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12話 シリスの拠点
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ユーミアは、シリスと一緒に交渉先に行くことになった。シリスは、ユーミアの護衛として行くことになり、数人の護衛を引き連れて行く事になる。
王都から離れた所に、もう一つシリスの城があり、そこから先の方にも駐屯地のようなテントがある。
但し、交渉先は、両者緊張状態にある為、流石にユーミアをそこまでは連れていけないということから、ユーミアは一旦シリスの拠点であるテントに置き、先にシリスが交渉するとのことだった。
(しかし、不思議な感じですわ…。シリス様とこうして二人で隣に歩くなんて)
と、ユーミアは、シリスのテントの場所に着き、その見学をしながら二人で歩いている最中にユーミアは思った。
昔ー幼少期は、シリスとバルコニーの王と共に良く遊ぶような仲だった。
しかし、大人になるにつれ、シリスは、多忙になっていき、シリスとユーミアは関わりがなくなっていった。
だから、ユーミアにとって、隣にシリスが居ることは信じられない状況だ。
「?どうした。ユーミア」
「いえ」
すると、シリスは、ユーミアが自分を見ていることに気付いた。
「こうやってシリス様と再び話すなんて、ないと思っていたので」
「そうか…。やっばり変な感じか?」
「まあ…」
シリスはそれに苦笑いをする。
「…ユーミアはもう王妃に興味はないのか?」
「…」
ユーミアは、シリスの言う事に黙る。
「…王妃自体には興味があります。しかし、…私が、王妃を望んでも、王宮が変わらなかったら何も意味はありませんわ」
「…そうだよな…」
「なんだかんだでミセスの方があの王宮にとっては需要があるのです。それで、私が負けたのは事実。…ラビア宰相もバルコニー王も、ミセスの方を望むのなら、もう仕方のない事ですわ」
「…その結果どうなるかなんて、ユーミアは、わかっているだろう?」
「そうですね。何の知恵もない人間がトップにたったら、…どうなるかは目に視えている。でも、それが今の社会の世相なのですから」
「…そうなのか?」
「そうだと思いますよ」
「それは恐ろしい話だな…」
と言い、シリスは体を身震いさせた。
「…ユーミア、それは仕方ないで終わらせていいのか?」
「良くないです。私の大事な、孤児院の子供達が、争いに巻き込まれてしまう」
「…では、あのままユーミアが王妃を続けた方が良かったのでは?…ミセスを追い出すことは出来ないのか?」
「できませんわ。私が、悪女に祀り上げられて終わりですもの」
「………」
「頑固な人間を変えるなんて相当難しい事よ」
「…腐ってるな」
と、シリスは、吐き捨てた。それにユーミアは悲しそうに笑った。
「シリス様は私の味方をしてくれるんですね」
と、ユーミアは言うと、シリスはきょとんとする。
「…当たり前だ。俺は、ミセスではなく、ユーミアに何度も助けられているから」
「…有難うございます。そう言って頂けると嬉しいですわ。…でも、だからって争い合うのは違うから…やはりここは一旦離れた方が妥当だと思うのです…ミセス様だって必死に生きているわけだし。上に昇りつめたいのは人間の本能ですわ」
「……そうなのか…?でも、そうだな。俺は、ユーミア王妃が優秀な人間だと思うから、政務から身を遠ざけてて心苦しいんだ」
「別にトップに立ったからといって優秀なわけではありませんわ…」
「そうか…。でも、それ抜きにしてもミセスの何が良いのか俺にはわからん。暫く王宮に居たが、うるさいだけだったがな。…わけわからない事を言ってたし」
「…そうですか…」
ユーミアは、そう言うと黙る。それにシリスはハッとした。
「…すまない。ユーミア」
「…いえ」
ユーミアは段々と元気がなくなっていっていることにシリスは気付いた。
「…もうミセスのことは言わないようにする」
「いえ、大丈夫ですよ」
「…ユーミアは…」
「?」
すると、シリスは何か言いづらそうにする。そして、
「いや、…やっぱり今は良い」
「…そうですか」
と、二人はそこで会話を終了させた。
×××
ユーミアはシリスが用意してくれたテントで過ごす。
