53 / 81
スキンケアもしましょう
しおりを挟む
「お風呂空いたぞー」
一足先に風呂から上がり自室へと戻ると、静と千亜季に声を掛ける。
「け、圭ちゃん……」
「……かわいい!」
が、返ってきた反応は黄色い声だった。
そういえば猫の着ぐるみパジャマ着てるんだっけか。そういう反応をされるのにも頷ける話だ。確かにすげー可愛かったし。そういえば佳織は何のパジャマ買ったんだろう。ピンク色のパジャマが置いてあったのは見えたが、中身までは確認できなかった。
「二人のパジャマも楽しみにしてるよ」
「あはは」
「そうだねぇ」
何でもない風を装って声を掛けると、乾いた笑いが聞こえてきた。一応持って来てるのかな。これで普通のパジャマだったら損した気分になるぞ。いやまぁ、見られて減るもんでもないが。
「そういえば佳織は? お風呂で何かなかった?」
一人で戻ってきた俺に疑問を持ったんだろうか。ってか、お風呂で何かって……、なんだよ。すごくニヤニヤした表情で言われると、何か確信がありそうな気がするんだが……。
「もうすぐ戻ってくると思うけど……。別に何もなかったぞ?」
抱き着かれはしたが、よくよく考えれば日常茶飯事だな。うん。特に言いふらすようなことでもないし。
「……そうなの?」
残念そうな表情になる静だが、千亜季も似たような表情だ。特に静が面白そうに思うことは、俺にとってはそうでないことが多い。顔を見合わせる二人を尻目にベッドへと腰かけると、一緒に持って来ていたお茶のペットボトルを開けて口に含む。一息ついていると部屋の扉が開いて佳織が戻ってきた。
「ただいま……」
「あ、おかえりー」
「おかえり」
若干項垂れ気味の佳織のフードを被った頭からは耳が生えている。本人の様子を反映したかのように、両方の耳がぐんにゃりと垂れていた。どうやら淡いピンクのパジャマはうさぎのようだ。
「おー、うさぎもかわいいね」
「うんうん」
フードにはつぶらな瞳がプリントされていて、お腹の大部分は真っ白な配色だ。お尻にはまん丸でふさふさな尻尾がついている。
「ほれほれ、早く風呂入っちまえ。あー、最後は湯船に蓋して窓だけ開けといてくれ」
「わかったー」
注意事項を告げると、二人はそれぞれお風呂セットの袋を鞄から取り出す。
「じゃ、行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
そのままお風呂へと向かって部屋を出て行った。
佳織はそのまま自分の鞄から何やらいろいろと取り出している。……が、それらを眺めていると何やら嫌な予感がしてきた。テーブルに乗せられたそれらは、鏡と……、何かのクリームだろうか?
「ほら、圭一もこっち来なさい。どうせ何もやってないんでしょ」
呆れとも怒りともつかない声音で呼び寄せられれば従うしかない。きっとお風呂上りにも何かあるんだろう。というか前に佳織の家にお泊まりして風呂入ったあとは、特に何もなかったと思うんだが……。
「まさか風呂上りにもやることがあるとは……」
「当り前じゃない。あんまり詰め込み過ぎると覚えられないから、前は何も言わなかったけど」
あ、そういうこと……。ひとまずテーブルの前まで移動すると、広げられたものを見ると、スキンケア用品だった。
「いっぱいあるな……」
思わず漏れた言葉にはため息が返ってくる。
「化粧水に美容液、乳液とあとはクリームね」
「うへぇ」
思わず変な声が出てしまった。
「顔パックとかする人もいるけど、あたしはこれ使ってるわね。ほら、顔出して前髪上げて」
言われた通りに顔を突き出すと、化粧水を手のひらに出して俺の顔に付けてくる。お風呂上がりの温かい手が顔に触れて、お風呂で抱きしめたことを思い出してしまった。
落ち着け俺。なんとなく佳織の顔を見ていられなくなって、顔を触られているのをこれ幸いと目を閉じる。
「うーん、スキンケアしてなかったとはいえ、やわらかいほっぺしてるわね……」
「お、おう……。しかしこれも毎日やるのか」
自分のほっぺの柔らかさなんぞわからないので、とりあえず明日からの事を考えてげんなりしていると。
「そう言うと思ったわ。ひとつで済むオールインワンのスキンケア用品もあるから、圭一はそれつかえばいいんじゃない?」
「おぉ、そんな便利なやつがあるのか」
ひとつで済むんならやってみようという気になれる。……これも俺にスキンケアをさせる佳織の手口かと疑っていると、どうやら終わったみたいだ。
「はい、これでおしまい!」
だがしかし、最後に勢いよく両頬を叩かれた。
「いて! 何すんだ!」
思わず頬に手をやるが、なんというかいつもより十割増しくらいでもっちり肌になっている。
「ふんっ、次からは自分でやんなさいよ」
何やら不機嫌そうだが、頬のもっちり具合に俺の怒りもある程度おさまっている。いやナニコレもっちもちなんだけど。
自分で自分のほっぺを堪能していると、佳織も鏡を前にして自分のスキンケアを始めた。
