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第3章 いざ王都へ!!
第4話 キャッスルオブエルファスタ
しおりを挟む「すごいね……」
ガラガラと馬車の揺れる音と共に見慣れぬ景色がそこにあった。
エミリアが感嘆の声を上げるのは無理からぬことである。
小高い丘を通る移動の先に見える高くそびえ立つ城壁。
その城壁は何重にも囲われており、中央に位置した高い石造りの城がこの国の象徴であり魔導王国【エルファラント】の王城、【キャッスルオブエルファスタ】である。
「「今までとは景色が違って見えるね……」」
自分たちの馬車から身を乗り出してそう漏らしたのは、双子のセインとケインだった。
二人も王都は初めてだったようで、目をキラキラとさせていた。
「見てみて!!高い壁!!」
ルーズハルトの馬車でも一人うきうきとしていた人物がいた。
エミリアだ。
エミリアもケインたちと同様に馬車から身を乗り出し、城壁を指さしていた。
ルーズハルトはそんなエミリアを諫めようとしたが、エルモンドはあまり気にした様子はなかった。
「あれが第一防壁だよ。あそこからが王都だという目印だね。」
馬車が通る街道が城壁のそばを走行していた。
街道はきれいに整備され、石畳がきれいに敷き詰められていた。
しかも段差なく作れらているのか、揺れはさほど感じない程であった。
エルモンドの説明に身体を乗り出させ、上を見上げたルーズハルトたち。
だが、見上げた先にあるのは高い城壁とその途切れた先にある、雲一つない青い空だけだった。
同じように身を乗り出していた、ケインたちは馬車の脇を馬にまたがっていたマクスウェルに注意をされているようだった。
【赤の隔壁】の馬車から漏れ聞こえる笑い声に、少しだけうらやましいなと思ったルーズハルトであった。
「やあ、トーマス。今日は君が立ち番だったのかい。」
城壁の先に3本の街道が交わる場所があった。
そこには城壁内に入るための大門が設置されていた。
門には行列ができており、順次検査を受けているようであった。
その列もいくつかに分かれており、左から貴族用、騎士用、商人用、一般人用となっているようであった。
特に商人・一般人用の検査は厳しく行われており、不審物・不審者の侵入を許さないという態度がうかがわれた。
ルーズハルトたち一行は商人用の列にならび、しばし時間が流れた。
やっとハウエル商会の番となり、門番をしていた衛兵のトーマスにエルモンドは気さくに話しかけていた。
「ん?ハウエル商会のエルモンドじゃないか。久しぶりだな。お前が来るなんて何ヶ月ぶりだ?」
一瞬怪訝な顔をしていたトーマスも声の主がエルモンドとわかるや否や、厳格な態度が一転して和やかな雰囲気となっていた。
「確か議会の時だから半年にはなるな。」
「もうそんなになるか。っとそれより仕事仕事。通行はこれで全部か?」
懐かしむ会話をそこそこに仕事に取り掛かるトーマス。
部下と思われる衛兵が数人ハウエル商会の隊列に検査に入った。
この辺は知り合いだからと言って手を抜かないのはさすがと言えるだろう。
「じゃあ、ハウエル商会さんは通行書を。冒険者はライセンスカードかタグを出して……」
トーマスの指示にしたがいエルモンドは商会用の通行書を、マクスウェルたちは冒険者ギルドのライセンスカードを提示して見せた。
「はいいいよ。それじゃあわかってると思うけど、ハウエル商会さんは第2防壁まで、冒険者は……っと、ちょっと待って確認が必要だね。」
トーマスは通行書をエルモンドに返し、ライセンスカードを確認していると、リック達のライセンスカードを見て一瞬止まってしまった。隣にいたもう一人の衛兵に何かを確認すると、その衛兵は門の中に入っていった。
マクスウェルたちはなんとなく察していたが、リック達は何事かと思い不安がもろに表に出ていた。
そんなリック達を見てマクスウェルはまだまだだなと少しだけ肩を竦めていたのだった。
「お持たせ。君たちも第2防壁の通行が許可されたよ。良かったな新人君たち。彼ら【赤の隔壁】の弟子じゃなかったら第一防壁までだったよ。」
その言葉で事態を理解できたのか、安堵の表情を浮かべるリック達。
トーマスの注意に少し浮かれ気味だった気持ちを引き締めたのだった。