その間、炊き出しの手伝いなどユーミアの護衛に護られながらしていた。
そこで、ユーミアはシリスが普段ここでどのようにして過ごしているか、ここの新人の若い兵士に聞いていた。
「ま、まさか王妃様がここに来るなんて」
「…いや、もう元ですけどね」
すると、兵士達は、こわごわとしながらユーミアに挨拶をする。
「しかし、こんな下々の俺等と話しをしてくれるなんて、懐がふとい方ですねえ」
「…そんな下々の者なんておっしゃらないで。でも、ここはどうなのかしら?ちゃんと栄養取れていますの?」
「はい。シリスの旦那の采配のおかげで。困ることはないです」
「そう…。旦那?」
「はい。シリス様の事は旦那と呼ばせてもらってます」
「…旦那」
シリスは守護官で王族の血を引いているのにそんなフランクに呼んでいいのかしら…?もしかして、人手不足で傭兵を雇っているんだな。とユーミアは判断した。
「…二人共、それは、シリス様は許しているのかしら?」
「はっ、な、なんと?」
「シリス様を旦那って呼んでもいいのか」
「いいえ。勝手に呼んでいるだけです」
「…そう。あまり公の場では言わない方が良いですわ。…一応シリス様は王族なので…守護官とか役職の名前で呼んだ方がカッコいいかもしれませんよ」
「は、はい。わかりました」
「カッ、カッコいい…。た、確かに」
と、兵士は気まずそうにしたが、ユーミアの言う事に賛同した。…地方寄りの喋り方だし、あまり形式な事に慣れてないのかしら?とユーミアは思った。すると、二人居てそのもう一人の方がおずおずとユーミア様に聞きたいことがあるんです。と言ったので、ユーミア何ですか?と聞いた。
「あ、あの、ユーミア様はどうして、王と離婚されたのですか?」
「あっ馬鹿!」
すると、もう一人の兵士が突然言い出した兵士の頭を小突いた。
「それは失礼だろうが!」
「で、でも…」
「…単にすれ違いが出たのでお別れしただけですよ」
「…そうですか…」
「す、すみません!こいつ命知らずな奴で」
「…いいえ。大丈夫です。国に関わることなので気になりますよね」
「は、はあ…すみません」
「いえ。それぐらい大丈夫です。安心なさるなら、まだ深掘りして聞いても良いですよ」
「すみません…。では、シリス守護官とはどのような関係なのですか?」
「シリス様…?シリス様は友人というか。仕事仲間ですわ。今日はお手伝いに来ましたの」
「そうなんですか。てっきり出来ててシリス守護官が連れてきてたのかと思いましたよ」
「シリス守護官がこんな辺鄙な土地に女連れてくるわけないだろ…士気はあがるかもしれないが、治安が悪くなると言ってただろう…」
と、二人は話した。
「そうなの。シリス様ってあまり、そのような真似はしないのね」
「はい。…真面目すぎだと思う。女の1人や2人入れてもいいと俺は思ってます」
「…はあ」
と、ユーミアは言った。
「シリス守護官ってあんなにイケメンで気立て良いのに女にモテないの不思議だよな」
「こんな所にいるからじゃね?それで前の彼女に振られてた。あんな土地嫌だ~って遠回しに振られてたと」
…彼女じゃなくて婚約破棄ね…。と思いながらユーミアは黙ってそれを聞いた…。
「ユーミア様どうですか?シリス守護官は良い人なので、ユーミア様貰ってくださいよ」
ユーミアはそれに苦笑いをした。隣の兵士はある程度常識がありそうで、意味が分かっており、かなりドン引きした表情で貰ってやってくださいと言っている兵士を見ていた。どうなっても知らなさそうでもう1人の方はもう黙っていた。
「シリス様はもう少し、…可愛らしい方と結婚した方が良いと思うわ…?」
ユーミアもあまり余計なことは言わず普通にいなすことにした。
「あー…可愛い女はこんな辺鄙な土地には来ませんね」
「…そうですか…」
「そういや、ユーミア様ってもうフリーなんですよね。じゃあ、俺と結婚してくださいよ!」
突然!?と、ユーミアは思ったけれどそれに付き合うことにした。
「…けっこん?…貴女歳はいくつなの?」
「22です」
みえない…と、ユーミアは思った。しかし、これをどういなせば良いのか。冗談だとは思うが、ユーミアは、そこら辺の境界がわからなかったのでとりあえずフランクに返すことにした。
「ごめんなさい…今はその気がないからお付き合いはできませんわ…」
「えー!でも、ここ本当に女性がいなくて、俺心配なんです~!将来が」
