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第1章 救出篇
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しおりを挟む「監禁、虐待、脅迫だから妥当な処罰は重くて死刑で軽くて身分剥奪だな。あの男は死刑より身分剥奪した方が苦しみそうだがそれが認められるかどうかだな」
「あの男は横領罪には成らないんですか?お祖父様は毎月かなりの金額あの男に送ってたんですよね?そのお金はお母様の生活基準が下がって、苦労しないように送ってたお金ですよね?そのお金をあの男は私やお母様には一切使わなくて、自分や愛人親子の娯楽に使ってたんです」
お祖父様と伯父様は私の話を聞いて難しそうな顔をしている。
やっぱり横領罪には当てはまらないのかしら?
「横領罪って判断されるのは難しいだろうな。だが渡す時にレベッカとエレーナの生活に当ててくれと言ってあるから、正しく使われてないのなら、返金を要求することは出来るが、あの金額をあの男が返せるか問題だな。ドレスやアクセサリーを売っても半分以下しか戻ってこないだろうな」
あの男は賭博に手を出してたから、お祖父様が予想してる金額よりも少ないかもしれないわね。
一体、いくら使ってたのかしら?
身分剥奪したら余計に戻ってこないんじゃないかしら?
う~ん
あっ!!
良い手があるわ
でもあの話って本当なのかしら?
「お祖父様1つ質問したいんですけど、この国の何処かに、過酷で危険な領地で貴族が治めるのを嫌がってる場所があるって、聞いたことがあるんですけど本当ですか?」
「アルカス地方のことかな?確かにあそこの生活は過酷だな。夏は40度以上は当たり前で、冬はマイナス20度ってことがよくあるな。雨もなかなか降らないから植物も実りづらい、そのせいでアルカス地方は盗賊も多い、それがどうかしたか?」
思ったより過酷みたいね
「今そこを治めてる人は居るのですか?」
「一応いるが嫌々だな。男爵家で領地が無い者が5年ごとに順番で管理してる。貴族には毎年、国からお金が支給されるがあそこの地方を任された男爵家は、男爵家が貰える金額の5倍が支払われている。エレーナまさか」
お祖父様も気付いたみたいね。
誰もが嫌がる領地、王都でぬくぬくと安全な場所で暮らしてた人達には、死刑や身分剥奪より辛いだろう
しかも盗賊が多い地方なら、真っ先に貴族は狙われるはず、命の危険度もかなり高い
それにお母様を騙して長年苦しめて来たんだから、支給されるお金も正当な権利で搾取させて貰おう
「あの男とあの男の愛人には強制的に結婚してもらいます。ずっと結婚したがってたんだから文句はないでしょ。勿論、離縁なんて認めません。身分剥奪しない代わりにアルカス地方に行ってもらいます。男爵として貰えるお金の半分は、お祖父様から不当に受け取ってたお金を返却してもらいます。残ったお金からまた半分をお母様と私に対しての慰謝料として貰います。残りはあの人たちの生活費として残してあげましょう。全部の支払いが終わったら、アルカス地方から解放しても構いませんが一体何時になるんでしょうね?」
お祖父様からの支援金はかなりの額だったはずです。
公爵家の娘だったお母様が生活基準が下がって苦労しないように、渡したお金なんだからそれなりに多いはずです。
そのお金を10年近く貰ってたんですから、私とお母様の慰謝料だって10年近くの監禁、暴行、脅迫なんだからかなりの金額になる。
あの男には国から支給されるお金の4分の1残るけど、服や食料でほぼ無くなるわね
死んだら困るからそれぐらいは残さないと
簡単に死なれてお金が返金されないなんてことになったら、公爵家は無駄金を使ったことになるんだから
私が部屋に入ってから一切喋ってなかった理事長が、私の話を聞いてクスクス笑い始めた。
「それは良い考えだね。公爵家の皆さんが反対しないなら、俺から兄さんに提案しますよ。きっと兄さんも大賛成しますよ。アルカス地方の問題が何十年間は解決することになるからな」
「父上、俺は賛成だ。死刑か身分剥奪にしても、金額が金額だから生きてる間に返せないだろ。」
「そうだな。殿下お願いしても構いませんか?」
「あぁ、任せろ」
部屋にいる皆があの男たちの今後を考えて、スッキリする結果になりそうで笑顔になった
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