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第三話 side:U 披露宴とその夜と
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「あーちゃんのかわりに、ゆうくん。僕の奥さん役、できる・・・?」
うん?
うん???
俺が奥さん役?
「え?あ、今日?あ、うん。今日はだって、花嫁いないとまずいし・・・?披露宴は俺の友達もいるからなるべく俯いてるしかないかなぁ・・・」
嗣にぃから出た提案に一瞬ハテナが乱舞したものの、今日か!と理解ができて、俺は頷く。
俺とあさは高校も一緒だったので、共通の友人が結構いるのだ。
バレないとは思うが、警戒しておくのは悪いことじゃない。不自然にならない程度で顔を隠す努力はしとこう。
俺と違って相手は社会人で、取り返しがつかない部分でもあるのだし。
しかし、嗣にぃは頭を横に振った。
「いや?その後もだよ。新婚旅行は都合がつけばなるべく付き合ってほしい。その後は・・・そうだな、一年は一緒に住んで新婚ごっこしてほしいかなぁ・・・」
「うん?!?!」
え、なんつった?えぇ?
俺が目を何度も瞬かせていると、嗣にぃがにっこりと微笑む。
うお、顔面偏差値で攻めてくるのやめてほしいわ・・・。
「ほら、ここは日本だしね。さすがに即離婚は問題があってね。一年くらいすれば、まあ・・・大丈夫とは思うし。大学なら僕が住んでるマンションからも近いよね?あーちゃん用ではあったけど、それなりに細々としているものも揃ってるし。着の身着のままで来てもらっても大丈夫だよ」
どうかな?と首を傾げる。
・・・言っていることは確かに筋は通っている。
俺が先ほど考えたように、ここが外国であればいざ知らず、日本という場所では変な噂しか出ないだろう。
しかし・・・冷静に見えて目の前の男、相当にテンパってるな?
それでもスマートさを保ち、慌てた感がないのは、やはりエリートだからなのか。
それとも麗華れいかさんーー桐月麗華きりつきれいか。目の前にいる嗣にぃのお母さんで、母さんの幼馴染だーーの教育の賜物なのか。外で見る麗華さんはいつも凛としていて美しい人だ。ただ母さんの前では随分違うけど。
一年、一年か・・・嗣にぃは俺でいいのかな、これ。
いや、あさに似ていて内情を知っていて、となると俺しかいないか・・・。
一年。
たった一年。
されど一年。
色ボケた思考でいかせてもらえるならば、ずっと好きだった嗣にぃと、どう言う形であれ一年間一緒に暮らせるのは幸せかもしれない。
一年後に出ていくのが決まっていたとしても、一年間は浮気もしないだろうし。
このえらく顔がいい男は、そういうところはキッチリと決めてくると俺は知っている。
母さんの話だと、あさは無事だ。居場所を知りたくはあるけれど、身の安全は心配しなくてもいいのだろう。
ならば、今はきっと好機だーー今しかない、チャンス。
ここを逃したらこんな巡り合わせはきっとないだろう。
だから俺は、
「・・・いいよ。今日から一年間、嗣にぃの奥さん役をやるよ」
嗣にぃを見上げて、頷いた。
※
「つ、疲れたぁ・・・っ・・・」
部屋へと続く扉を潜るなり、俺はその場にへたり込む。
披露宴があんなに疲れるものだとは知らなかった。
とにかく、疲れたの一言しかない。
バレない様に気を遣いつつ、しかし下ばかりを向いているわけにもいかず、適度に笑顔を浮かべながら会場を見る。
これだけのことがこれほど疲れるとは・・・いや、他にも色々とあるにはあった。
キャンドルサービスをしたり、お色直しをしたり・・・とにかく食べる暇さえなかったのだ花嫁役は。控え室で用意されたドリンクとサンドイッチをかっこむのがせいぜいだ。あれ、花嫁の前の食事なくていいと思う・・・。
何より肝が冷えたのは恒例の『花嫁からの手紙』だ。
原稿は手元にあったが、とにかく俺とあさじゃ声質が違う。
俺もそう低いわけではないがーーくそっーー女性の声に聞こえるものでもない。
どうしようか?と考えあぐねていたらアテンドの一人が声をかけてきた。
『喉の具合は大丈夫ですか?』と。
俺は首を傾げたが話を聞くに、なんとあさは昨日のうちに『喉の調子が良くないからもしもの時はこれを流して欲しい』と音声の入ったUSBを用意してアテンドに渡していたのだ!