「普通に、家に帰って嫁を娶れば良いのでは…」
「今、ユーミア様に惚れてしまったのです!」
「は、はぁ…」
「おい」
「は!シリス様!」
すると、シリスが向こうからやってきた。予定より結構早い時間だ。
シリスは、ユーミアから見ても怖い表情で睨み利かせていた。
「あ、す、すみません」
すると、兵士は気付いたようですぐ謝った。シリスは兵士を一瞥すると、シリスはユーミアに頭を下げた。
「…ウチの兵士が失礼してすまない」
「あ…。やはりそうなのですね。…でも、ごめんなさい。私から話し掛けたので…その…」
ユーミアはよほどシリスの顔が怖かったのか、萎縮する。
「あ、あのシリス様許してあげてください」
と、ユーミアはシリスに懇願した。しかし、シリスはユーミアの言うことに取り合わず兵士を見た。
「勘違いするな。そこの兵士。ユーミア元王妃は、ここに遊びに来てるわけではない。貴族として視察と外交に来ているのだ。結婚などなんだの。…失礼な発言は謹しめ。お前の一存で、この拠点が彼女を通して外野で悪影響に見られるぞ。…お前は自分の仕事がなくなっても良いのか?」
「よ、良くないです!御無礼をしてしまい、申し訳ありません。ユーミア様!」
「…ユーミア。私からもこのとおりだ」
と、ユーミアは二人から謝罪を貰った。
「私は大丈夫です。それなら、私がこの方に話し掛けなければ良かった話なのですから…。でも、あまりフランクに話し過ぎて、…余計な一言はあったかもしれません。でも、お互い様なので、これからは気をつけましょう?」
「は、はい!す、すみません」
「1度目の失態は許すが、2度目は左遷だ。わかったか。少し発言を顧みたほうが良い」
「は、はい!」
「…じゃあ、いこうか。ユーミア。向こうで族長が待っている」
「はい」
そして、ユーミアはシリスについていくことにした。
シリスとユーミアは2人で、族長が滞在しているテントに向かって2人で歩いていた。
(…自由に動いて貰って良いとは、言われましたが、現地の兵士の方と喋るのは不味かったかしら?)
と、ユーミアはシリスの顔色を窺いながら思った。ユーミアは先程からシリスが怒っているようにみえた。それで先程の出来事に対し、謝ったほうが良いだろうと思う。
「シリス様怒っていらっしゃいますか?」
「…ああ」
と、シリスはユーミアに向かってはっきり言った。
「シリス様の場を荒らすような真似をしてしまい。申し訳ありません…。色々とここの事を聞きたかったので」
と、ユーミアは謝った。
「…いや。それは良い。視察も兼ねて現地の人間と交流しても良いと俺が許可を出したからな。だが、一つだけ気に食わない事がある。ユーミアは…さっきのあの兵士が言ったこと、冗談だと思ったか?」
と、シリスは声のトーンを落とし、ユーミアに言った。
「…はい。そうですが」
「…俺はあの冗談を聞いて心底不愉快だと思ったが、ユーミアはそれに対し、何とも思わなかったのか?」
「……」
ユーミアはシリスの言う事に黙る。
「…ユーミアは、冗談に対し、軽薄に考えることが多いだろう?…でも俺はあの冗談は相当不愉快だと思った。…離婚をし傷付いている人間に対して、結婚などどうたら言うのは、傷をえぐっているようなものだと思ったぞ」
「傷付いている…?」
ユーミアはシリスの言う事に対しうわ言を言う。すると、シリスは苦痛な表情を浮かべた。
「…やはりな。ユーミアはまだバルコニーの事を引きずっているだろう?」
と、シリスは言った。
「…いや、何を言ってますの?シリス様。私はもう立ち直ってますわよ…。あれは、…元王妃として、何故離婚したか説明しないと皆さん不安に思うだろうと思って言ったまでのこと。だってそうしないと…私に対して不信感持つから…」
ユーミア王妃は声を震わせながら言った。
「…私は王妃の立場から逃げた不届き者なのですよ?…本来ならば愛人囲っているバルコニー王をハッパをかけて共に過ごすべきなのに、なのに、私はそれが出来ない人間で、駄目な女なのです」
「…でも、あんなことがあったんだ。ユーミアは傷付いて当然だ。ユーミアは…『被害者』だろ?」
「……被害者?」
「ああ。バルコニーのした事はそのぐらい重い出来事だと思う」
「いや、違います」
「…何故だ?」
ユーミアは間髪入れていった。それにシリスは、疑問を持つ。
