4 / 33
序章
4 突然の別れ
しおりを挟む
この城に来て何年間過ぎたようだ。
俺はとある国の王女に飼われたようだ。
「外に出してあげたいけど逃げちゃうから出せないの…ごめんね」
ナディアは籠越しに口付けをする。
——む、む、むッ、可愛いーーッ!!
俺様はほんのり桜色のナディアの口唇にドキッとする。
当初、籠の中の環境に苛立ちはしたが、籠の外に出してしまった先代の鳥ピピに対して後悔と悲しみを引き摺るナディアを想うと不安にさせたくなくて籠の生活を許容していた。
二人で過ごす毎日は心地よい甘い雰囲気がなんとも言えず俺様は今日も大人しく籠の中にいる。
——俺は外に出ても逃げない…
おまえの傍にいるのに…
「ピッ、ピッ」
しかし、彼女には俺様の言葉は届かない…このもどかしさに少し悲しくなる。
「どうしたの?ピピ?」
鈴が鳴るような可愛い声で呼び掛け、彼女の白く、美しい指が籠の中に入ってきた。俺はナディアの人差し指をパクっと甘噛みする。
「ふふ、くすぐったいわ」
ナディアの葵色の瞳を細くさせ、俺に微笑む。
ドキッ、ドキッ、ドキッ
どうして、胸が高鳴るだろう…
籠に顔を近づけ俺をよく見ようとするとナディアの桃色の長い髪が一房、前に流れ落ちる。
ふわっ
甘いナディアのいい匂いがする。
「ピッ~~ピッ!(いい匂い~はっ!嗅いでないから!)」
俺は焦りながら翼をバタバタさせて木の枝を右往左往をする。
「ピピ、可愛いわ!踊りを見せてくれているのね!上手よ!」
ナディアーナも感化されたように、一緒に歌いながら広い部屋を舞い始めた。
——美しい…
白い絹のドレスを靡かせて踊る彼女は天女なのではないかと思う、美しく奏でる歌を俺は籠にしがみつき聞き惚れていた。
◇◇◇
とある夜更け、
ドカーンッ!!?
遠くの方から爆撃音がすると城内が騒ぎ出す。
「zzz~」
俺は鳥籠の中ですやすやと深い眠りについていると部屋の中が突然明るくなり侍女の慌てた声がする。
「姫様!敵襲でございます!お逃げください!」
「敵襲?!」
部屋の中は騒がしくなり身支度を整えたナディアは部屋を出ようとするがハッとなり窓を開く。そして、眠っている俺を籠から出すと優しく手で包みこむ。
「ピピ、突然だけどお別れよ…」
ナディアはうるっと涙を瞳に溜めながら、俺に頭に口付けを落し、
「さぁ、自由に旅立ちなさい」
窓から俺を投げ捨てた。
「ピッ……ピイーッ!!!」
俺はとある国の王女に飼われたようだ。
「外に出してあげたいけど逃げちゃうから出せないの…ごめんね」
ナディアは籠越しに口付けをする。
——む、む、むッ、可愛いーーッ!!
俺様はほんのり桜色のナディアの口唇にドキッとする。
当初、籠の中の環境に苛立ちはしたが、籠の外に出してしまった先代の鳥ピピに対して後悔と悲しみを引き摺るナディアを想うと不安にさせたくなくて籠の生活を許容していた。
二人で過ごす毎日は心地よい甘い雰囲気がなんとも言えず俺様は今日も大人しく籠の中にいる。
——俺は外に出ても逃げない…
おまえの傍にいるのに…
「ピッ、ピッ」
しかし、彼女には俺様の言葉は届かない…このもどかしさに少し悲しくなる。
「どうしたの?ピピ?」
鈴が鳴るような可愛い声で呼び掛け、彼女の白く、美しい指が籠の中に入ってきた。俺はナディアの人差し指をパクっと甘噛みする。
「ふふ、くすぐったいわ」
ナディアの葵色の瞳を細くさせ、俺に微笑む。
ドキッ、ドキッ、ドキッ
どうして、胸が高鳴るだろう…
籠に顔を近づけ俺をよく見ようとするとナディアの桃色の長い髪が一房、前に流れ落ちる。
ふわっ
甘いナディアのいい匂いがする。
「ピッ~~ピッ!(いい匂い~はっ!嗅いでないから!)」
俺は焦りながら翼をバタバタさせて木の枝を右往左往をする。
「ピピ、可愛いわ!踊りを見せてくれているのね!上手よ!」
ナディアーナも感化されたように、一緒に歌いながら広い部屋を舞い始めた。
——美しい…
白い絹のドレスを靡かせて踊る彼女は天女なのではないかと思う、美しく奏でる歌を俺は籠にしがみつき聞き惚れていた。
◇◇◇
とある夜更け、
ドカーンッ!!?
遠くの方から爆撃音がすると城内が騒ぎ出す。
「zzz~」
俺は鳥籠の中ですやすやと深い眠りについていると部屋の中が突然明るくなり侍女の慌てた声がする。
「姫様!敵襲でございます!お逃げください!」
「敵襲?!」
部屋の中は騒がしくなり身支度を整えたナディアは部屋を出ようとするがハッとなり窓を開く。そして、眠っている俺を籠から出すと優しく手で包みこむ。
「ピピ、突然だけどお別れよ…」
ナディアはうるっと涙を瞳に溜めながら、俺に頭に口付けを落し、
「さぁ、自由に旅立ちなさい」
窓から俺を投げ捨てた。
「ピッ……ピイーッ!!!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!
キムチ鍋
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。
だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。
「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」
そこからいろいろな人に愛されていく。
作者のキムチ鍋です!
不定期で投稿していきます‼️
19時投稿です‼️
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
辺境伯の溺愛が重すぎます~追放された薬師見習いは、領主様に囲われています~
深山きらら
恋愛
王都の薬師ギルドで見習いとして働いていたアディは、先輩の陰謀により濡れ衣を着せられ追放される。絶望の中、辺境の森で魔獣に襲われた彼女を救ったのは、「氷の辺境伯」と呼ばれるルーファスだった。彼女の才能を見抜いたルーファスは、アディを専属薬師として雇用する。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
湊一桜
恋愛
王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。
森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。
オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。
行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。
そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。
※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる