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新しい生活
123話 攻略してはいけなかった
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アズの気配が完全に無くなった頃に僕は布団から出た
ディンにお礼を言おうと顔を向けると、赤い瞳のディンは僕を睨みつけていた
その顔に、僕は怖くなった
「……ミリー、カメリアはお前か?」
「あ、その、ごめん。ミリーはただの愛称で…」
「お前が神子、カメリア?」
…知ってたんだ
そうだよね
神子の存在はラディクスの外でも有名になってる
ただ、僕が神子として動いてた時は銀髪だったから気付かれて無かっただけ
「銀髪に緑と青のオッドアイ、傍に人ならざる者を使える『最恐の神子』。それがお前?」
「……え?さいきょ…何?それは知らない。けど、そんな神子は僕しかいないと思う」
「そうか…お前が俺の……はっ、ははは……!」
……怖い
なんで?
なんでそんな風に笑うの?
「ディン、どうし…っ!」
ディンはまた、僕の首を絞めた
苦しい、痛い
でもなんで、ディンが苦しそうな顔をするんだろう
「こんな…こんなことってあるかよ。なんで俺のターゲットが、よりによってお前なんだ。くそっ…俺は、惚れた人を自分の手で殺さないといけないのか?」
ディンの言葉の内容は頭に入らなかった
ただ、苦しそうな、泣きそうな声が聞こえた
そして首を絞めた手はすぐに解かれた
「ごほっ…!ディン…、なんで……?」
「悪いな、俺は…神子を殺せと命を受けた暗殺者だ。でも、俺には出来ない…どうしてくれる………」
神子を狙う暗殺者?
……そういえば、ローズが続編の話をする時に言っていた
神子を狙う兄妹が攻略対象に含まれると
名前は…なんだ?
確かに言っていた
思い出せ……そうだ
兄がレイディン、男装の妹がエルシードだ
ディンがうわ言で呼んでた名前はエル
一致する
……まさか、半分ゲーム通りになったってこと?
神子とその暗殺者が同じ場所にいる
そしてその暗殺者は神子を殺すことを躊躇している
……僕が、攻略した?
そんな、嘘だ……
だって続編の暗殺者ルートは……
「ミリー、俺はお前を殺せない。きっと俺は組織に殺されるだろう。だから……最期の思い出として、今夜だけ…抱かせてくれないか?」
暗殺者ルートは、兄妹のどちらを選んでも暗殺者側が死ぬ
攻略対象が死ぬバッドエンドしか無い
ローズのその情報が確かなら、僕はもう手遅れだ
ここで受け入れても断ってもディンは死ぬ
僕が死ぬことを選んでも、ディンは後を追って死ぬ
……僕は、死ぬ訳にはいかない
「…最期の思い出が、それでいいのなら……今夜だけは、僕を好きにしていいよ」
ディンは困ったように、泣きそうに微笑んだ
選択肢なんて最初から無いんだ
僕は、ディンを突き放すなんて出来ない
僕が巻き込んで死ぬ以外の道を絶ってしまったのなら、この体くらいいくらでもあげる
僕にはその程度しか出来ない
『愛され主人公』なんて、僕には荷が重すぎるよ……
ディンにお礼を言おうと顔を向けると、赤い瞳のディンは僕を睨みつけていた
その顔に、僕は怖くなった
「……ミリー、カメリアはお前か?」
「あ、その、ごめん。ミリーはただの愛称で…」
「お前が神子、カメリア?」
…知ってたんだ
そうだよね
神子の存在はラディクスの外でも有名になってる
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「……え?さいきょ…何?それは知らない。けど、そんな神子は僕しかいないと思う」
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……怖い
なんで?
なんでそんな風に笑うの?
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ディンはまた、僕の首を絞めた
苦しい、痛い
でもなんで、ディンが苦しそうな顔をするんだろう
「こんな…こんなことってあるかよ。なんで俺のターゲットが、よりによってお前なんだ。くそっ…俺は、惚れた人を自分の手で殺さないといけないのか?」
ディンの言葉の内容は頭に入らなかった
ただ、苦しそうな、泣きそうな声が聞こえた
そして首を絞めた手はすぐに解かれた
「ごほっ…!ディン…、なんで……?」
「悪いな、俺は…神子を殺せと命を受けた暗殺者だ。でも、俺には出来ない…どうしてくれる………」
神子を狙う暗殺者?
……そういえば、ローズが続編の話をする時に言っていた
神子を狙う兄妹が攻略対象に含まれると
名前は…なんだ?
確かに言っていた
思い出せ……そうだ
兄がレイディン、男装の妹がエルシードだ
ディンがうわ言で呼んでた名前はエル
一致する
……まさか、半分ゲーム通りになったってこと?
神子とその暗殺者が同じ場所にいる
そしてその暗殺者は神子を殺すことを躊躇している
……僕が、攻略した?
そんな、嘘だ……
だって続編の暗殺者ルートは……
「ミリー、俺はお前を殺せない。きっと俺は組織に殺されるだろう。だから……最期の思い出として、今夜だけ…抱かせてくれないか?」
暗殺者ルートは、兄妹のどちらを選んでも暗殺者側が死ぬ
攻略対象が死ぬバッドエンドしか無い
ローズのその情報が確かなら、僕はもう手遅れだ
ここで受け入れても断ってもディンは死ぬ
僕が死ぬことを選んでも、ディンは後を追って死ぬ
……僕は、死ぬ訳にはいかない
「…最期の思い出が、それでいいのなら……今夜だけは、僕を好きにしていいよ」
ディンは困ったように、泣きそうに微笑んだ
選択肢なんて最初から無いんだ
僕は、ディンを突き放すなんて出来ない
僕が巻き込んで死ぬ以外の道を絶ってしまったのなら、この体くらいいくらでもあげる
僕にはその程度しか出来ない
『愛され主人公』なんて、僕には荷が重すぎるよ……
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