独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん

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最強な不良くんの溺愛

最強な不良さんの溺愛はやまない

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 ――キーンコーンカーンコーン、と音が鳴り響く。

 んーっ、授業終わったぁっ……。

 シャーペンをペンケースに直し、ぐーっと腕を伸ばす。

 だけどそんな、ゆっくりしてられないっ。

 ……というか、ゆっくりしたくない。

 すぐに椅子から立ち上がり、必要な教材をスクールバッグに詰める。

「和凜。」

「あっ、絆那さんっ……!」

 カチッとボタンを止めた時、扉から最愛の人の声が聞こえてきた。

 急いで向かい、えへへっと微笑む。

 会えるだけで、こんなに嬉しくなるなんてっ……。

 実を言うと、結構寂しくなってたりした。

 たったの数時間なのにって思われるかもしれないけど、あんまり離れたくない。

 けどこうして今会えたから、寂しさが吹っ飛んでどこかに行ってしまった。

「美月ちゃん、また明日!」

「うん、気を付けてね。バイバイッ。」

 いつものように手を振り返し、美月ちゃんと別れる。

「よし、帰ろうか。」

 言われたと同時に、ぎゅっと繋がれる手。

 絆那さんの手は大きいから、私の手はすぐ絆那さんの手の体温に包まれてしまう。

 それが、私にとってはすごく幸せだ。

「はい、行きましょうっ。」

 ふふっと微笑んで、絆那さんのほうを向く。

 すると絆那さんも同じように柔らかい笑みを浮かべ、空いているほうの手で私の頭を撫でてくれた。



 学校を出て、無事帰路につく。

 夕方と言うこともあり、辺りに影の数が多くなってきていた。

 そんな黄昏の中、大好きな人と手を繋いで歩いている。

 ……なんて意識すると、瞬く間に恥ずかしくなってきてしまった。

 し、心臓がうるさいっ……!

 ドキドキと高鳴る心臓はそう簡単に止んでくれず、何度も深呼吸を繰り返してしまう。

 それでも、恥ずかしさは抑えられない。

「き、絆那さん!」

「どうした?」

 恥ずかしさから逃れたくて、絆那さんを呼ぶ。

 だけど、何を言うかなんて決まっていない。

 そのせいで足を止めてしまい、もごもごと口を動かしてしまう。

 な、何を言うかは考えてからのほうが良かったよねっ……。

 後悔先経たずとは、きっとこういうことを言うんだろう。

「和凜……顔、真っ赤なんだが。」

 そう言った絆那さんは、何やら感じ取った様子で続けて口にした。

「もしかして……照れてるのか?」

 ず、図星っ……。

 どうして、こうも私は分かりやすいんだろうか。

 と思うも、嘘を吐いても仕方ないから頷くしかない。

 こくりと首を縦に振り、絆那さんから逃げるように視線を逸らす。

「和凜。」

 甘い声が、私の耳に届く。

 深く残って、溶けていってしまいそうな声。

「き、絆那さん……!」

「少しだけだ。誰もいないから安心しろ。」

 私の手に指を絡ませ、手の甲にキスを落としてから緩く抱きしめてくる絆那さん。

 それが何よりも心地よくて、身を委ねてしまいそうになる。

 でも次の、とんでもない絆那さんの言葉で変な声を出してしまった。

「今度は家で甘やかすぞ、覚悟しておいてくれ。」

「ほへっ……?」

 どういうことですかと聞こうとしても、思うように声が出ない。

 絆那さんの腕は離れていったのに、まだ熱が残っていてそれは離れない。

 代わりに再び握られた手は、瞬時に指を絡められて。

 恋人繋ぎともいえる繋ぎ方に私は再びドキドキしながら、この幸せを噛み締めて。

「大好きです、絆那さん。」

「……俺も大好きだ。」

 沈んでいく夕日と共に、ふっと微笑み合った。

 【FIN】
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