「だって、この国には愛人制度があるではないですか?それに、ミセス様は、まだ若いです。…だから、私が王妃の座を降りるのは甘えなんです。ー私がわるいから、バルコニー王はあんな風になった。私は魅力がない女です」
ユーミア王妃は、バルコニー王が自分の事を見てくれなかったのは自分に若さという魅力がどんどんとなくなっていくことに恐怖を感じていた。だから、その事を直視したくなくてユーミアは場から逃げたとも思い込んでしまっていた。
「ユーミアは自分を責めやすいんだな」
と、シリスは言う。
「…ユーミア、気持ちは分かるが、じゃあバルコニーに何の問題もないと言ったらそうでもない。…ユーミアが魅力のない女なら、バルコニーだって責任のない駄目な男なんだぞ」
と、シリスは言った。
「…本来のユーミアはこんな表情を張り付かせるような人間ではないだろう。学生の頃のユーミアは、もっと笑ってて明るかった。なのに、…こんな風になってしまったのは、バルコニーのせいだよ」
「大人になると、知識がついて落ち着けるだけですわ…」
「そうか?…俺は、ユーミアが色んなしがらみのせいで重圧がかかって、笑顔を忘れてしまったんだと思うよ。でも、それを忘れさせて、ユーミアを笑顔にするのが夫の役目ではないのか?…好き勝手生きて、そのせいで泣かせるような人間が出てくるなら、そんなのパートナー失格だ」
「………」
「…まあ、オレが言える事ではないけどな。…こんな辺境の土地に来て一緒に居てくれる人間なんて少ないし」
と、シリスが言った。
「でも、バルコニーは俺とは又別だ。ユーミアを幸せにする余裕なんてあるよ。一緒にいるんだし。…それに、ミセスのことだが、ミセスは赤ちゃんだよ」
「…赤ちゃん?」
「そうだ。本当に大人の女だったら、自分の利益を優先させて、人の幸せを奪うような真似などしない。駄々こねて、自己陶酔をしているのはまだ赤ん坊の証拠だ。そんな人間を求めているとわからないバルコニーの自覚も変だと思うぞ?」
「………そう、でしょうか?」
「ああ。赤ちゃんと20代女は全然違うだろう?だから、若い人間に責任ぶりやって、自分は逃げたなんて思わなくてもいい。ミセスはそれが本望なんだから。美味しい所だけ持っていって良い気になるなと。…どのように政務をこなすか本当に見物だな」
ふん。と笑いながらシリスは言った。ユーミアは、正直シリスにそのような事を言われ、少し心が軽くなった。王宮では誰も味方がいなかったからだ。
「…そう、ね。確かにミセスが赤ちゃんと思ったら、心が軽くなるわ。…そうね。赤ちゃんに対抗心持ってちゃ駄目ね…私、本当に恥ずかしい」
「恥ずかしくないよ。別にちょっとぐらい毒づいたって良いと思うけど。まあ、俺はそんな優しいユーミアが好きだけどな」
「…有難うございます。ごめんなさい。こんな事言わせて…。でも、シリス様は、ミセス様のこと好きではないのですか?」
「特に世話にもなっていないし、ミセスが王妃になると俺が不味いことになるからな。バルコニーも早く目が覚めれば良いのだが…」
と、シリスは言った。ユーミアは確かに、バルコニーが落ちぶれば、シリスもアルカディアの家名を持っているため、落ちぶれることになる。と彼女は思う。
「…わたしの、せいですよね…」
「いや、ユーミアのせいではない。気にするな。もうアルカディアの名なんてこの世に要らないよ。いっそ全員、没落したほうがマシかもな」
「それは思い切り過ぎるのでは…」
「でも、ユーミアは王妃になってくれないんだろう?」
「うーん…」
と、シリスの言う事にユーミアは、困惑する。それにシリスはごめん。困らせた。と言った。
「自分の後始末は自分でするから大丈夫だよ」
「…ごめんなさい。シリス様…」
「…いや、でも、…ユーミアは自分は歳をとったなんて怯えているけど、ユーミアだって可愛らしい女性だよ。自信持ってくれ」
「…私に、可愛らしいなんて言葉は似合わないです」
「…いや可愛いよ」
「そ、そうですか」
「…俺はユーミアが好きだから。ずっと前から…幼少期の頃から」
と、シリスは言った。
「…有難うございます。シリス様。シリス様も凄く優しくて素敵な方ですわ。私もシリス様は昔から丁寧で優しい方だったのでお慕いしてましたわ」
ユーミアはシリスに元気付けられて、嬉しくなる。しかし、