・・・用意周到すぎる。俺を身代わりにする気まんまんじゃねーか・・・。
兎も角、なんとかそれを使用して乗り切った。
その後は『喉の調子が良くない』設定で通して、喋らなければいけないものは全て嗣にぃにおまかせである。
「あのあさちゃんも緊張するのねえ」なんてそこかしこから聞こえてきたが、とりあえずそれも笑顔で乗り切った。・・・あさ、破天荒だもんな。俺に対してもだけど。現在進行形で破天荒だけど。
俺の両親はと言えば、父さんは始終青い顔してたがーーなら反対しろよーー、母さんは麗華さんと一緒に披露宴を楽しんでいたのだから呑気なものだ。
麗華さんは普段のあさを知っているので少し心配そうではあったけれども。
そして、今。
俺と嗣にぃはホテルの一室に入ったところだ。
元々式場はホテルだったので、式後に一泊のおまけつきだったらしい。
しかもなんたらスイートとかいうやつだ。
多分身代わりしてなかったら一生泊まれないやつじゃないだろうか。
「ゆうくん、大丈夫?」
今はカジュアルな格好になっている嗣にぃが、心配そうな顔をして俺に手を差し出してくる。その手を取りつつ、俺はまた立ち上がる。
「・・・割と、疲れた・・・嗣にぃは?」
「まあ、そうだね・・・多少はね。でもまだ大丈夫だよ。この後の二次会はお酒を飲む場だし、僕の知り合いばかりだし・・・ゆうくうは休んでていいよ」
「えぇ・・・少しでも顔出した方が良くないかな・・・?」
連れられるままに歩き、ベッドの端に俺が座る。すると、嗣にぃも俺の横に座った。
二次会に花嫁いないのはまずくないかなぁ。大丈夫だろうか。
「そのあたりは心配しなくて大丈夫。僕は割と口が上手いしね。ところでゆうくん、ベッドの上見た?」
「ん?・・・うわっ」
嗣にぃに指摘されるまで気づかなかったのだが、ベッドの上は色とりどりの花で飾られており、その中心には『ご結婚おめでとうございます』と書かれたハート型のメッセージカードが置かれていた。
「え、これ、えっ・・・」
俺が指差して、口をぱくぱくとさせていると、嗣にぃがくつくつと笑った。
「いや、結構目立つのに反応ないなって思ったんだ。気付けないくらいに疲れてるのかもしれないね。これ、どう見ても初夜用の演出だろうねぇ」
「しょや・・・しょや・・・」
「そうそう。初夜。今日がその夜だね」
微笑む嗣にぃ。それを瞬き繰り返しつつ見つめる俺。
しょや・・・しょ・・・初夜!!あーーーー初夜かーーー!!
あーーーねぇーーーーーー結婚式の夜ですもんねぇ?!?!
いや?!俺にはね!関係ないけどね?!
しかし人間とは不思議なもので、一度その言葉を意識してしまうと頭の中でリフレインされてしまう。
頬が熱くなってきて、自分の顔が赤くなっているのだと気付く。
うっわ恥ずかしい・・・!俺は咄嗟に頬を両手で覆った。
「これ、あーちゃんなら邪魔とか言って蹴散らしそうなんだけど」
「へ?あっ、ああ、あさ?!あーねーーーっ、あさは多分四方に投げるよね?!」
「ああ、それもしそうだね。どこまで飛ぶか勝負、とか言い出しそうだよね。でも、ゆうくんは・・・」
隣にいる嗣にぃが、俺の顔を覗き込む様に顔を近づけてくる。
え、ちょっと、今はそんなに近付かないで欲しいんだけど?!
