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第三章 廃墟の遊園地
34話 第六のアトラクション! ジェットコースター!
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昼食もキャプテン・バーサーカー退治も終わり、私はほんのひと時を楽しんでいた。
機能していないはずのコーヒーカップに乗り酔いつぶれ、皆でお化けのせいで出口のなくなった迷路を延々と探索していた。何とかデビルンの助言のおかげで出られることが出来た。
今私たちは次なるアトラクションに向けて歩いている途中だった。
(……ふぅ、お化け退治も案外疲れるものね)
「随分妖力を使ったな……顔色が悪いぞ。少し休んだらどうだ」
デビルンが意外な提案をして来た。
「(あら、意外ね。大悪魔が俗人の心配をしてくれるなんて……てっきりもっと働いて妖力とやらを高めておいしいおいしいご馳走になってくれとばかり言うと思っていたわ)」
「いや、魂の鮮度が落ちるからやめてくれと言ったまでだ」
「(そう……魂にも鮮度があるのね、じゃあ腐らせてしまえば契約はどうなるのかしら)」
「続行に決まっているだろ! 一度決まったことを簡単に覆せないからこっちは困ってるって言うのに……」
「(そう……なら、世界征服を見事成し遂げなきゃね~~)」
「言っておくけど、ババアになっても憑りついてやるからなぁ~~覚悟しろよこんちきしょ~~」
私は歩いている間に考えていた。
(一体どこまでいけば、世界を征服したことになるのかしら……日本中を束ねる総理大臣にでもなればいいのかしら、それともこの得体のしれない未知のちから妖力や魔力で魔王様にでもなればいいのかしら)
「諸君着いたぞ!」
先頭を歩いていたダークネス・カイザー様が、黒いコートを翻してそう宣言していた。
「見よ! 恐怖の絶叫マシーン! ジェットコースターだ!」
「――動くわけがないでしょう」
ビーブリオテーカ様が速攻でツッコミを入れた
「自力の力で回していたコーヒーカップと違って、こっちは機械でしょう。動くわけがない」
「フフフ、だがビーブリオテーカよ。バイキングは動いたぞ……これをどう説明する」
「係員さんが居たじゃない、なんて言ったらいいのか…………そうそう、キャプテンなんとかさん」
「フフフ、我が魔力はアレが動くと反応しているぞ!」
「ま~~た、始まった。なんていう邪気眼」
ダークネス・カイザー様とビーブリオテーカ様が夫婦漫才でもしているかのようで、そこに空気の読めないソリトゥス様が乱入した。
「あ、あの~~、僕は、や、やめておきます。バイキングで気持ちが悪くなったから、こ、今度、あんなものに乗ってしまったら、昼食を吐き出してしまいそうで……」
「よかろう! そこで大人しく見ているがいいソリトゥスよ」
荷物と一緒に近場のベンチに腰掛けるソリトゥス様。そしてダークネス・カイザー様はジェットコースターを目指そうと一歩を踏み出した時――
「――待ちなさい! 話はまだ終わっていないでしょう! バイオキングの危険度を考えてるの!? あんな一回転はありえない! もっと慎重にことを進めるべき!」
「では、どうするのだ。我々がジェットコースターの安全性を確かめずに誰が確かめる」
「――放置」
「――論外」
ビーブリオテーカ様もダークネス・カイザー様も一歩も譲らない。
「迷路でもそうだったけど、貴方が選ぶ道筋は行き止まりばかり。これじゃあ、正解まで辿り着いた黒井さんの方がまし……」
「では、デイネブリスパピヨンに使命を与えようじゃないか!」
(――えっ、私?)
「身長163のデイネブリスパピヨンよ! 先にジェットコースターの安全性を確認してくるのだ! あるいは何かしらの心霊現象の対処を頼もう!」
「えっ、私がですか?」
「……それならいいでしょう」
(なんで、そこで肯定するんですかビーブリオテーカ様!?)
「頑張ってきてアゲハちゃん。私も今回はジェットコースターパスします。何故なら怖いから」
「いえいえ、バイキングの方が怖かったでしょう……アレに乗れるんならジェットコースターも余裕よ」
「だって、バイキングはどういう乗り物か知らなかったんだもん!」
(ええ~~じゃあ私一人?)
