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しおりを挟む私がラッセルとお父様達が守ってきた公爵家が大事なように、ラッセルも公爵家と私を大切に思ってくれてるのよね。
私はラッセルが公爵家を継いで、精神的に壊れてしまう可能性があるなら、アランとの将来を諦めてでも公爵家の当主になっても良いと思っている。
今の私にはラッセルの方がずっと大事だわ。
アランのことも大事なことには変わりないけど、アランには支えてくれる家族がいる。
だけどラッセルには私だけなのよ。
私達には伯父様が居るけど、伯父様はこの国のトップだから、私達だけを優先することはできない。
それに伯父様にも家族が居るから、何でもかんでも甘えることは出来ないわ。
「ラッセルの気持ちはとても嬉しいは、もしも本気で我が家の当主になりたいなら、私から貴方に試練を与えるわ」
「試練?」
「そうよ。厳しいことを言うけど、今の貴方にはこの家を完全に任せることは出来ないわ。それはまだ貴方が子供って理由もありますし、年齢を考えたら仕方ないけど、周りに完全に甘えてるラッセルでは、安心してこの家を任せられないのよ」
「俺が甘えてたのは自覚してる。次期当主になるんだと思ってたけど、本気でなりたいか聞かれたら即答は出来なかった」
周りがラッセルが跡取りになるって言ってたから、本人もそうなるって思ってただけで、本気でなりたいかなんて、まだ11歳のラッセルでは難しいわよね。
まだ子供のラッセルに厳しいことを言ってるのは理解している、だけど1番頼れる大人を亡くしてしまった私達には、他の人達みたいに年齢を理由に甘えることはできない。
無理矢理にも大人にならないといけない。
それは私もですし、まだ11歳のラッセルも同じだわ。
私達の行動次第で沢山の人達の生活を駄目にしてしまう。
周りに侮られることはあってはならない。
親子ほど年の離れてる大人を相手に対等に渡り合う必要がある。
当主である私が舐められると、それが領地の経営に直結してしまう。
本来なら当主である親について回って、少しずつ経験を積んで成果を残していくはずだった。
当主になる頃には、成果を周りに認められてスムーズに世代交代するはずだったけど、事故でお父様達を亡くしてしまい、一気に計画が崩れてしまった。
私は学園を卒業したばかりで、お父様の仕事をまだ手伝ってなかった。
私が当主になると決まってなかったから、本格的に手伝ってなかったから何をすればいいのかも分からない。
簡単な書類などの手伝いはしてたけど、我が家の者なら誰でも見ても問題ない書類だったから、今までの経験では、当主として仕事をするには全然役には立たないはず。
何もせずに遊び歩いてたとかよりは良いかもしれませんが、今のままでは周りに舐められて、意見を聞いてもらえずに振り回されてしまうだけ、ラッセルがこの家を継いでくれるなら、それまでは絶対にこの家を存続させないといけないわ。
「ラッセルが本気でこの家を継ぐ気があるなら、セントラル学院に入学して欲しいのよ」
「セントラル学院?何で?評判が良いのは知ってるけど、俺は姉上とアラン兄が通ってた学園に入るつもりだったのに」
「貴方があの学園に入学するつもりなのは知ってたわ。でもあの学園よりセントラル学院に入学して欲しいの」
ラッセルはアランにとても憧れてたから、アランの真似をしたがる子だった。
アランが学園でずっとトップの成績だと聞いてるこの子は、自分が入学したらアランみたいにトップの成績で入学して、トップ成績で卒業するって言っていた。
この子の夢を1つ壊してしまうことになるけど、この子の安全を守る為には、あの学園に通わすのは絶対に認められない。
私も通ってたからとても素晴らしい学園なのは間違いないけど、あそこは王族である王妃様が干渉しやすい場所になっている。
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