「…やはり、気付かないか…」
「?」
「いや、場所もタイミングも悪いから、又改めるとしよう」
と、二人はそのままテントに入っていった。
王都から離れた所に、もう一つシリスの城があり、そこから先の方にも駐屯地のようなテントがある。
但し、交渉先は、両者緊張状態にある為、流石にユーミアをそこまでは連れていけないということから、ユーミアは一旦シリスの拠点であるテントに置き、先にシリスが交渉するとのことだった。
(しかし、不思議な感じですわ…。シリス様とこうして二人で隣に歩くなんて)
と、ユーミアは、シリスのテントの場所に着き、その見学をしながら二人で歩いている最中にユーミアは思った。
昔ー幼少期は、シリスとバルコニーの王と共に良く遊ぶような仲だった。
しかし、大人になるにつれ、シリスは、多忙になっていき、シリスとユーミアは関わりがなくなっていった。
だから、ユーミアにとって、隣にシリスが居ることは信じられない状況だ。
「?どうした。ユーミア」
「いえ」
すると、シリスは、ユーミアが自分を見ていることに気付いた。
「こうやってシリス様と再び話すなんて、ないと思っていたので」
「そうか…。やっばり変な感じか?」
「まあ…」
シリスはそれに苦笑いをする。
「…ユーミアはもう王妃に興味はないのか?」
「…」
ユーミアは、シリスの言う事に黙る。
「…王妃自体には興味があります。しかし、…私が、王妃を望んでも、王宮が変わらなかったら何も意味はありませんわ」
「…そうだよな…」
「なんだかんだでミセスの方があの王宮にとっては需要があるのです。それで、私が負けたのは事実。…ラビア宰相もバルコニー王も、ミセスの方を望むのなら、もう仕方のない事ですわ」
「…その結果どうなるかなんて、ユーミアは、わかっているだろう?」
「そうですね。何の知恵もない人間がトップにたったら、…どうなるかは目に視えている。でも、それが今の社会の世相なのですから」
「…そうなのか?」
「そうだと思いますよ」
「それは恐ろしい話だな…」
と言い、シリスは体を身震いさせた。
「…ユーミア、それは仕方ないで終わらせていいのか?」
「良くないです。私の大事な、孤児院の子供達が、争いに巻き込まれてしまう」
「…では、あのままユーミアが王妃を続けた方が良かったのでは?…ミセスを追い出すことは出来ないのか?」
「できませんわ。私が、悪女に祀り上げられて終わりですもの」
「………」
「頑固な人間を変えるなんて相当難しい事よ」
「…腐ってるな」
と、シリスは、吐き捨てた。それにユーミアは悲しそうに笑った。
「シリス様は私の味方をしてくれるんですね」
と、ユーミアは言うと、シリスはきょとんとする。
「…当たり前だ。俺は、ミセスではなく、ユーミアに何度も助けられているから」
「…有難うございます。そう言って頂けると嬉しいですわ。…でも、だからって争い合うのは違うから…やはりここは一旦離れた方が妥当だと思うのです…ミセス様だって必死に生きているわけだし。上に昇りつめたいのは人間の本能ですわ」
「……そうなのか…?でも、そうだな。俺は、ユーミア王妃が優秀な人間だと思うから、政務から身を遠ざけてて心苦しいんだ」
「別にトップに立ったからといって優秀なわけではありませんわ…」
「そうか…。でも、それ抜きにしてもミセスの何が良いのか俺にはわからん。暫く王宮に居たが、うるさいだけだったがな。…わけわからない事を言ってたし」
「…そうですか…」
ユーミアは、そう言うと黙る。それにシリスはハッとした。
「…すまない。ユーミア」
「…いえ」
ユーミアは段々と元気がなくなっていっていることにシリスは気付いた。
「…もうミセスのことは言わないようにする」
「いえ、大丈夫ですよ」
「…ユーミアは…」
「?」
すると、シリスは何か言いづらそうにする。そして、
「いや、…やっぱり今は良い」
「…そうですか」
と、二人はそこで会話を終了させた。
×××
ユーミアはシリスが用意してくれたテントで過ごす。
その間、炊き出しの手伝いなどユーミアの護衛に護られながらしていた。
そこで、ユーミアはシリスが普段ここでどのようにして過ごしているか、ここの新人の若い兵士に聞いていた。
「ま、まさか王妃様がここに来るなんて」
「…いや、もう元ですけどね」