「丁度いいじゃないか。あそこにもお化けがいるのは間違いなさそうだし、あんまりその力人に見せたくないだろう」
デビルンの発言にも一理ある。
「(まぁそうだけど、デビルン貴方さっきまで私に休めと言っていたのよ)…………先輩方わかりました。安全確認に行ってきます」
こうしてバステトは置いて行って、デビルンと二人でジェットコースターに向かうのであった。
機能していないはずのコーヒーカップに乗り酔いつぶれ、皆でお化けのせいで出口のなくなった迷路を延々と探索していた。何とかデビルンの助言のおかげで出られることが出来た。
今私たちは次なるアトラクションに向けて歩いている途中だった。
(……ふぅ、お化け退治も案外疲れるものね)
「随分妖力を使ったな……顔色が悪いぞ。少し休んだらどうだ」
デビルンが意外な提案をして来た。
「(あら、意外ね。大悪魔が俗人の心配をしてくれるなんて……てっきりもっと働いて妖力とやらを高めておいしいおいしいご馳走になってくれとばかり言うと思っていたわ)」
「いや、魂の鮮度が落ちるからやめてくれと言ったまでだ」
「(そう……魂にも鮮度があるのね、じゃあ腐らせてしまえば契約はどうなるのかしら)」
「続行に決まっているだろ! 一度決まったことを簡単に覆せないからこっちは困ってるって言うのに……」
「(そう……なら、世界征服を見事成し遂げなきゃね~~)」
「言っておくけど、ババアになっても憑りついてやるからなぁ~~覚悟しろよこんちきしょ~~」
私は歩いている間に考えていた。
(一体どこまでいけば、世界を征服したことになるのかしら……日本中を束ねる総理大臣にでもなればいいのかしら、それともこの得体のしれない未知のちから妖力や魔力で魔王様にでもなればいいのかしら)
「諸君着いたぞ!」
先頭を歩いていたダークネス・カイザー様が、黒いコートを翻してそう宣言していた。
「見よ! 恐怖の絶叫マシーン! ジェットコースターだ!」
「――動くわけがないでしょう」
ビーブリオテーカ様が速攻でツッコミを入れた
「自力の力で回していたコーヒーカップと違って、こっちは機械でしょう。動くわけがない」
「フフフ、だがビーブリオテーカよ。バイキングは動いたぞ……これをどう説明する」
「係員さんが居たじゃない、なんて言ったらいいのか…………そうそう、キャプテンなんとかさん」
「フフフ、我が魔力はアレが動くと反応しているぞ!」
「ま~~た、始まった。なんていう邪気眼」
ダークネス・カイザー様とビーブリオテーカ様が夫婦漫才でもしているかのようで、そこに空気の読めないソリトゥス様が乱入した。
「あ、あの~~、僕は、や、やめておきます。バイキングで気持ちが悪くなったから、こ、今度、あんなものに乗ってしまったら、昼食を吐き出してしまいそうで……」
「よかろう! そこで大人しく見ているがいいソリトゥスよ」
荷物と一緒に近場のベンチに腰掛けるソリトゥス様。そしてダークネス・カイザー様はジェットコースターを目指そうと一歩を踏み出した時――
「――待ちなさい! 話はまだ終わっていないでしょう! バイオキングの危険度を考えてるの!? あんな一回転はありえない! もっと慎重にことを進めるべき!」
「では、どうするのだ。我々がジェットコースターの安全性を確かめずに誰が確かめる」
「――放置」
「――論外」
ビーブリオテーカ様もダークネス・カイザー様も一歩も譲らない。
「迷路でもそうだったけど、貴方が選ぶ道筋は行き止まりばかり。これじゃあ、正解まで辿り着いた黒井さんの方がまし……」
「では、デイネブリスパピヨンに使命を与えようじゃないか!」
(――えっ、私?)
「身長163のデイネブリスパピヨンよ! 先にジェットコースターの安全性を確認してくるのだ! あるいは何かしらの心霊現象の対処を頼もう!」
「えっ、私がですか?」
「……それならいいでしょう」
(なんで、そこで肯定するんですかビーブリオテーカ様!?)
「頑張ってきてアゲハちゃん。私も今回はジェットコースターパスします。何故なら怖いから」
「いえいえ、バイキングの方が怖かったでしょう……アレに乗れるんならジェットコースターも余裕よ」
「だって、バイキングはどういう乗り物か知らなかったんだもん!」
(ええ~~じゃあ私一人?)
「丁度いいじゃないか。あそこにもお化けがいるのは間違いなさそうだし、あんまりその力人に見せたくないだろう」
デビルンの発言にも一理ある。
「(まぁそうだけど、デビルン貴方さっきまで私に休めと言っていたのよ)…………先輩方わかりました。安全確認に行ってきます」
こうしてバステトは置いて行って、デビルンと二人でジェットコースターに向かうのであった。
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