ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

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いつか紡がれる新たな絆に 4

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 お父上は厳格な方だしあまりそういうことはしないタイプか、いい子なのに。と視線を向けると丁度話が終わったのかご両親がまだ話し込んでる俺達に一礼して先に戻っていった。
 そしてティハルトがこちらへと加わる。

「何の話をしてたんだ?」

「サフィア様の髪がサラサラなのと、カイザー様が癖で迂闊に人様の頭を撫でちゃう話」

「お前ら…」

「ご気分を害してらっしゃらなければ良かったです」

 ティハルトの呆れた視線はスルーして俺はほっとサフィアへ微笑んだ。

「それは全然。僕は一人っ子なので兄がいればあんな感じなのかなって。ガーネスト様やダイア様が少し羨ましいです」

 綺麗な微笑みを浮かべて告げられたそれには僅かな羨望が見え隠れして。

 俺は思わずゲームでの彼の設定を思い出す。

 優秀さ故に幼い頃から過度な期待を掛けられ、小さなミスさえも過度に恐れ嫌う神経質な一面を持つ。

 眼の前に居る彼はゲームに比べ神経質な面が和らいでいる印象だ。
 でも先程の話や厳格なお父上たちの性格から考えるともしかしたらサフィアは少し寂しいのかもしれない。
 ヒロインたちと関わることで少しでもそれが癒えればいいのだが。

 まぁ、癒しは可愛い女の子たちに与えて貰うとして。

 撫でられるのが嫌でなくて兄が羨ましいというのなら俺が撫でようではないか!

 サフィアいい子だし、とぽんぽんとその頭を撫でた。
 残念ながら彼の方が少しばかりデカいのだがな。

「サフィア様にお嬢様が生まれた時は大変そうですね」

 唐突な話題に一同がはっ?って顔してる。
 ティハルトに至っては「こいつ何言ってんだ?」感を隠そうともしやがらねぇ。

「私もずっと兄妹が欲しかったんですよ。長年願って漸く出来たあの子たちが可愛くて可愛くて」

 こんな風になってしまいましたと軽くお道化て両手を広げる。
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