大悪魔を駆使して始まる世界征服

丹波 新

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第三章 廃墟の遊園地

22話 バナナ遊園地、来園前!

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オカルト研究部の、もといクレヴァナルのメンバーは目的地である廃墟となったバナナ遊園地の入口へと来ていた。

「そ、そんなばなな……我が魔道具にこれ程の影響を及ぼすとは、何たるぎょうこう! マナの宝物庫ではないか!」

ダークネス・カイザー様は、スマートフォンを片手にわなわなと震えていた。

「ぶ、部長、何をしてなさるんです……?」

「よくぞ聞いてくれた! クリスチャンよ! これは――」

「今、流行のゲームでしょう。確かマナマナって言うゲーム。マナを集めて見事、10連ガチャ無料みたいなゲーム」

「は、はぁ~~、私にはよくわかりませんね。あははははははは」

「ただのゲームではない。生と死を掛けたデスゲームだ」

「ああぁ、はいはい」

ビーブリオテーカ様が軽くあしらっていた。

(それではこちらも準備をしようかしら――9時47分か、さてどこにいるのかしら……?)

私はスマートフォンで時間を確かめ、とある人物を探していた。

「あ、あの受付けにいる人じゃないかな。く、黒井さん」

ソリトゥス様が指を差した先には男の老人が一人でこちらをじっと見て、目が合うと私たちに手招きをしていた。私はその手招きに応じて、しばし皆の元から離れて行った。

「お嬢さん方が先日連絡をくれたどこぞの学生さんでいいのかな……?」

「あっ、はい、今日は何卒よろしくお願いいたします。貴方が電話で話してくれた、この遊園地のオーナーさんですよね。今日は動画投稿の為のネタの提供と、オカルト研究部としての事件の真相についての捜査に参りました」

「キミが電話をくれた黒井アゲハさんでいいのかな……?」

「はい、この度は、遊園地への来園の許可を出してくださりありがとうございます」

「いいよいいよ、そんなにかしこまらなくても、それにお世話になるのはこちらなんだし……」

「やっぱり出ます……?」

「うん、多分ね、わしも長いことここへは来ていないから、それに入るつもりもない。キミ達、ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつ、全員で5名か。まさかホントに来るとは思っていなくてねぇ、ははは」

「ご迷惑であればすぐに言ってください」

「とんでもない! この廃墟となった遊園地を元に戻してくれるかもしれないんだ。こちらはその気持ちだけでも十分なのに、解決まで引き受けてくれるなんて、心強いよ」

「あまり期待しないでください」

「あぁ、プレッシャーになっちゃうか……? まぁいいや当園にようこそ御剣星座標学園の生徒さん方……遊園地のアトラクションは動かないけど心行くまでお楽しみを――」

そうして私は老人とのあいさつも終え、先輩方の元に戻っていった。その途中に私はデビルンに問いかけた。

「(どう、ここは魔力で満ち溢れているかしら)」

「どうだろうなぁ、入って確かめないとわからないなぁ~~、ウシシシシ」

おそらく気づいているのに言わないのは、さっきのロリータヒールの仕返しだろうとすぐにわかった。

「入っても良いと……?」

ダークネス・カイザー様に確認された。

「はい、どうぞ皆さんは先に園内へお入りください。私はここでやることがあるので……クリスチャン!」

「あっ! は~~い!」

そうしてダークネス・カイザー様、ビーブリオテーカ様、ソリトゥス様はバナナ遊園地へと来園していった。

「おいっ! 入らないのか!? 何のためにここまで来たんだよ!!」

「誰も入らないとは言っていないでしょう。さっきもあの老人に言ったように動画をとる目的もあるのですよ」

「おお! そうか! そうだった!」

バステトがデビルンと会話しているとクリスチャンがこう言って来た。

「――バステトちゃんが見えない何かにミャミャ言ってます~~これは早くも出たのではありませんか」

それを聞いた私がバステトの頭を撫でて静まらせる。デビルンも空気を読んで静まり返った。

「じゃあ、これ、こういう風に使って、ここが録画ボタン。で、ここが停止ボタン。ズーム機能は使わなくていいわ……それから――」

私は念入りにクリスチャンに録画機材の使い方を教えていた。

(さて、動画配信フォームに切り替えないと……)

「では、とりますよ~~、えっとバナナ遊園地の看板が入るようにカメラの角度を調整してと……」

(今日の私の勝負服に乱れはないかしら……)

「さん! にぃ! いち!」

(カメラ目線カメラ目線)

「――アクション」

(大邪神様よお力を……)

「――我が名はデイネブリスパピヨン! 汝らの主、そして世界を征服するその者なり! 使い魔たちよ。この度もよくぞ我が動画に参られた! その忠誠は見事なり! こたびの動画はここ、廃墟となったバナナ遊園地でオカルト動画を取ることだ!」

カッコいいポーズも決めた、私のオッドアイの眼光は凛々しく輝いていたことだろう。
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