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第1章 再会
1 愛き姫との再会
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「紅色のカナリヤじゃないか!」
俺は重い頭をフリフリと振りながら突然明るくなった世界に驚く。
——ここは……
俺はナディアの傍にいたはずなのに夜が明けて朝になっていた。キョロキョロ見渡してもナディアや塔、城の姿はなく、昔、罠にかかった狩人の男に身体を掴まれていた。
——あの時のおっさん?!
「なかなか可愛い鳥だな。
よし、よし。鑑賞鳥として城に献上しよう!いい値になるぞ~」
——えっ……
戸惑いながら俺はあの時のように森を抜け、村々を通り、人がたくさんいる賑やか街に来た。そして、見覚えのある大きな城に戻ってきた。
身なりが子綺麗な男に手渡され、煌びやか空間へと入っていく。
——もしかして時が戻ってたのか?!
男は玉座に座る男に俺様が見えるように籠を持ち上げた。
「王様、カナリヤを献上致します」
「ほほぉ、綺麗な紅色の鳥だ。ナディアも喜ぶに違いない」
——ナディア?!
俺は召使いの手に渡り、見覚えのある廊下を通り彼女の部屋に向かっているようだ。
ドキッ……ドキッ
——これは夢なのか?
身体を嘴で突くが痛みを感じる。どうやら夢ではないようだ。
ガチャリと扉が開き、部屋に入ると果実のような甘い桃の匂いが漂って来る。
「まぁ、なんて可愛い鳥さん!」
桃色の美しい髪を揺らしながら、曇りのない大きな葵色の瞳の幼いナディアがにこりと嬉しいそうに俺を見た。
——俺は戻ってきた
「ナディア……生きている…」
俺が呟くとナディアと侍女が目を見開いた。
「姫様!おしゃべりが出来る鳥ですわ」
「本当ね、サーヤ!」
俺の瞳からポロポロと涙が次々に溢れる。
「ナディアが生きてる…うっ、うっ」
「姫様の名をどうして知っているのでしょうか?」
「お父様が教えたのよ!でも鳥さんは何故泣いているのかしら?」
「わぁーんッ!!」
俺は大泣きすると身体中の力が一気に暴走を始める。
バンッ!!
「キャアッ!」
「姫様」
籠が壊れた衝撃に驚き、ナディアと侍女がぽんっと床に尻餅をつく。
木の枝に掴まっていた足の感触はなくなり久しぶりに足が地につく。
手や身体をみると久しぶりに人の擬態へと戻ることが出来たようだ。
「神様の封印が解けた…」
俺が呆然と立ち尽くしているとナディアと侍女が両手で顔を隠して「ギャァーーッ!」と叫び始めた。
俺は重い頭をフリフリと振りながら突然明るくなった世界に驚く。
——ここは……
俺はナディアの傍にいたはずなのに夜が明けて朝になっていた。キョロキョロ見渡してもナディアや塔、城の姿はなく、昔、罠にかかった狩人の男に身体を掴まれていた。
——あの時のおっさん?!
「なかなか可愛い鳥だな。
よし、よし。鑑賞鳥として城に献上しよう!いい値になるぞ~」
——えっ……
戸惑いながら俺はあの時のように森を抜け、村々を通り、人がたくさんいる賑やか街に来た。そして、見覚えのある大きな城に戻ってきた。
身なりが子綺麗な男に手渡され、煌びやか空間へと入っていく。
——もしかして時が戻ってたのか?!
男は玉座に座る男に俺様が見えるように籠を持ち上げた。
「王様、カナリヤを献上致します」
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——ナディア?!
俺は召使いの手に渡り、見覚えのある廊下を通り彼女の部屋に向かっているようだ。
ドキッ……ドキッ
——これは夢なのか?
身体を嘴で突くが痛みを感じる。どうやら夢ではないようだ。
ガチャリと扉が開き、部屋に入ると果実のような甘い桃の匂いが漂って来る。
「まぁ、なんて可愛い鳥さん!」
桃色の美しい髪を揺らしながら、曇りのない大きな葵色の瞳の幼いナディアがにこりと嬉しいそうに俺を見た。
——俺は戻ってきた
「ナディア……生きている…」
俺が呟くとナディアと侍女が目を見開いた。
「姫様!おしゃべりが出来る鳥ですわ」
「本当ね、サーヤ!」
俺の瞳からポロポロと涙が次々に溢れる。
「ナディアが生きてる…うっ、うっ」
「姫様の名をどうして知っているのでしょうか?」
「お父様が教えたのよ!でも鳥さんは何故泣いているのかしら?」
「わぁーんッ!!」
俺は大泣きすると身体中の力が一気に暴走を始める。
バンッ!!
「キャアッ!」
「姫様」
籠が壊れた衝撃に驚き、ナディアと侍女がぽんっと床に尻餅をつく。
木の枝に掴まっていた足の感触はなくなり久しぶりに足が地につく。
手や身体をみると久しぶりに人の擬態へと戻ることが出来たようだ。
「神様の封印が解けた…」
俺が呆然と立ち尽くしているとナディアと侍女が両手で顔を隠して「ギャァーーッ!」と叫び始めた。
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