「それじゃあわかってるとおもうけど、問題は起こさないようにな。」
トーマスはリック達に再度言い聞かせるように言葉をかけた。
そして最後にルーズハルトたち3人に顔を向けると、爽やかに声をかける。
「それから、ようこそ未来の宝たち。我等が王都は君たちを歓迎する!!しっかり励めよ!!」
「「「はい!!」」」
トーマスの言葉にルーズハルトたちは元気良く変えす。
改めて王都へ来たのだとルーズハルトたちは実感したのだった。
「それじゃあハウエルさん。俺たちは一度冒険者ギルドに中間報告してきます。後ほど商会館に顔を出します。」
王都内第一防壁を抜けた先の大通りでマクスウェルたちとは別れることになった。
冒険者ギルドが第一防壁内にあるためである。
そして依頼自体がここまでということでもある。
「ありがとう。帰りもまた頼むよ」
エルモンドはマクスウェルたちと順番に握手を交わしていた。
緊張した面持ちでリック達もエルモンドと握手を交わす。
そんな様子にエルモンドは何かほほえましくも懐かしさを感じていた。
【赤の隔壁】との最初の依頼を思い出していたのだった。
「では。」
口数少なくサウザーが別れを告げると、今にも泣きだしそうな人物がそばにいた。
エミリアとルリの二人である。
二人は旅の途中に意気投合したらしく、事ある毎に一緒に話をしていた。
「またねエミーちゃん……」
「バイバイお姉ちゃんたち!!」
エミリアの元気な声に感極まったのか、ついに辛抱できなくなったルリはその脚力にものを言わせてエミリアに抱き着くと、もう離さないとばかりに強く抱きしめていた。
「お持ち帰りしたい~!!」
「はいはい、行くわよ」
マクスウェルたちは数人がかりでルリを引き離し、ヤルラがずるずると引きずっていく。
なんともしまりの悪い別れとなってしまった。
「うん、凄い人たちだね……」
「そうだね……」
いろんな意味で嵐のような冒険者たちだと思い、言葉に詰まるルーズハルトたちなのであった。
「それじゃあ、私達も向かうとしよう。行くぞお前たち!!」
そしてそんな空気をものともせずに、エルモンドの号令がかかり、一斉に従業員たちは動き始めたのだった。
ガラガラと馬車の揺れる音と共に見慣れぬ景色がそこにあった。
エミリアが感嘆の声を上げるのは無理からぬことである。
小高い丘を通る移動の先に見える高くそびえ立つ城壁。
その城壁は何重にも囲われており、中央に位置した高い石造りの城がこの国の象徴であり魔導王国【エルファラント】の王城、【キャッスルオブエルファスタ】である。
「「今までとは景色が違って見えるね……」」
自分たちの馬車から身を乗り出してそう漏らしたのは、双子のセインとケインだった。
二人も王都は初めてだったようで、目をキラキラとさせていた。
「見てみて!!高い壁!!」
ルーズハルトの馬車でも一人うきうきとしていた人物がいた。
エミリアだ。
エミリアもケインたちと同様に馬車から身を乗り出し、城壁を指さしていた。
ルーズハルトはそんなエミリアを諫めようとしたが、エルモンドはあまり気にした様子はなかった。
「あれが第一防壁だよ。あそこからが王都だという目印だね。」
馬車が通る街道が城壁のそばを走行していた。
街道はきれいに整備され、石畳がきれいに敷き詰められていた。
しかも段差なく作れらているのか、揺れはさほど感じない程であった。
エルモンドの説明に身体を乗り出させ、上を見上げたルーズハルトたち。
だが、見上げた先にあるのは高い城壁とその途切れた先にある、雲一つない青い空だけだった。
同じように身を乗り出していた、ケインたちは馬車の脇を馬にまたがっていたマクスウェルに注意をされているようだった。
【赤の隔壁】の馬車から漏れ聞こえる笑い声に、少しだけうらやましいなと思ったルーズハルトであった。
「やあ、トーマス。今日は君が立ち番だったのかい。」
城壁の先に3本の街道が交わる場所があった。
そこには城壁内に入るための大門が設置されていた。
門には行列ができており、順次検査を受けているようであった。
その列もいくつかに分かれており、左から貴族用、騎士用、商人用、一般人用となっているようであった。
特に商人・一般人用の検査は厳しく行われており、不審物・不審者の侵入を許さないという態度がうかがわれた。
