22 / 52
第三章 廃墟の遊園地
22話 バナナ遊園地、来園前!
しおりを挟む
オカルト研究部の、もといクレヴァナルのメンバーは目的地である廃墟となったバナナ遊園地の入口へと来ていた。
「そ、そんなばなな……我が魔道具にこれ程の影響を及ぼすとは、何たるぎょうこう! マナの宝物庫ではないか!」
ダークネス・カイザー様は、スマートフォンを片手にわなわなと震えていた。
「ぶ、部長、何をしてなさるんです……?」
「よくぞ聞いてくれた! クリスチャンよ! これは――」
「今、流行のゲームでしょう。確かマナマナって言うゲーム。マナを集めて見事、10連ガチャ無料みたいなゲーム」
「は、はぁ~~、私にはよくわかりませんね。あははははははは」
「ただのゲームではない。生と死を掛けたデスゲームだ」
「ああぁ、はいはい」
ビーブリオテーカ様が軽くあしらっていた。
(それではこちらも準備をしようかしら――9時47分か、さてどこにいるのかしら……?)
私はスマートフォンで時間を確かめ、とある人物を探していた。
「あ、あの受付けにいる人じゃないかな。く、黒井さん」
ソリトゥス様が指を差した先には男の老人が一人でこちらをじっと見て、目が合うと私たちに手招きをしていた。私はその手招きに応じて、しばし皆の元から離れて行った。
「お嬢さん方が先日連絡をくれたどこぞの学生さんでいいのかな……?」
「あっ、はい、今日は何卒よろしくお願いいたします。貴方が電話で話してくれた、この遊園地のオーナーさんですよね。今日は動画投稿の為のネタの提供と、オカルト研究部としての事件の真相についての捜査に参りました」
「キミが電話をくれた黒井アゲハさんでいいのかな……?」
「はい、この度は、遊園地への来園の許可を出してくださりありがとうございます」
「いいよいいよ、そんなにかしこまらなくても、それにお世話になるのはこちらなんだし……」
「やっぱり出ます……?」
「うん、多分ね、わしも長いことここへは来ていないから、それに入るつもりもない。キミ達、ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつ、全員で5名か。まさかホントに来るとは思っていなくてねぇ、ははは」
「ご迷惑であればすぐに言ってください」
「とんでもない! この廃墟となった遊園地を元に戻してくれるかもしれないんだ。こちらはその気持ちだけでも十分なのに、解決まで引き受けてくれるなんて、心強いよ」
「あまり期待しないでください」
「あぁ、プレッシャーになっちゃうか……? まぁいいや当園にようこそ御剣星座標学園の生徒さん方……遊園地のアトラクションは動かないけど心行くまでお楽しみを――」
そうして私は老人とのあいさつも終え、先輩方の元に戻っていった。その途中に私はデビルンに問いかけた。
「(どう、ここは魔力で満ち溢れているかしら)」
「どうだろうなぁ、入って確かめないとわからないなぁ~~、ウシシシシ」
おそらく気づいているのに言わないのは、さっきのロリータヒールの仕返しだろうとすぐにわかった。
「入っても良いと……?」
ダークネス・カイザー様に確認された。
「はい、どうぞ皆さんは先に園内へお入りください。私はここでやることがあるので……クリスチャン!」
「あっ! は~~い!」
そうしてダークネス・カイザー様、ビーブリオテーカ様、ソリトゥス様はバナナ遊園地へと来園していった。
「おいっ! 入らないのか!? 何のためにここまで来たんだよ!!」
「誰も入らないとは言っていないでしょう。さっきもあの老人に言ったように動画をとる目的もあるのですよ」
「おお! そうか! そうだった!」
バステトがデビルンと会話しているとクリスチャンがこう言って来た。
「――バステトちゃんが見えない何かにミャミャ言ってます~~これは早くも出たのではありませんか」
それを聞いた私がバステトの頭を撫でて静まらせる。デビルンも空気を読んで静まり返った。
「じゃあ、これ、こういう風に使って、ここが録画ボタン。で、ここが停止ボタン。ズーム機能は使わなくていいわ……それから――」
私は念入りにクリスチャンに録画機材の使い方を教えていた。
(さて、動画配信フォームに切り替えないと……)
「では、とりますよ~~、えっとバナナ遊園地の看板が入るようにカメラの角度を調整してと……」
(今日の私の勝負服に乱れはないかしら……)
「さん! にぃ! いち!」
(カメラ目線カメラ目線)
「――アクション」
(大邪神様よお力を……)
「――我が名はデイネブリスパピヨン! 汝らの主、そして世界を征服するその者なり! 使い魔たちよ。この度もよくぞ我が動画に参られた! その忠誠は見事なり! こたびの動画はここ、廃墟となったバナナ遊園地でオカルト動画を取ることだ!」
カッコいいポーズも決めた、私のオッドアイの眼光は凛々しく輝いていたことだろう。
「そ、そんなばなな……我が魔道具にこれ程の影響を及ぼすとは、何たるぎょうこう! マナの宝物庫ではないか!」
ダークネス・カイザー様は、スマートフォンを片手にわなわなと震えていた。
「ぶ、部長、何をしてなさるんです……?」
「よくぞ聞いてくれた! クリスチャンよ! これは――」
「今、流行のゲームでしょう。確かマナマナって言うゲーム。マナを集めて見事、10連ガチャ無料みたいなゲーム」
「は、はぁ~~、私にはよくわかりませんね。あははははははは」
「ただのゲームではない。生と死を掛けたデスゲームだ」
「ああぁ、はいはい」
ビーブリオテーカ様が軽くあしらっていた。
(それではこちらも準備をしようかしら――9時47分か、さてどこにいるのかしら……?)