そんな風に思っていると、不意に、肩をとんと押された。
頬を覆っていたせいで両手は塞がっており、急な衝撃に俺の身体が傾いで、ベッドの上に倒れる。
俺の視界が天井に変わり、そこに嗣にぃが入ってきた。
・・・あれ?俺、これ・・・押し倒されてませんかね・・・?
「すごーく可愛い反応するね」
そして、こともあろうか、嗣にぃが俺のおでこに口付ける。
「・・・っちょっ?!?!?!ちょっ・・・!!」
さらに頬に熱が集まるのがわかる。どんだけ真っ赤になってるんだろうか、俺は。
嗣にぃは楽しそうに笑うばかりなので、悔しくて、軽く蹴る。
「お嫁さんの足癖が悪いなぁ。小さい頃は僕がキスしてあげなきゃ寝なかったのにね?」
ぎゃーーーーーーーーーーーーっ!!!!
何を!!言ってくれているのだ!!この男は!!黒歴史!イッツ黒歴史・・・!
くそくそっ!!
頬にあった手はもう無意味なようなので、そこにあった手で俺はまだ近い場所にいる嗣にぃを叩く。
「それ、小学校の頃だし・・・‼もういいから!!二次会に‼行きなよっ!!」
「えぇ・・・DVはダメだよ?ね?」
隙をついてもう一度額にキスされた。
笑いながら嗣にぃは立ち上がり、入ってきた方へと向かう。
「なるべく早く戻ってはくるけど、先に休んでていいからね。奥さん」
「遅くてもいいよ!!」
「あははっ」
笑い声と一緒にドアが閉まる音が聞こえた。
ああ!もう!くそっ!!くそーーーーっ!からかわれてるじゃん!俺!
悔しくて花を一つ掴んで投げた。
しかし、あれさえも格好いいと思ってしまう俺は・・・結構末期だ。
うん?
うん???
俺が奥さん役?
「え?あ、今日?あ、うん。今日はだって、花嫁いないとまずいし・・・?披露宴は俺の友達もいるからなるべく俯いてるしかないかなぁ・・・」
嗣にぃから出た提案に一瞬ハテナが乱舞したものの、今日か!と理解ができて、俺は頷く。
俺とあさは高校も一緒だったので、共通の友人が結構いるのだ。
バレないとは思うが、警戒しておくのは悪いことじゃない。不自然にならない程度で顔を隠す努力はしとこう。
俺と違って相手は社会人で、取り返しがつかない部分でもあるのだし。
しかし、嗣にぃは頭を横に振った。
「いや?その後もだよ。新婚旅行は都合がつけばなるべく付き合ってほしい。その後は・・・そうだな、一年は一緒に住んで新婚ごっこしてほしいかなぁ・・・」
「うん?!?!」
え、なんつった?えぇ?
俺が目を何度も瞬かせていると、嗣にぃがにっこりと微笑む。
うお、顔面偏差値で攻めてくるのやめてほしいわ・・・。
「ほら、ここは日本だしね。さすがに即離婚は問題があってね。一年くらいすれば、まあ・・・大丈夫とは思うし。大学なら僕が住んでるマンションからも近いよね?あーちゃん用ではあったけど、それなりに細々としているものも揃ってるし。着の身着のままで来てもらっても大丈夫だよ」
どうかな?と首を傾げる。
・・・言っていることは確かに筋は通っている。
俺が先ほど考えたように、ここが外国であればいざ知らず、日本という場所では変な噂しか出ないだろう。
しかし・・・冷静に見えて目の前の男、相当にテンパってるな?