すると、兵士達は、こわごわとしながらユーミアに挨拶をする。
「しかし、こんな下々の俺等と話しをしてくれるなんて、懐がふとい方ですねえ」
「…そんな下々の者なんておっしゃらないで。でも、ここはどうなのかしら?ちゃんと栄養取れていますの?」
「はい。シリスの旦那の采配のおかげで。困ることはないです」
「そう…。旦那?」
「はい。シリス様の事は旦那と呼ばせてもらってます」
「…旦那」
シリスは守護官で王族の血を引いているのにそんなフランクに呼んでいいのかしら…?もしかして、人手不足で傭兵を雇っているんだな。とユーミアは判断した。
「…二人共、それは、シリス様は許しているのかしら?」
「はっ、な、なんと?」
「シリス様を旦那って呼んでもいいのか」
「いいえ。勝手に呼んでいるだけです」
「…そう。あまり公の場では言わない方が良いですわ。…一応シリス様は王族なので…守護官とか役職の名前で呼んだ方がカッコいいかもしれませんよ」
「は、はい。わかりました」
「カッ、カッコいい…。た、確かに」
と、兵士は気まずそうにしたが、ユーミアの言う事に賛同した。…地方寄りの喋り方だし、あまり形式な事に慣れてないのかしら?とユーミアは思った。すると、二人居てそのもう一人の方がおずおずとユーミア様に聞きたいことがあるんです。と言ったので、ユーミア何ですか?と聞いた。
「あ、あの、ユーミア様はどうして、王と離婚されたのですか?」
「あっ馬鹿!」
すると、もう一人の兵士が突然言い出した兵士の頭を小突いた。
「それは失礼だろうが!」
「で、でも…」
「…単にすれ違いが出たのでお別れしただけですよ」
「…そうですか…」
「す、すみません!こいつ命知らずな奴で」
「…いいえ。大丈夫です。国に関わることなので気になりますよね」
「は、はあ…すみません」
「いえ。それぐらい大丈夫です。安心なさるなら、まだ深掘りして聞いても良いですよ」
「すみません…。では、シリス守護官とはどのような関係なのですか?」
「シリス様…?シリス様は友人というか。仕事仲間ですわ。今日はお手伝いに来ましたの」
「そうなんですか。てっきり出来ててシリス守護官が連れてきてたのかと思いましたよ」
「シリス守護官がこんな辺鄙な土地に女連れてくるわけないだろ…士気はあがるかもしれないが、治安が悪くなると言ってただろう…」
と、二人は話した。
「そうなの。シリス様ってあまり、そのような真似はしないのね」
「はい。…真面目すぎだと思う。女の1人や2人入れてもいいと俺は思ってます」
「…はあ」
と、ユーミアは言った。
「シリス守護官ってあんなにイケメンで気立て良いのに女にモテないの不思議だよな」
「こんな所にいるからじゃね?それで前の彼女に振られてた。あんな土地嫌だ~って遠回しに振られてたと」
…彼女じゃなくて婚約破棄ね…。と思いながらユーミアは黙ってそれを聞いた…。
「ユーミア様どうですか?シリス守護官は良い人なので、ユーミア様貰ってくださいよ」
ユーミアはそれに苦笑いをした。隣の兵士はある程度常識がありそうで、意味が分かっており、かなりドン引きした表情で貰ってやってくださいと言っている兵士を見ていた。どうなっても知らなさそうでもう1人の方はもう黙っていた。
「シリス様はもう少し、…可愛らしい方と結婚した方が良いと思うわ…?」
ユーミアもあまり余計なことは言わず普通にいなすことにした。
「あー…可愛い女はこんな辺鄙な土地には来ませんね」
「…そうですか…」
「そういや、ユーミア様ってもうフリーなんですよね。じゃあ、俺と結婚してくださいよ!」
突然!?と、ユーミアは思ったけれどそれに付き合うことにした。
「…けっこん?…貴女歳はいくつなの?」
「22です」
みえない…と、ユーミアは思った。しかし、これをどういなせば良いのか。冗談だとは思うが、ユーミアは、そこら辺の境界がわからなかったのでとりあえずフランクに返すことにした。
「ごめんなさい…今はその気がないからお付き合いはできませんわ…」
「えー!でも、ここ本当に女性がいなくて、俺心配なんです~!将来が」
「普通に、家に帰って嫁を娶れば良いのでは…」
「今、ユーミア様に惚れてしまったのです!」
「は、はぁ…」
「おい」
「は!シリス様!」
すると、シリスが向こうからやってきた。予定より結構早い時間だ。
