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摩天楼
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深夜になるといえど、キラキラとした街の灯りは消えない。
「夜の眷属も肩身の狭い時代になったものだ」
「そんなもんすかねえ?」
高層ビルのフェンスに足先を引っ掛けた「親」がまた落っこちないか見ていると、「これだから電灯世代はいかんね」と彼は腕を組んだ。
「昏き夜の中、我々がその主であった頃のことを知らないとは嘆かわしいことだ」
「吸血鬼界におけるZ世代とかゆとり的意味ですかねそれは」
スケールでかいな。エジソンが電球発明したの何年前だよ。
そうだよ昔はもっと、と語り始めたら長いのは人間でもそうでなくても変わらない。うんざりしながら相槌を打っていると、不意に「親」のスマホが鳴った。
「あ、配達入った」
「は?」
「ちょっと行ってくるぞ」
そう言うなり彼は物陰からバカでかい鞄を引っ張り出して背負った。行く先を追うと、そのままビルの下にあるファストフード店へと入っていく。
「……」
やがて店から出てきた彼がふわふわと夜空に消えていくところまで見送って、私もビルの上から飛び降りた。
暑いので、コンビニでも行って涼もうと思ったのだ。
「夜の眷属も肩身の狭い時代になったものだ」
「そんなもんすかねえ?」
高層ビルのフェンスに足先を引っ掛けた「親」がまた落っこちないか見ていると、「これだから電灯世代はいかんね」と彼は腕を組んだ。
「昏き夜の中、我々がその主であった頃のことを知らないとは嘆かわしいことだ」
「吸血鬼界におけるZ世代とかゆとり的意味ですかねそれは」
スケールでかいな。エジソンが電球発明したの何年前だよ。
そうだよ昔はもっと、と語り始めたら長いのは人間でもそうでなくても変わらない。うんざりしながら相槌を打っていると、不意に「親」のスマホが鳴った。
「あ、配達入った」
「は?」
「ちょっと行ってくるぞ」
そう言うなり彼は物陰からバカでかい鞄を引っ張り出して背負った。行く先を追うと、そのままビルの下にあるファストフード店へと入っていく。
「……」
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暑いので、コンビニでも行って涼もうと思ったのだ。
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