それでもスマートさを保ち、慌てた感がないのは、やはりエリートだからなのか。
それとも麗華れいかさんーー桐月麗華きりつきれいか。目の前にいる嗣にぃのお母さんで、母さんの幼馴染だーーの教育の賜物なのか。外で見る麗華さんはいつも凛としていて美しい人だ。ただ母さんの前では随分違うけど。
一年、一年か・・・嗣にぃは俺でいいのかな、これ。
いや、あさに似ていて内情を知っていて、となると俺しかいないか・・・。
一年。
たった一年。
されど一年。
色ボケた思考でいかせてもらえるならば、ずっと好きだった嗣にぃと、どう言う形であれ一年間一緒に暮らせるのは幸せかもしれない。
一年後に出ていくのが決まっていたとしても、一年間は浮気もしないだろうし。
このえらく顔がいい男は、そういうところはキッチリと決めてくると俺は知っている。
母さんの話だと、あさは無事だ。居場所を知りたくはあるけれど、身の安全は心配しなくてもいいのだろう。
ならば、今はきっと好機だーー今しかない、チャンス。
ここを逃したらこんな巡り合わせはきっとないだろう。
だから俺は、
「・・・いいよ。今日から一年間、嗣にぃの奥さん役をやるよ」
嗣にぃを見上げて、頷いた。
※
「つ、疲れたぁ・・・っ・・・」
部屋へと続く扉を潜るなり、俺はその場にへたり込む。
披露宴があんなに疲れるものだとは知らなかった。
とにかく、疲れたの一言しかない。
バレない様に気を遣いつつ、しかし下ばかりを向いているわけにもいかず、適度に笑顔を浮かべながら会場を見る。
これだけのことがこれほど疲れるとは・・・いや、他にも色々とあるにはあった。
キャンドルサービスをしたり、お色直しをしたり・・・とにかく食べる暇さえなかったのだ花嫁役は。控え室で用意されたドリンクとサンドイッチをかっこむのがせいぜいだ。あれ、花嫁の前の食事なくていいと思う・・・。
何より肝が冷えたのは恒例の『花嫁からの手紙』だ。
原稿は手元にあったが、とにかく俺とあさじゃ声質が違う。
俺もそう低いわけではないがーーくそっーー女性の声に聞こえるものでもない。
どうしようか?と考えあぐねていたらアテンドの一人が声をかけてきた。
『喉の具合は大丈夫ですか?』と。
俺は首を傾げたが話を聞くに、なんとあさは昨日のうちに『喉の調子が良くないからもしもの時はこれを流して欲しい』と音声の入ったUSBを用意してアテンドに渡していたのだ!
・・・用意周到すぎる。俺を身代わりにする気まんまんじゃねーか・・・。
兎も角、なんとかそれを使用して乗り切った。
その後は『喉の調子が良くない』設定で通して、喋らなければいけないものは全て嗣にぃにおまかせである。
「あのあさちゃんも緊張するのねえ」なんてそこかしこから聞こえてきたが、とりあえずそれも笑顔で乗り切った。・・・あさ、破天荒だもんな。俺に対してもだけど。現在進行形で破天荒だけど。
俺の両親はと言えば、父さんは始終青い顔してたがーーなら反対しろよーー、母さんは麗華さんと一緒に披露宴を楽しんでいたのだから呑気なものだ。
麗華さんは普段のあさを知っているので少し心配そうではあったけれども。
そして、今。
俺と嗣にぃはホテルの一室に入ったところだ。
元々式場はホテルだったので、式後に一泊のおまけつきだったらしい。
しかもなんたらスイートとかいうやつだ。
多分身代わりしてなかったら一生泊まれないやつじゃないだろうか。
「ゆうくん、大丈夫?」
今はカジュアルな格好になっている嗣にぃが、心配そうな顔をして俺に手を差し出してくる。その手を取りつつ、俺はまた立ち上がる。
「・・・割と、疲れた・・・嗣にぃは?」
