天才魔術師の秘書をしてます

みちこ

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 デニス兄様の口からとんでもない人の名前が飛び出て、私の頭は?マークでいっぱいになる。

 デニス兄様の友達がカイル•ネヴィルだなんて信じられない。

 同姓同名?

 でもネヴィル家は侯爵家だから同姓同名は居ないはず。

「妄想は駄目だよ」

「お前は何か恨みでもあるのか?妄想じゃないからな。カイルは俺の同級生なんだよ。俺って面倒見が良いほうだろ?」

「確かにデニス兄様は面倒見が良いですね。たまにやり過ぎではないかって心配になるぐらいお節介ですよね~」

 私はお節介なデニス兄様を嫌いではないですけど、中には鬱陶しいって感じる人もいるよね。

 年上からなら素直に受け入れられても、同じ年の人にお世話をされるのは抵抗がある人が多いはず。

「やっぱりお前は俺のことを嫌いだろ?」

「そんなことないですよ。私はお節介なデニス兄様のことも大好きですよ」

「なら良いけど………」

 完全に納得はしてないみたいだけど、私に大好きって言われて満足してしまったんだ。

 デニス兄様って絶対にシスコンだよね?

 私に全く興味ない兄よりは全然良いけど、もしも私に恋人が出来たらどんな反応するのかな?

「それで天才魔術師の秘書ってどういうこと?カイル•ネヴィルって魔術師の塔で仕事をしてるんだよね?」

「カイルは上級魔術師だから魔術師の塔に所属してる」

「なら塔の方で秘書を用意してくれるんじゃないの?素人の私よりも全然良いんじゃないかな?上級魔術師の秘書が素人では駄目でしょ?」

 絶対に邪魔にしかならないでしょ。

 私のせいで天才魔術師の仕事のペースが落ちるとか、成果が落ちるなんてことになったら申し訳ない。

「紹介はしてくれてたみたいだけど、カイルとの相性が悪いみたいですぐに辞めたり、辞めさせたりしてるんだよ。あいつも3年間は我慢してたみたいだけど、今では用意してくれてる秘書を拒否してるんだよ」

 カイル•ネヴィルってそんなに気難しい人なの?

 本当に私で大丈夫?

「そんなに不安そうな顔をするなよ。ミレイヤなら大丈夫だから」

「何でそんなことが言えるの?もしも私が嫌われたら、デニス兄様とカイル様の仲も気不味くなるかもしれないんだよ」

「そんなことにはならないと思うけどな。カイルが塔で紹介された秘書を拒否してるのは、媚を売ってきたり、カイルの妻の座を狙って色仕掛けとかをしてくるから、嫌気が差して拒否するようになったんだよ」

 それは面倒臭いね。

 実際に見たことはないけど、カイル•ネヴィルがかなりのイケメンだって有名だもんね。

 優秀でイケメンだったら、秘書が女性なら狙うのも分かる気がする。

「女の私では同じように拒否するんじゃないの?」

「会わせてみないと分からないけど、ミレイヤなら大丈夫だと思うぞ?お前は好きになったからって仕事の邪魔をしたり、嫌がってるのに無理に迫ったりしないだろ」

「それは当たり前のことでしょ。仕事とプライベートは分けるべきだし、拒否してる相手に迫るなんてただの嫌がらせでしょ」

 ストーカーとか完全に犯罪だし、嫌がってる相手を付け回したりするのは、それ自体がもう犯罪みたいなものだよね。

「世の中にはそれが当たり前なわけでは無いんだよ。塔が用意してくれる秘書は中級魔術師が多いみたいで、プライドが高い人も多いみたいで拒否されるとは思わないみたいなんだよ。それでも無理だったら子供だけでも欲しいって考えるみたいだな」

 あぁ~、魔術師ってプライドが高い人が多いよね。

 私たちが知ってる魔術師の活躍って、上級魔術師の成果ばかりだけど、中級魔術師もプライドが高い人が多いのか。

「私が塔の魔術師の秘書になれるの?魔術師の秘書ってどんな仕事をするのか知らないけど、塔所属の魔術師って危険な場所に向かうことが多いよね?ついて来いって言われても困るんだけど」

 塔所属の魔術師の秘書が中級魔術師なのも、危険な場所に行くときに同行できるように中級魔術師なんだよね。

 中級魔術師が同行して経験を積んで、上級魔術師になれたら魔術師の塔に正式に所属する流れになっている。

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