38 / 52
第三章 廃墟の遊園地
38話 観覧車のペア
しおりを挟む
オカルト研究部、もといクレヴァナルのメンバーはこの遊園地一番の目玉、観覧車の前まで来ていた。
「こ、これも動くんでしょうか……?」
ほぼ女子の荷物を降ろしながらソリトゥス様が尋ねて来た。
「動くわけがない……廃園して何年たってると思ってるの? 動いたってジェットコースターのように壊れているだけでしょ」
観覧車を見上げるビーブリオテーカ様が答えに応じた。
「フーッハッハッハッハ!! 愚かな答えだなぁビーブリオテーカよ!」
「ム! なに? 黒条くん……まるでここには何かあるって言いたげねぇ」
「その通りだともビーブリオテーカよ! 我が情報網を甘く見るでない! これでも12万人の使い魔のいるダークネス・カイザー様だぞ。下調べもせずにここに来ようはずがない!」
「下調べって、貴方の使い魔さんがわざわざここまでやって来たってこと?」
「その通りだ! なんでもこの遊園地は、デイネブリスパピヨンの言うように心霊スポットとしても名の知れた場所らしい……そしてなんでも数あるうちのアトラクションの中でも最も興味溢れるのがこのバナナ観覧車なのだ!」
「えっ……なに……それじゃあ動くわけこの観覧車……?」
「――ご明察!」
「そうなの……黒井さん?」
「いや~~私は下調べも何もしてないので分かりません。すみませんビーブリオテーカ様」
「そう……まぁバイキングもジェットコースターも動いていたし、それだけ言うのなら動くんでしょうねぇ」
「さて、この観覧車の動かし方だが……確か……」
ダークネス・カイザー様がスマートフォンをいじりだした。きっと動かし方について再確認しようとしているのだろう。
「(アゲハちゃん、アゲハちゃん)」
ヒソヒソとクリスチャンが手招きしてきたのでそちらへ向かって行った。
「(なによ? ヒソヒソと……猫に話しかけてるでもないんだしハッキリ言ったら?)」
「(えぇ~~鈍いよアゲハちゃん――女子がヒソヒソ話を始める時は恋バナに決まっているじゃない)」
「(恋バナ? 今それを話して何になると言うの?)」
「(だから鈍いって、観覧車に乗るってことは、ペアを決めるも世界の常識! ここで一気に黒条先輩との交流で恋人同士になっちゃおう作戦だよ)」
「(こここ、恋人同士!?)」
「(そうだよ、観覧車が頂上まで行くと愛の告白をしたり、互いに見つめ合ってキスしたりって、定番のアレだよ~~)」
「(こここ、告白! それにキスって!?)」
「(シーーーー声が大きい声が……遊園地と言えば観覧車、観覧車と言えば、愛の告白。私がとびっきりのペア決め策を考えて来たから大船に乗った気で任しといて……そっちは告白の心の準備でもしておいて)」
「(ここ、告白ってなにを言ったらいいのよ)」
あまりの突然な申し出に焦る私。
「(使い魔たちに聞いてみたらいいじゃない。何のための86万人だーー)」
「(――そそ、そうね、相談してみる)」
私はスマートフォンをいじり出し、告白の解決策を聞いてみることにした。
「ちょっと、勝手に入って大丈夫なわけ?」
ダークネス・カイザー様とビーブリオテーカ様は観覧車の前にある個室で口問答していた。きっと観覧車の制御室なんだろう。
――今、憧れの人と一緒に観覧車に乗って愛の告白をするんだけど何をしたらいいかわからない。
と、ツイートしてみちゃった。すると……
――どしたん急に。
――マジ!? おめでとう頑張ってね!
――いきなりのツイートに使い魔もビックリ。
――観覧車ってことは今遊園地にいるってこと?
――どうするも何も襲っちゃいなよ!
――相手の男性の素顔プリーズ!
――どいうこと? 今日はデートでもしているって訳?