「まあ、そうだね・・・多少はね。でもまだ大丈夫だよ。この後の二次会はお酒を飲む場だし、僕の知り合いばかりだし・・・ゆうくうは休んでていいよ」
「えぇ・・・少しでも顔出した方が良くないかな・・・?」
連れられるままに歩き、ベッドの端に俺が座る。すると、嗣にぃも俺の横に座った。
二次会に花嫁いないのはまずくないかなぁ。大丈夫だろうか。
「そのあたりは心配しなくて大丈夫。僕は割と口が上手いしね。ところでゆうくん、ベッドの上見た?」
「ん?・・・うわっ」
嗣にぃに指摘されるまで気づかなかったのだが、ベッドの上は色とりどりの花で飾られており、その中心には『ご結婚おめでとうございます』と書かれたハート型のメッセージカードが置かれていた。
「え、これ、えっ・・・」
俺が指差して、口をぱくぱくとさせていると、嗣にぃがくつくつと笑った。
「いや、結構目立つのに反応ないなって思ったんだ。気付けないくらいに疲れてるのかもしれないね。これ、どう見ても初夜用の演出だろうねぇ」
「しょや・・・しょや・・・」
「そうそう。初夜。今日がその夜だね」
微笑む嗣にぃ。それを瞬き繰り返しつつ見つめる俺。
しょや・・・しょ・・・初夜!!あーーーー初夜かーーー!!
あーーーねぇーーーーーー結婚式の夜ですもんねぇ?!?!
いや?!俺にはね!関係ないけどね?!
しかし人間とは不思議なもので、一度その言葉を意識してしまうと頭の中でリフレインされてしまう。
頬が熱くなってきて、自分の顔が赤くなっているのだと気付く。
うっわ恥ずかしい・・・!俺は咄嗟に頬を両手で覆った。
「これ、あーちゃんなら邪魔とか言って蹴散らしそうなんだけど」
「へ?あっ、ああ、あさ?!あーねーーーっ、あさは多分四方に投げるよね?!」
「ああ、それもしそうだね。どこまで飛ぶか勝負、とか言い出しそうだよね。でも、ゆうくんは・・・」
隣にいる嗣にぃが、俺の顔を覗き込む様に顔を近づけてくる。
え、ちょっと、今はそんなに近付かないで欲しいんだけど?!
そんな風に思っていると、不意に、肩をとんと押された。
頬を覆っていたせいで両手は塞がっており、急な衝撃に俺の身体が傾いで、ベッドの上に倒れる。
俺の視界が天井に変わり、そこに嗣にぃが入ってきた。
・・・あれ?俺、これ・・・押し倒されてませんかね・・・?
「すごーく可愛い反応するね」
そして、こともあろうか、嗣にぃが俺のおでこに口付ける。
「・・・っちょっ?!?!?!ちょっ・・・!!」
さらに頬に熱が集まるのがわかる。どんだけ真っ赤になってるんだろうか、俺は。
嗣にぃは楽しそうに笑うばかりなので、悔しくて、軽く蹴る。
「お嫁さんの足癖が悪いなぁ。小さい頃は僕がキスしてあげなきゃ寝なかったのにね?」
ぎゃーーーーーーーーーーーーっ!!!!
何を!!言ってくれているのだ!!この男は!!黒歴史!イッツ黒歴史・・・!
くそくそっ!!
頬にあった手はもう無意味なようなので、そこにあった手で俺はまだ近い場所にいる嗣にぃを叩く。
「それ、小学校の頃だし・・・‼もういいから!!二次会に‼行きなよっ!!」
「えぇ・・・DVはダメだよ?ね?」
隙をついてもう一度額にキスされた。
笑いながら嗣にぃは立ち上がり、入ってきた方へと向かう。
「なるべく早く戻ってはくるけど、先に休んでていいからね。奥さん」
「遅くてもいいよ!!」
「あははっ」
笑い声と一緒にドアが閉まる音が聞こえた。
ああ!もう!くそっ!!くそーーーーっ!からかわれてるじゃん!俺!
悔しくて花を一つ掴んで投げた。
しかし、あれさえも格好いいと思ってしまう俺は・・・結構末期だ。
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