虹色アンティーク

赤尾ロマ

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その16 ボローさんとご対面!

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「……ここは?」
 たどり着いたのは、さっきの真っ暗な世界じゃなかった。
 あたたかい光がさしこむ、白っぽい部屋。遠くからは、小さな鳥のさえずりも聞こえる。
 部屋の中には、あらゆるところに絵のキャンバスがある。そして、木の床には、絵の具や油のシミがたくさんついていた。
「ここは、アトリエ……か?」
 伊吹がキョロキョロと見回す。アトリエというのは、画家が絵を描く部屋のこと……だよね?
 実際に、私たちの目の前には、キャンバスに向かって絵を描く、小さなおじいさんがいた。
「おい! あれがボローってヤツじゃねぇのか?」
 つぼっちがコソコソと話したあとで、私は「いや、でも……」と言葉をつまらせた。
 たしかにこのおじいさんは、絵を描いている。その絵はもちろん、私たちが入ってきた、ボローの奥さんと娘さんが描かれたあの絵だ。
 でも、おじいさんの前には、その二人はいない。おじいさんの前にあるのは、大きな窓だけだ。
「……だれかね?」
 ふいに、おじいさんがふり向いた。私たちはかくれるひまもなく、思わず気をつけをしてしまった。
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