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しおりを挟むお父様とお母様がそんなことをしてるなんて、私は全く知らなかった。
私とアランの関係に気付かれていたなんて………
アランの父親と私のお父様は親友で、小さい頃から私とアランは兄妹のように育った。
貴族の中でもそれはよく知られてたから、私とアランが一緒に居ても誰も私達の関係を疑う人は居なかったのよね。
まさかお父様とお母様にバレていたなんて、私はそんなに分かりやすかったのかしら?
「もしかして私達の関係を他の人達にもバレてたのかしら?もしそうならアランの汚点になってしまう。アランの邪魔だけはしたくなかったのに」
「バレていたとしても、エレーナとアランが結婚してずっと夫婦円満にしてたら、お前たちは結ばれる運命だったんだって思ってもらえるさ」
伯父様は意地悪ね。
そんなの無理に決まってるじゃない。
私はラッセルが大きくなるまでこの家を守らないといけない。
一時的に継ぐためでも、当主になる為には結婚する必要がある。
この国では、未婚の者が当主になることを認めてもらえない。
公爵家の跡取りであるアランが私の夫になることは出来ない。
「無理ですよ。私は家を継ぐためにアラン以外の人と結婚しないといけない。ラッセルが当主になれるまでの一時期とはいえ、私が誰かと結婚することに違いはありません。もしも当主からおりて離縁したとして、1度でも結婚歴がある私がアランと結婚なんて無理ですから」
贅沢を言うなら、結婚相手にロベルトは避けたいですけどね。
私とロベルトはとにかく相性が悪い。
お互いに寄り添うことなんて出来ない。
「方法がないわけではない。アランもエレーナも期間限定の契約婚をすれば良い。ラッセルが当主になるには最短でも5年はある。エレーナは当主になる為に結婚する必要がある。アランもエレーナを迎え入れるためには、1度結婚したほうが周りからの反対が減る」
「私達だけに都合がいい話を了承する人なんて居ないですよ。公爵夫人になれたのに手放す女性なんている訳ありませんわ」
「それなら問題ない。候補がいるんだよ。私の息子がそろそろ子供が出来るのは知ってるな?」
「勿論です。王太子妃様が妊娠してるのは有名ですから」
「息子達が子供の乳母にしたい女性が居るんだが、その女性は結婚をしてないんだ。本人も過去に色々あって結婚は嫌がってる。だからアランと契約結婚を提案したら、喜んで受け入れると思う。乳母になる条件は既婚者かどうかだからな。子供の有無は関係ない。彼女は下に年の離れた兄弟が多いから、子育て面でも問題ない」
そっか………、
アランとその女性が受け入れたら、アランの問題は解決するってことなのね。
後は私だけだけど、私だって難しい気がする。
結婚の条件にラッセルが成人したら、当主を変更するって言ったら、結婚相手が見つかるか微妙なぐらいだもの。
金銭的に困ってる家なら、お金を援助することを条件につけたらいるかも知れない。
心配があるとしたら、ラッセルの命が狙われるかもしれないことかしら?
ラッセルが居なければって思う人が現れるかもしれない。
ロベルトは分からないけど、ロベルトの母親やロベルトを可愛がってる王妃様は、何をしてくるか分からない。
私とラッセルは王妃様の姪と甥になるけど、血の繋がりは一切ない。
ロベルトは王妃様の血の繋がった甥だから、どちらを優先するかなんて分かりきってる。
ラッセルは反対するかもしれないけど、あの子が成人して私が離縁するまでは、安全が保証してもらえる全寮制の学園に行ってもらう必要があるかもしれない。
あそこなら王妃様でも干渉できない。
あの学園は特殊で、色々な国から生徒が集まっていて、身分とかでは判断されず、本人の能力が重視される学園で甘えが許されない。
貴族として1番人気なのは私が通ってた学園だけど、あの学園も今では引けを取らない。
あの学園に通わせたほうが良いんじゃないかって、考える貴族も増えている。
まだ歴史は浅い学園ではあるけど、あそこの卒業生は色々な分野で活躍している。
ラッセルは私や両親が甘やかしてしまったから、次期当主として厳しく教育するにはいい機会かもしれない。
年が離れた弟が可愛くて甘やかしてしまったから、あの子はちょっと甘えたなところがあるのよね。
それに純粋すぎるあの子では、当主になったら苦労する未来しか想像できない。
当主になるなら、貴族としてちょっとの狡賢さが必要。
何でもかんでも誠実であれば良いわけではない。
時には厳しさも必要。
私や両親がそれを教えないといけなかったんだろうけど、両親はもう居ませんし、私では中途半端になってしまう気がする。
それに当主として、あの子に時間を割くのは難しいかもしれない。
他人任せになってしまうけど、それであの子が成長出来るなら問題ないわ。
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