(ああ、返信は来たけど、突然過ぎたわよねぇ)
ガココン!!!! ――大きな音がして、私が振り返ると観覧車が動き始めた。
「さて、これで観覧車も動き出したし、あとはペア決めだが……」
「はいはいはーーい! あいうえお順がいいと思いまーーす!」
「クリスチャンどうしてあいうえお順なのだ?」
「決めるのが簡単だからですよ!」
「あいうえお順? 黒条、幹久、来翔、黒井、離岸。これを組み替えて、ペアは黒条くんと黒井さん。私と来翔くん。あまりが離岸さんになるけど……はは~~ん。なるほど、この組み合わせは……狙っているわねクリスさん」
「まぁ、我は一向にかまわんがこれだとクリスチャンが一人になってしまうぞ!」
「大丈夫です! 見たところこの観覧車は4人乗り用つまり、幹久先輩と来翔先輩のグループに私が入ればいいだけです」
「なるほど、まぁいいだろう」
「(――という訳できょうりょくお願します幹久先輩)」
「いいでしょう」
とにもかくにも順番が決まり私たちは観覧車に乗ることにした。
「――では、行くぞデイネブリスパピヨンよ!」
観覧車の入り口に立つダークネス・カイザー様が手を差し伸べる。
「――あっ、はい!」
そのまるでさらうように誘われた手の指の動きで私は、身体ごと観覧車へと吸い寄せるかのような錯覚を覚えさせられた。
「こ、これも動くんでしょうか……?」
ほぼ女子の荷物を降ろしながらソリトゥス様が尋ねて来た。
「動くわけがない……廃園して何年たってると思ってるの? 動いたってジェットコースターのように壊れているだけでしょ」
観覧車を見上げるビーブリオテーカ様が答えに応じた。
「フーッハッハッハッハ!! 愚かな答えだなぁビーブリオテーカよ!」
「ム! なに? 黒条くん……まるでここには何かあるって言いたげねぇ」
「その通りだともビーブリオテーカよ! 我が情報網を甘く見るでない! これでも12万人の使い魔のいるダークネス・カイザー様だぞ。下調べもせずにここに来ようはずがない!」
「下調べって、貴方の使い魔さんがわざわざここまでやって来たってこと?」
「その通りだ! なんでもこの遊園地は、デイネブリスパピヨンの言うように心霊スポットとしても名の知れた場所らしい……そしてなんでも数あるうちのアトラクションの中でも最も興味溢れるのがこのバナナ観覧車なのだ!」
「えっ……なに……それじゃあ動くわけこの観覧車……?」
「――ご明察!」
「そうなの……黒井さん?」
「いや~~私は下調べも何もしてないので分かりません。すみませんビーブリオテーカ様」
「そう……まぁバイキングもジェットコースターも動いていたし、それだけ言うのなら動くんでしょうねぇ」
「さて、この観覧車の動かし方だが……確か……」
ダークネス・カイザー様がスマートフォンをいじりだした。きっと動かし方について再確認しようとしているのだろう。
「(アゲハちゃん、アゲハちゃん)」
ヒソヒソとクリスチャンが手招きしてきたのでそちらへ向かって行った。
「(なによ? ヒソヒソと……猫に話しかけてるでもないんだしハッキリ言ったら?)」
「(えぇ~~鈍いよアゲハちゃん――女子がヒソヒソ話を始める時は恋バナに決まっているじゃない)」
「(恋バナ? 今それを話して何になると言うの?)」
「(だから鈍いって、観覧車に乗るってことは、ペアを決めるも世界の常識! ここで一気に黒条先輩との交流で恋人同士になっちゃおう作戦だよ)」
「(こここ、恋人同士!?)」
「(そうだよ、観覧車が頂上まで行くと愛の告白をしたり、互いに見つめ合ってキスしたりって、定番のアレだよ~~)」
「(こここ、告白! それにキスって!?)」
「(シーーーー声が大きい声が……遊園地と言えば観覧車、観覧車と言えば、愛の告白。私がとびっきりのペア決め策を考えて来たから大船に乗った気で任しといて……そっちは告白の心の準備でもしておいて)」
「(ここ、告白ってなにを言ったらいいのよ)」
あまりの突然な申し出に焦る私。
「(使い魔たちに聞いてみたらいいじゃない。何のための86万人だーー)」
「(――そそ、そうね、相談してみる)」
私はスマートフォンをいじり出し、告白の解決策を聞いてみることにした。
「ちょっと、勝手に入って大丈夫なわけ?」
ダークネス・カイザー様とビーブリオテーカ様は観覧車の前にある個室で口問答していた。きっと観覧車の制御室なんだろう。
――今、憧れの人と一緒に観覧車に乗って愛の告白をするんだけど何をしたらいいかわからない。
と、ツイートしてみちゃった。すると……
――どしたん急に。
――マジ!? おめでとう頑張ってね!
――いきなりのツイートに使い魔もビックリ。
――観覧車ってことは今遊園地にいるってこと?
――どうするも何も襲っちゃいなよ!
――相手の男性の素顔プリーズ!
――どいうこと? 今日はデートでもしているって訳?
(ああ、返信は来たけど、突然過ぎたわよねぇ)
ガココン!!!! ――大きな音がして、私が振り返ると観覧車が動き始めた。
「さて、これで観覧車も動き出したし、あとはペア決めだが……」
「はいはいはーーい! あいうえお順がいいと思いまーーす!」
「クリスチャンどうしてあいうえお順なのだ?」
「決めるのが簡単だからですよ!」
「あいうえお順? 黒条、幹久、来翔、黒井、離岸。これを組み替えて、ペアは黒条くんと黒井さん。私と来翔くん。あまりが離岸さんになるけど……はは~~ん。なるほど、この組み合わせは……狙っているわねクリスさん」
「まぁ、我は一向にかまわんがこれだとクリスチャンが一人になってしまうぞ!」
「大丈夫です! 見たところこの観覧車は4人乗り用つまり、幹久先輩と来翔先輩のグループに私が入ればいいだけです」
「なるほど、まぁいいだろう」
「(――という訳できょうりょくお願します幹久先輩)」
「いいでしょう」
とにもかくにも順番が決まり私たちは観覧車に乗ることにした。
「――では、行くぞデイネブリスパピヨンよ!」
観覧車の入り口に立つダークネス・カイザー様が手を差し伸べる。
「――あっ、はい!」
そのまるでさらうように誘われた手の指の動きで私は、身体ごと観覧車へと吸い寄せるかのような錯覚を覚えさせられた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
君を探す物語~転生したお姫様は王子様に気づかない
あきた
恋愛
昔からずっと探していた王子と姫のロマンス物語。
タイトルが思い出せずにどの本だったのかを毎日探し続ける朔(さく)。
図書委員を押し付けられた朔(さく)は同じく図書委員で学校一のモテ男、橘(たちばな)と過ごすことになる。
実は朔の探していた『お話』は、朔の前世で、現世に転生していたのだった。
同じく転生したのに、朔に全く気付いて貰えない、元王子の橘は困惑する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる