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こんな能力いらない……。
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異世界に飛ばされるとチート能力が授与されるのはよくある話。
もれなく異世界に飛ばされた俺が賜った無敵の能力。
そう、この世界ではかなりチートで無敵の能力なのだ。
なのだが……。
「もうヤダ……こんな能力いらない……。」
救った村からたくさんの感謝と報酬をもらったはいいが、俺の足取りは重い。
両手で顔を覆い、しくしく泣きながら歩く。
そんな俺に活を入れるように蹴りが飛ぶ。
「痛い!何するんだ!!」
「オメェがうじうじしてんからだろうが!!」
涙目で睨みつけた先には、赤茶けたボサボサ頭の子供がいた。
この口が悪くて乱暴者の子供は俺のツレだ。
俺がこの世界に落ちてきた時、何だかんだ文句と悪態をつきながらも面倒を見てくれた浮浪児だ。
今は俺の稼ぎで身なりもそれなりには整ってきたが、三つ子の魂なんとやら、その性格は直らないようだ。
生まれててこの方、ストリートチルドレンだった彼には名前がなかった。
何となく昔読んだ童話の登場人物を彷彿とさせたので、俺は彼を「ハック」と呼んでいた。
「そんな事言っても!!精神ダメージがデカイんだよ!!俺の能力は!!」
「知るか!!楽して稼げてまともなおまんま食えるんだから贅沢言うんじゃねぇ!!」
「も~無理ぃ~!早くなんとかしてくれ!!」
「はぁ?!全く贅沢な奴だな?!普通はそんな能力を授かる事なんてねぇってのに……。」
「だからハックにあげるって言ってんじゃん!!」
「まぁ……貰えるもんはもらうけどな。」
ハックは心底呆れたようにため息をついた。
そんな白い目で見られたって、俺はいらないんだよ!こんな能力!!
そう、俺は自分の能力が嫌いだ。
いや嫌いというか……恥ずかしくて仕方がないのだ。
とてもじゃないが使いたくない。
だがこの世界でこの能力はかなり使える。
今のところ無敵と言える能力だ。
しかし俺はこの能力が嫌でしかたなく、この世界の聖地、霊峰フヨウホウにある神殿で能力の譲渡ができるという噂を聞きそこに向かっているのだ。
この世界の事を知らない俺は、何かとお世話になったハックに能力を譲る代わりにそこまで道案内をしてもらう事になったのだ。
「……世界神に祝福をもらうだけでもスゲェー事なのに……しかもこんな稀な能力をもらったってのに文句つけやがって……馬鹿じゃないか?!お前?!」
「アレをやらなきゃならない俺の身になってみろ!!ハックだって嫌になるぞ?!」
「別に普通じゃね?あれぐらい??」
「とにかく!俺は無理!!」
「あ~はいはい。」
ハックは相手にしても無駄だとばかりに適当な返事をしてきた。
くそう……なんでわからないんだよ……。
俺はそう嘆きながら深々とため息をついたのだった。
もれなく異世界に飛ばされた俺が賜った無敵の能力。
そう、この世界ではかなりチートで無敵の能力なのだ。
なのだが……。
「もうヤダ……こんな能力いらない……。」
救った村からたくさんの感謝と報酬をもらったはいいが、俺の足取りは重い。
両手で顔を覆い、しくしく泣きながら歩く。
そんな俺に活を入れるように蹴りが飛ぶ。
「痛い!何するんだ!!」
「オメェがうじうじしてんからだろうが!!」
涙目で睨みつけた先には、赤茶けたボサボサ頭の子供がいた。
この口が悪くて乱暴者の子供は俺のツレだ。
俺がこの世界に落ちてきた時、何だかんだ文句と悪態をつきながらも面倒を見てくれた浮浪児だ。
今は俺の稼ぎで身なりもそれなりには整ってきたが、三つ子の魂なんとやら、その性格は直らないようだ。
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「そんな事言っても!!精神ダメージがデカイんだよ!!俺の能力は!!」
「知るか!!楽して稼げてまともなおまんま食えるんだから贅沢言うんじゃねぇ!!」
「も~無理ぃ~!早くなんとかしてくれ!!」
「はぁ?!全く贅沢な奴だな?!普通はそんな能力を授かる事なんてねぇってのに……。」
「だからハックにあげるって言ってんじゃん!!」
「まぁ……貰えるもんはもらうけどな。」
ハックは心底呆れたようにため息をついた。
そんな白い目で見られたって、俺はいらないんだよ!こんな能力!!
そう、俺は自分の能力が嫌いだ。
いや嫌いというか……恥ずかしくて仕方がないのだ。
とてもじゃないが使いたくない。
だがこの世界でこの能力はかなり使える。
今のところ無敵と言える能力だ。
しかし俺はこの能力が嫌でしかたなく、この世界の聖地、霊峰フヨウホウにある神殿で能力の譲渡ができるという噂を聞きそこに向かっているのだ。
この世界の事を知らない俺は、何かとお世話になったハックに能力を譲る代わりにそこまで道案内をしてもらう事になったのだ。
「……世界神に祝福をもらうだけでもスゲェー事なのに……しかもこんな稀な能力をもらったってのに文句つけやがって……馬鹿じゃないか?!お前?!」
「アレをやらなきゃならない俺の身になってみろ!!ハックだって嫌になるぞ?!」
「別に普通じゃね?あれぐらい??」
「とにかく!俺は無理!!」
「あ~はいはい。」
ハックは相手にしても無駄だとばかりに適当な返事をしてきた。
くそう……なんでわからないんだよ……。
俺はそう嘆きながら深々とため息をついたのだった。
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