私はスマートフォンで時間を確かめ、とある人物を探していた。
「あ、あの受付けにいる人じゃないかな。く、黒井さん」
ソリトゥス様が指を差した先には男の老人が一人でこちらをじっと見て、目が合うと私たちに手招きをしていた。私はその手招きに応じて、しばし皆の元から離れて行った。
「お嬢さん方が先日連絡をくれたどこぞの学生さんでいいのかな……?」
「あっ、はい、今日は何卒よろしくお願いいたします。貴方が電話で話してくれた、この遊園地のオーナーさんですよね。今日は動画投稿の為のネタの提供と、オカルト研究部としての事件の真相についての捜査に参りました」
「キミが電話をくれた黒井アゲハさんでいいのかな……?」
「はい、この度は、遊園地への来園の許可を出してくださりありがとうございます」
「いいよいいよ、そんなにかしこまらなくても、それにお世話になるのはこちらなんだし……」
「やっぱり出ます……?」
「うん、多分ね、わしも長いことここへは来ていないから、それに入るつもりもない。キミ達、ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつ、全員で5名か。まさかホントに来るとは思っていなくてねぇ、ははは」
「ご迷惑であればすぐに言ってください」
「とんでもない! この廃墟となった遊園地を元に戻してくれるかもしれないんだ。こちらはその気持ちだけでも十分なのに、解決まで引き受けてくれるなんて、心強いよ」
「あまり期待しないでください」
「あぁ、プレッシャーになっちゃうか……? まぁいいや当園にようこそ御剣星座標学園の生徒さん方……遊園地のアトラクションは動かないけど心行くまでお楽しみを――」
そうして私は老人とのあいさつも終え、先輩方の元に戻っていった。その途中に私はデビルンに問いかけた。
「(どう、ここは魔力で満ち溢れているかしら)」
「どうだろうなぁ、入って確かめないとわからないなぁ~~、ウシシシシ」
おそらく気づいているのに言わないのは、さっきのロリータヒールの仕返しだろうとすぐにわかった。
「入っても良いと……?」
ダークネス・カイザー様に確認された。
「はい、どうぞ皆さんは先に園内へお入りください。私はここでやることがあるので……クリスチャン!」
「あっ! は~~い!」
そうしてダークネス・カイザー様、ビーブリオテーカ様、ソリトゥス様はバナナ遊園地へと来園していった。
「おいっ! 入らないのか!? 何のためにここまで来たんだよ!!」
「誰も入らないとは言っていないでしょう。さっきもあの老人に言ったように動画をとる目的もあるのですよ」
「おお! そうか! そうだった!」
バステトがデビルンと会話しているとクリスチャンがこう言って来た。
「――バステトちゃんが見えない何かにミャミャ言ってます~~これは早くも出たのではありませんか」
それを聞いた私がバステトの頭を撫でて静まらせる。デビルンも空気を読んで静まり返った。
「じゃあ、これ、こういう風に使って、ここが録画ボタン。で、ここが停止ボタン。ズーム機能は使わなくていいわ……それから――」
私は念入りにクリスチャンに録画機材の使い方を教えていた。
(さて、動画配信フォームに切り替えないと……)
「では、とりますよ~~、えっとバナナ遊園地の看板が入るようにカメラの角度を調整してと……」
(今日の私の勝負服に乱れはないかしら……)
「さん! にぃ! いち!」
(カメラ目線カメラ目線)
「――アクション」
(大邪神様よお力を……)
「――我が名はデイネブリスパピヨン! 汝らの主、そして世界を征服するその者なり! 使い魔たちよ。この度もよくぞ我が動画に参られた! その忠誠は見事なり! こたびの動画はここ、廃墟となったバナナ遊園地でオカルト動画を取ることだ!」
カッコいいポーズも決めた、私のオッドアイの眼光は凛々しく輝いていたことだろう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
君を探す物語~転生したお姫様は王子様に気づかない
あきた
恋愛
昔からずっと探していた王子と姫のロマンス物語。
タイトルが思い出せずにどの本だったのかを毎日探し続ける朔(さく)。
図書委員を押し付けられた朔(さく)は同じく図書委員で学校一のモテ男、橘(たちばな)と過ごすことになる。
実は朔の探していた『お話』は、朔の前世で、現世に転生していたのだった。
同じく転生したのに、朔に全く気付いて貰えない、元王子の橘は困惑する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる