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第五章 えみの事情
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レスキーの存在など、忘れていた。
俺は、えみの柔らかそうな小さな唇へ、自分の唇を重ね合わせていた。
瞬間、身体の芯まで、痺れるような感触。
えみは、思った以上に酔ってしまいそうなくらい魅惑的すぎた。
もっと、もっと知り尽くしたくなる。
欲望が滾る。
予測はついていたから、俺は我慢してきたのに。
最初の口づけから、極力避けていたのに。
えみを怖がらせないように、俺は触れたいのをずっと我慢していた。
どうにか自分を見てくれるように、心を和ませることが出来るように。
普段の俺らしくなく、優しく接してきたつもりなのに。
レスキーといい、教授といい、えみじゃない第三者が俺の努力を壊してくれた。
「……さっきも言ったけど、俺は君を帰すつもりはない」
「え?」
顔を上げた俺はそう言い、えみを自分の胸奥へ抱き寄せていた。
「祥を本気にさせるとはね」
「レスキーもじゃないのか? 悪いけど、えみは誰にも渡すつもりはない」
「……だろうね」
「レスキー、二人の荷物を部屋へ届けて欲しい。先に部屋へ戻る」
「わかったよ」
「祥さん、この姿のままで?」
水着のままだったので、我に返ったえみが口を挟んできた。
「問題ない。裏手に特別な入り口がある」
「で、でも」
俺は、もう一度えみの唇に触れたあと、彼女を連れて歩き出していたーー。
レスキーの存在など、忘れていた。
俺は、えみの柔らかそうな小さな唇へ、自分の唇を重ね合わせていた。
瞬間、身体の芯まで、痺れるような感触。
えみは、思った以上に酔ってしまいそうなくらい魅惑的すぎた。
もっと、もっと知り尽くしたくなる。
欲望が滾る。
予測はついていたから、俺は我慢してきたのに。
最初の口づけから、極力避けていたのに。
えみを怖がらせないように、俺は触れたいのをずっと我慢していた。
どうにか自分を見てくれるように、心を和ませることが出来るように。
普段の俺らしくなく、優しく接してきたつもりなのに。
レスキーといい、教授といい、えみじゃない第三者が俺の努力を壊してくれた。
「……さっきも言ったけど、俺は君を帰すつもりはない」
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「わかったよ」
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