一足先に風呂から上がり自室へと戻ると、静と千亜季に声を掛ける。
「け、圭ちゃん……」
「……かわいい!」
が、返ってきた反応は黄色い声だった。
そういえば猫の着ぐるみパジャマ着てるんだっけか。そういう反応をされるのにも頷ける話だ。確かにすげー可愛かったし。そういえば佳織は何のパジャマ買ったんだろう。ピンク色のパジャマが置いてあったのは見えたが、中身までは確認できなかった。
「二人のパジャマも楽しみにしてるよ」
「あはは」
「そうだねぇ」
何でもない風を装って声を掛けると、乾いた笑いが聞こえてきた。一応持って来てるのかな。これで普通のパジャマだったら損した気分になるぞ。いやまぁ、見られて減るもんでもないが。
「そういえば佳織は? お風呂で何かなかった?」
一人で戻ってきた俺に疑問を持ったんだろうか。ってか、お風呂で何かって……、なんだよ。すごくニヤニヤした表情で言われると、何か確信がありそうな気がするんだが……。
「もうすぐ戻ってくると思うけど……。別に何もなかったぞ?」
抱き着かれはしたが、よくよく考えれば日常茶飯事だな。うん。特に言いふらすようなことでもないし。
「……そうなの?」
残念そうな表情になる静だが、千亜季も似たような表情だ。特に静が面白そうに思うことは、俺にとってはそうでないことが多い。顔を見合わせる二人を尻目にベッドへと腰かけると、一緒に持って来ていたお茶のペットボトルを開けて口に含む。一息ついていると部屋の扉が開いて佳織が戻ってきた。
「ただいま……」
「あ、おかえりー」
「おかえり」
若干項垂れ気味の佳織のフードを被った頭からは耳が生えている。本人の様子を反映したかのように、両方の耳がぐんにゃりと垂れていた。どうやら淡いピンクのパジャマはうさぎのようだ。
「おー、うさぎもかわいいね」
「うんうん」
フードにはつぶらな瞳がプリントされていて、お腹の大部分は真っ白な配色だ。お尻にはまん丸でふさふさな尻尾がついている。
「ほれほれ、早く風呂入っちまえ。あー、最後は湯船に蓋して窓だけ開けといてくれ」
「わかったー」
注意事項を告げると、二人はそれぞれお風呂セットの袋を鞄から取り出す。
「じゃ、行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
そのままお風呂へと向かって部屋を出て行った。
佳織はそのまま自分の鞄から何やらいろいろと取り出している。……が、それらを眺めていると何やら嫌な予感がしてきた。テーブルに乗せられたそれらは、鏡と……、何かのクリームだろうか?
「ほら、圭一もこっち来なさい。どうせ何もやってないんでしょ」
呆れとも怒りともつかない声音で呼び寄せられれば従うしかない。きっとお風呂上りにも何かあるんだろう。というか前に佳織の家にお泊まりして風呂入ったあとは、特に何もなかったと思うんだが……。
「まさか風呂上りにもやることがあるとは……」
「当り前じゃない。あんまり詰め込み過ぎると覚えられないから、前は何も言わなかったけど」
あ、そういうこと……。ひとまずテーブルの前まで移動すると、広げられたものを見ると、スキンケア用品だった。
「いっぱいあるな……」
思わず漏れた言葉にはため息が返ってくる。
「化粧水に美容液、乳液とあとはクリームね」
「うへぇ」
思わず変な声が出てしまった。
「顔パックとかする人もいるけど、あたしはこれ使ってるわね。ほら、顔出して前髪上げて」
言われた通りに顔を突き出すと、化粧水を手のひらに出して俺の顔に付けてくる。お風呂上がりの温かい手が顔に触れて、お風呂で抱きしめたことを思い出してしまった。
落ち着け俺。なんとなく佳織の顔を見ていられなくなって、顔を触られているのをこれ幸いと目を閉じる。
「うーん、スキンケアしてなかったとはいえ、やわらかいほっぺしてるわね……」
「お、おう……。しかしこれも毎日やるのか」
自分のほっぺの柔らかさなんぞわからないので、とりあえず明日からの事を考えてげんなりしていると。
「そう言うと思ったわ。ひとつで済むオールインワンのスキンケア用品もあるから、圭一はそれつかえばいいんじゃない?」
「おぉ、そんな便利なやつがあるのか」
ひとつで済むんならやってみようという気になれる。……これも俺にスキンケアをさせる佳織の手口かと疑っていると、どうやら終わったみたいだ。
「はい、これでおしまい!」
だがしかし、最後に勢いよく両頬を叩かれた。
「いて! 何すんだ!」
思わず頬に手をやるが、なんというかいつもより十割増しくらいでもっちり肌になっている。
「ふんっ、次からは自分でやんなさいよ」
何やら不機嫌そうだが、頬のもっちり具合に俺の怒りもある程度おさまっている。いやナニコレもっちもちなんだけど。
自分で自分のほっぺを堪能していると、佳織も鏡を前にして自分のスキンケアを始めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる