変な名前で呼ばないでいただけます?」
「これが私の持つ女神権限(ステータス)の必殺技!ヘイステ!!」
ピロンッ
「この状況下でまだ足掻くとは、たかだか齢十数年の人間だとしても、中々楽しめましたね、ですが本物の世界の女神にはどうやっても勝てな」
「beautiful*女神をこの世界からログアウトさせて!!!!!!」
「それはやめろ子豚ァァア!!!!?!?」
女神の口から悲鳴が上がり、私の方へと手を伸ばす、この世界の女神権限は私の手の中、いや、蹄の中にある、この世界の女神の力は、この"トンちゃん"の物なのよ!!
蹄を振り上げ、ステの画面に出てきた実行ボタンへ、勢いよく振り抜いた。
[ ゲスト: beautiful*女神 の 強制ログアウト
準備が完了しました 実行しますか?
【実行】 【キャンセル】 ]
「じッこうッッッ!!!!」
ブッ…ザザッ……!
「あ、ぁあ、なんて、なんてことを、こぶた、なんてことを…………っ!」
「これで終わりよ仮免自堕落欲深女神!!」
「ぁぁあああ゛……ッ゛」
泉の中でふらついた女神は、怨霊にも負けない顔色と、悪魔にも勝てる顔面の歪ませ方で、古の世界の神々にも劣らないおどろおどろしさを纏い、血走った目玉をギョロつかせ……ほんとにこいつ女神なのか?邪神ではなく??
そんな邪心女神とは対照的な神々しい光が、泉から溢れいでてくる。天に手をかざし、最後の言葉を叫び泉へと沈んでいくこの世界の自称女神。
「私の卒検がァァァァァァァアア゛ア゛ア゛!!!!!!!!!!!!!!!!」
光がどんどん強く、眩しくなっていき、トンちゃんは耐えられずに目を瞑ってしまった。お目々痛い、あとうるさい。
暫く女神の最後の絶叫が森にこだましていたが、それも聞こえなくなり、瞼を刺す強い光も無くなったようなのでそっと目を開ける。
いつのまにかお空は明るくなっていて、辺りはただの泉がある静かな森の広場になっていた。
勝った?私、仮免邪神に勝ったの……??その場で呆然と立ち尽くしていたら、背後で茂みがガサガサと揺れる音。振り返ると、リリーが草木を掻き分けて広場に出てくる所だった。
「トンちゃん、今日、野いちごとり行こうねって言ったけど、こんな朝早くからとりに来なくてもいいんだよ?」
「ぴぴー(リリー)」
「朝起きたらトンちゃんがちぐらに居なくて探しちゃった……トンちゃんが光り始めた!!?」
「ぴっ?ぷぴぴきゃきゃぴ?ぴにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!!(えっ?あの女神倒すと発光出来るようになるの?やだやだやだやだ!!)」
「う゛っ、眩しいよトンちゃん!なんで光るの!?変なの食べた!!?」
ゲーミングスライムといい泉の水といい光らせんの大好きだなあの仮免女神!いやだ私光りたくないこのままじゃ幸運の金の子豚じゃなくて不運な光る子豚になっちゃう!!
泉を覗き込むと身体がさっき強制ログアウトさせた女神の足元並みに光っている、こんな光る子豚自然に生息してるわけが……私、魔獣だな?
「ぷにゃぴぷぷぴきゃきゃーきゃぴゃ!!?(つまり進化するってこと!!?)」
「トンちゃん!?なんにも見えないよトンちゃん!!?」
長かった……進化まで長かった……スライムを食べ続けた丸一年、女神の探索機だって先に伝えて欲しかったレベルめちゃ上がった七色スライムを探した時間、仮免女神と醜い言い争いをした汚点。
全てが無駄じゃなかった、私、やっと、やっと進化出来るのね、やっとこの身体から進化出来るのね、だって最終進化できるくらいレベルは上がってるもんね。
不思議な温かさが身体の中からほわほわと湧いてくる、そっと目を閉じ、温かさが胸の中心から尻尾の先まで伝わり終わるのを、静かに待った。
目の前には綺麗な泉、吸い寄せられるように湖面に顔を近づけて、泉のほとりに立ちつくす。キラキラと日の光を反射させる静謐な水面を覗き込むと、優しい薄桃色が自分と合わせて動いた。
「ぷぴぴ……ぷきき………………?(これが……私………………?)」
「ぷきぷぷきゃっぴぴゃーきゃん!!!!!!!(なんも変わってねーじゃん!!!!!!!)」
ドバッシャァァァァァ……!!早朝の泉にどデカイ水飛沫が立つ、日の光に煌くそれは周りの草や木々を濡らして一層泉の周りを美しく飾った。
その真ん中でぴこぴこと耳を激しく動かし、しっとりと濡れたピンク色の鼻をぷひぷひと鳴らしながらぴぎー!!と鳴き声を上げる。
「ぷぴきゅーきゃ!?ぷぷぱぴきゃぴぃき!!?PAPYU pigyu!!!?(どこ進化!?豚魔女ボディは!!?WHY pig!!!!?)」
───トントン。
見まごうことなき、豚型魔獣。右後方を見ても左後方を見ても、顔を下にして足の間を覗き込んでも顔を覆ってしゃがんでるリリーしか居ない。変わらぬ景色と変わらぬ湖面の自分に引き続き鳴き叫んだ。
「ぷぴぷぴぷぴぷぴぷぴ!?ぴきゃんきゃ!?ぷぽぉプゥパピピピパプゥパァァァァア!!?ピギャ!プピャァピッピキャぴぎぎぴぷへいき、ギャギィギャァ!!!!(いやいやいやいやいや!?何で変わらん!?私ナンデヒトガタナンデェェェェエ!!?何故!クライマックス後は流石に人型進化だろ!!!!)」
「トンちゃーん、眩しいの終わった?もうリリーお目々開けていいーー??」
両頰を蹄で引っ張っても残念ながら愛くるしい子豚ボディは変わらないかったらしい、慣れてしまった身体で全力でブリッジを決め、ぷきょー!!と一際大きく鳴くとリリーが駆け寄ってきた。
「ぷぷびゃびゃぴぃぴょき!キョキャピキャぷぷきぴぃきぴきぷっぷきキャキャきょきゃぴゃぶーぴびゃビョビャァ!!?ぴぃき!!?ぴきょきょぴゃぷぷぴぴぷぴぃー!!?(どこが進化したんだよ!確かに二段進化だけど最終進化にレベルは足りてる筈でしょこんなのおかしいって!!?なんで!!?今からもう一個上げなきゃダメ!!?)」
「大丈夫?どこも怪我したりしてない?変なの食べてない?オエって吐いたりしない??……あ!」
「ぷぴきぴぴー、ぶぷひーぴぴひーぴぃ……(なによリリー、次のレベルに必要な経験値は……)」
「トンちゃん!尻尾がふた巻きになってる!!」
───進化して変わるの、そこだけ?
「ぷぉぴぴぃぃぃぃぃい!!?!?(どぉしてぇぇぇぇぇえ!!?!?)」
トントンテイル。これは、ある豚型魔獣の一個体である“トンちゃん”に人格と記憶を複製され、転生したのだと勘違いした女の子と、そんな"トンちゃん"と一緒に日々を過ごしていく異世界の女の子の物語。
これからも、きっと続いていくだろう。
_人人人人人人人人人人人_
> トントンテイル!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
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