シリスは、ユーミアから見ても怖い表情で睨み利かせていた。
「あ、す、すみません」
すると、兵士は気付いたようですぐ謝った。シリスは兵士を一瞥すると、シリスはユーミアに頭を下げた。
「…ウチの兵士が失礼してすまない」
「あ…。やはりそうなのですね。…でも、ごめんなさい。私から話し掛けたので…その…」
ユーミアはよほどシリスの顔が怖かったのか、萎縮する。
「あ、あのシリス様許してあげてください」
と、ユーミアはシリスに懇願した。しかし、シリスはユーミアの言うことに取り合わず兵士を見た。
「勘違いするな。そこの兵士。ユーミア元王妃は、ここに遊びに来てるわけではない。貴族として視察と外交に来ているのだ。結婚などなんだの。…失礼な発言は謹しめ。お前の一存で、この拠点が彼女を通して外野で悪影響に見られるぞ。…お前は自分の仕事がなくなっても良いのか?」
「よ、良くないです!御無礼をしてしまい、申し訳ありません。ユーミア様!」
「…ユーミア。私からもこのとおりだ」
と、ユーミアは二人から謝罪を貰った。
「私は大丈夫です。それなら、私がこの方に話し掛けなければ良かった話なのですから…。でも、あまりフランクに話し過ぎて、…余計な一言はあったかもしれません。でも、お互い様なので、これからは気をつけましょう?」
「は、はい!す、すみません」
「1度目の失態は許すが、2度目は左遷だ。わかったか。少し発言を顧みたほうが良い」
「は、はい!」
「…じゃあ、いこうか。ユーミア。向こうで族長が待っている」
「はい」
そして、ユーミアはシリスについていくことにした。
シリスとユーミアは2人で、族長が滞在しているテントに向かって2人で歩いていた。
(…自由に動いて貰って良いとは、言われましたが、現地の兵士の方と喋るのは不味かったかしら?)
と、ユーミアはシリスの顔色を窺いながら思った。ユーミアは先程からシリスが怒っているようにみえた。それで先程の出来事に対し、謝ったほうが良いだろうと思う。
「シリス様怒っていらっしゃいますか?」
「…ああ」
と、シリスはユーミアに向かってはっきり言った。
「シリス様の場を荒らすような真似をしてしまい。申し訳ありません…。色々とここの事を聞きたかったので」
と、ユーミアは謝った。
「…いや。それは良い。視察も兼ねて現地の人間と交流しても良いと俺が許可を出したからな。だが、一つだけ気に食わない事がある。ユーミアは…さっきのあの兵士が言ったこと、冗談だと思ったか?」
と、シリスは声のトーンを落とし、ユーミアに言った。
「…はい。そうですが」
「…俺はあの冗談を聞いて心底不愉快だと思ったが、ユーミアはそれに対し、何とも思わなかったのか?」
「……」
ユーミアはシリスの言う事に黙る。
「…ユーミアは、冗談に対し、軽薄に考えることが多いだろう?…でも俺はあの冗談は相当不愉快だと思った。…離婚をし傷付いている人間に対して、結婚などどうたら言うのは、傷をえぐっているようなものだと思ったぞ」
「傷付いている…?」
ユーミアはシリスの言う事に対しうわ言を言う。すると、シリスは苦痛な表情を浮かべた。
「…やはりな。ユーミアはまだバルコニーの事を引きずっているだろう?」
と、シリスは言った。
「…いや、何を言ってますの?シリス様。私はもう立ち直ってますわよ…。あれは、…元王妃として、何故離婚したか説明しないと皆さん不安に思うだろうと思って言ったまでのこと。だってそうしないと…私に対して不信感持つから…」
ユーミア王妃は声を震わせながら言った。
「…私は王妃の立場から逃げた不届き者なのですよ?…本来ならば愛人囲っているバルコニー王をハッパをかけて共に過ごすべきなのに、なのに、私はそれが出来ない人間で、駄目な女なのです」
「…でも、あんなことがあったんだ。ユーミアは傷付いて当然だ。ユーミアは…『被害者』だろ?」
「……被害者?」
「ああ。バルコニーのした事はそのぐらい重い出来事だと思う」
「いや、違います」
「…何故だ?」
ユーミアは間髪入れていった。それにシリスは、疑問を持つ。
「だって、この国には愛人制度があるではないですか?それに、ミセス様は、まだ若いです。…だから、私が王妃の座を降りるのは甘えなんです。ー私がわるいから、バルコニー王はあんな風になった。私は魅力がない女です」
