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飛ぶ
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「明日、アレ処分しといて。やっぱどこも引き取れないって」
日誌をつけていた俺は、看守長の言葉に反射的に「はい」と答えた。意味を理解して頭を上げたときには、そそくさと逃げ出す中年男の背中がちらりと見えただけだった。
書き終えた日誌を閉じ、自分の宿舎ではなく独房の方に向かう。「アレ」、つまり鹵獲したものの持て余された軍竜は、一番奥の房で尻尾を吸いながら丸まっていた。体は俺の数倍はあるが、まだまだ竜としては子供らしい。
「おい、起きろ」
叩き起こした竜を暗い中庭に引きずり出す。眠そうに目を擦る前足から鎖を外し、口枷も外してやる。
「おら、どっか行けや。山奥にでもこもって二度と人間様に関わるんじゃねえぞ」
そう言って小突くと、竜は不思議そうな顔をして俺を見た。さっさと行け、と威嚇のつもりで外した鎖を振ると、何を勘違いしたのかキャンと甲高い声を上げて飛び掛かってくる。
「うわバカやめろ!」
避ける間もなく咥えられる。ばさりと羽ばたきの音が聞こえた、と思った瞬間、俺の体は空高く浮かんでいた。
眼下で小さくなった監獄は、あっという間に闇の中に溶けていった。
日誌をつけていた俺は、看守長の言葉に反射的に「はい」と答えた。意味を理解して頭を上げたときには、そそくさと逃げ出す中年男の背中がちらりと見えただけだった。
書き終えた日誌を閉じ、自分の宿舎ではなく独房の方に向かう。「アレ」、つまり鹵獲したものの持て余された軍竜は、一番奥の房で尻尾を吸いながら丸まっていた。体は俺の数倍はあるが、まだまだ竜としては子供らしい。
「おい、起きろ」
叩き起こした竜を暗い中庭に引きずり出す。眠そうに目を擦る前足から鎖を外し、口枷も外してやる。
「おら、どっか行けや。山奥にでもこもって二度と人間様に関わるんじゃねえぞ」
そう言って小突くと、竜は不思議そうな顔をして俺を見た。さっさと行け、と威嚇のつもりで外した鎖を振ると、何を勘違いしたのかキャンと甲高い声を上げて飛び掛かってくる。
「うわバカやめろ!」
避ける間もなく咥えられる。ばさりと羽ばたきの音が聞こえた、と思った瞬間、俺の体は空高く浮かんでいた。
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