ルーズハルトたち一行は商人用の列にならび、しばし時間が流れた。
やっとハウエル商会の番となり、門番をしていた衛兵のトーマスにエルモンドは気さくに話しかけていた。
「ん?ハウエル商会のエルモンドじゃないか。久しぶりだな。お前が来るなんて何ヶ月ぶりだ?」
一瞬怪訝な顔をしていたトーマスも声の主がエルモンドとわかるや否や、厳格な態度が一転して和やかな雰囲気となっていた。
「確か議会の時だから半年にはなるな。」
「もうそんなになるか。っとそれより仕事仕事。通行はこれで全部か?」
懐かしむ会話をそこそこに仕事に取り掛かるトーマス。
部下と思われる衛兵が数人ハウエル商会の隊列に検査に入った。
この辺は知り合いだからと言って手を抜かないのはさすがと言えるだろう。
「じゃあ、ハウエル商会さんは通行書を。冒険者はライセンスカードかタグを出して……」
トーマスの指示にしたがいエルモンドは商会用の通行書を、マクスウェルたちは冒険者ギルドのライセンスカードを提示して見せた。
「はいいいよ。それじゃあわかってると思うけど、ハウエル商会さんは第2防壁まで、冒険者は……っと、ちょっと待って確認が必要だね。」
トーマスは通行書をエルモンドに返し、ライセンスカードを確認していると、リック達のライセンスカードを見て一瞬止まってしまった。隣にいたもう一人の衛兵に何かを確認すると、その衛兵は門の中に入っていった。
マクスウェルたちはなんとなく察していたが、リック達は何事かと思い不安がもろに表に出ていた。
そんなリック達を見てマクスウェルはまだまだだなと少しだけ肩を竦めていたのだった。
「お持たせ。君たちも第2防壁の通行が許可されたよ。良かったな新人君たち。彼ら【赤の隔壁】の弟子じゃなかったら第一防壁までだったよ。」
その言葉で事態を理解できたのか、安堵の表情を浮かべるリック達。
トーマスの注意に少し浮かれ気味だった気持ちを引き締めたのだった。
「それじゃあわかってるとおもうけど、問題は起こさないようにな。」
トーマスはリック達に再度言い聞かせるように言葉をかけた。
そして最後にルーズハルトたち3人に顔を向けると、爽やかに声をかける。
「それから、ようこそ未来の宝たち。我等が王都は君たちを歓迎する!!しっかり励めよ!!」
「「「はい!!」」」
トーマスの言葉にルーズハルトたちは元気良く変えす。
改めて王都へ来たのだとルーズハルトたちは実感したのだった。
「それじゃあハウエルさん。俺たちは一度冒険者ギルドに中間報告してきます。後ほど商会館に顔を出します。」
王都内第一防壁を抜けた先の大通りでマクスウェルたちとは別れることになった。
冒険者ギルドが第一防壁内にあるためである。
そして依頼自体がここまでということでもある。
「ありがとう。帰りもまた頼むよ」
エルモンドはマクスウェルたちと順番に握手を交わしていた。
緊張した面持ちでリック達もエルモンドと握手を交わす。
そんな様子にエルモンドは何かほほえましくも懐かしさを感じていた。
【赤の隔壁】との最初の依頼を思い出していたのだった。
「では。」
口数少なくサウザーが別れを告げると、今にも泣きだしそうな人物がそばにいた。
エミリアとルリの二人である。
二人は旅の途中に意気投合したらしく、事ある毎に一緒に話をしていた。
「またねエミーちゃん……」
「バイバイお姉ちゃんたち!!」
エミリアの元気な声に感極まったのか、ついに辛抱できなくなったルリはその脚力にものを言わせてエミリアに抱き着くと、もう離さないとばかりに強く抱きしめていた。
「お持ち帰りしたい~!!」
「はいはい、行くわよ」
マクスウェルたちは数人がかりでルリを引き離し、ヤルラがずるずると引きずっていく。
なんともしまりの悪い別れとなってしまった。
「うん、凄い人たちだね……」
「そうだね……」
いろんな意味で嵐のような冒険者たちだと思い、言葉に詰まるルーズハルトたちなのであった。
「それじゃあ、私達も向かうとしよう。行くぞお前たち!!」
そしてそんな空気をものともせずに、エルモンドの号令がかかり、一斉に従業員たちは動き始めたのだった。
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