ユーミア王妃は、バルコニー王が自分の事を見てくれなかったのは自分に若さという魅力がどんどんとなくなっていくことに恐怖を感じていた。だから、その事を直視したくなくてユーミアは場から逃げたとも思い込んでしまっていた。
「ユーミアは自分を責めやすいんだな」
と、シリスは言う。
「…ユーミア、気持ちは分かるが、じゃあバルコニーに何の問題もないと言ったらそうでもない。…ユーミアが魅力のない女なら、バルコニーだって責任のない駄目な男なんだぞ」
と、シリスは言った。
「…本来のユーミアはこんな表情を張り付かせるような人間ではないだろう。学生の頃のユーミアは、もっと笑ってて明るかった。なのに、…こんな風になってしまったのは、バルコニーのせいだよ」
「大人になると、知識がついて落ち着けるだけですわ…」
「そうか?…俺は、ユーミアが色んなしがらみのせいで重圧がかかって、笑顔を忘れてしまったんだと思うよ。でも、それを忘れさせて、ユーミアを笑顔にするのが夫の役目ではないのか?…好き勝手生きて、そのせいで泣かせるような人間が出てくるなら、そんなのパートナー失格だ」
「………」
「…まあ、オレが言える事ではないけどな。…こんな辺境の土地に来て一緒に居てくれる人間なんて少ないし」
と、シリスが言った。
「でも、バルコニーは俺とは又別だ。ユーミアを幸せにする余裕なんてあるよ。一緒にいるんだし。…それに、ミセスのことだが、ミセスは赤ちゃんだよ」
「…赤ちゃん?」
「そうだ。本当に大人の女だったら、自分の利益を優先させて、人の幸せを奪うような真似などしない。駄々こねて、自己陶酔をしているのはまだ赤ん坊の証拠だ。そんな人間を求めているとわからないバルコニーの自覚も変だと思うぞ?」
「………そう、でしょうか?」
「ああ。赤ちゃんと20代女は全然違うだろう?だから、若い人間に責任ぶりやって、自分は逃げたなんて思わなくてもいい。ミセスはそれが本望なんだから。美味しい所だけ持っていって良い気になるなと。…どのように政務をこなすか本当に見物だな」
ふん。と笑いながらシリスは言った。ユーミアは、正直シリスにそのような事を言われ、少し心が軽くなった。王宮では誰も味方がいなかったからだ。
「…そう、ね。確かにミセスが赤ちゃんと思ったら、心が軽くなるわ。…そうね。赤ちゃんに対抗心持ってちゃ駄目ね…私、本当に恥ずかしい」
「恥ずかしくないよ。別にちょっとぐらい毒づいたって良いと思うけど。まあ、俺はそんな優しいユーミアが好きだけどな」
「…有難うございます。ごめんなさい。こんな事言わせて…。でも、シリス様は、ミセス様のこと好きではないのですか?」
「特に世話にもなっていないし、ミセスが王妃になると俺が不味いことになるからな。バルコニーも早く目が覚めれば良いのだが…」
と、シリスは言った。ユーミアは確かに、バルコニーが落ちぶれば、シリスもアルカディアの家名を持っているため、落ちぶれることになる。と彼女は思う。
「…わたしの、せいですよね…」
「いや、ユーミアのせいではない。気にするな。もうアルカディアの名なんてこの世に要らないよ。いっそ全員、没落したほうがマシかもな」
「それは思い切り過ぎるのでは…」
「でも、ユーミアは王妃になってくれないんだろう?」
「うーん…」
と、シリスの言う事にユーミアは、困惑する。それにシリスはごめん。困らせた。と言った。
「自分の後始末は自分でするから大丈夫だよ」
「…ごめんなさい。シリス様…」
「…いや、でも、…ユーミアは自分は歳をとったなんて怯えているけど、ユーミアだって可愛らしい女性だよ。自信持ってくれ」
「…私に、可愛らしいなんて言葉は似合わないです」
「…いや可愛いよ」
「そ、そうですか」
「…俺はユーミアが好きだから。ずっと前から…幼少期の頃から」
と、シリスは言った。
「…有難うございます。シリス様。シリス様も凄く優しくて素敵な方ですわ。私もシリス様は昔から丁寧で優しい方だったのでお慕いしてましたわ」
ユーミアはシリスに元気付けられて、嬉しくなる。しかし、
「…やはり、気付かないか…」
「?」
「いや、場所もタイミングも悪いから、又改めるとしよう」
と、二人はそのままテントに入っていった。
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