山本五十六の逆襲

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再編成

第一航空艦隊新編

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6月15日。
この日、山本は直々に第一航空艦隊旗艦の日向を訪れていた。
改装中ではあるが、艦橋付近は大きな改装工事は行われていないため第一航空艦隊の旗艦としての役割も同時に担っていた。
「戦後処理はどうかね?」
そう問われるのは山口であった。
「すでに完了し、現在は母艦航空隊の練成に当たっています。」
この返答に山本は満足したが、山口はまだ言いたそうな顔をしていた。
「長官、我々はこのまま受け身になってしまうとジリ貧で敗北します。攻勢作戦を致しませんと」
すると山本が言葉を遮るようにして言った。
「分かっている。だが、それは母艦戦力が揃ってからの話。今の我々に派手な攻勢作戦は出来んよ」
山口は山本の言い様に引っ掛かりを覚えた。
「”派手な”攻勢作戦は行えないのなら、”地味な”攻勢作戦は可能なのですね」
これに山本も頷く。
「大西と話した結果、アメリカ海軍の基地を一撃離脱で攻撃するのが最善であるという結論に達した」
少し間をおいて山本は言った。
「君達第一航空艦隊にはジョンストン島を空襲してもらう」
これに山口は”さもありなん”とすぐに納得した。
ジョンストン島はハワイに最も近い島である。
ここを空襲されたとなればアメリカ軍はその防衛兵力を増強させねばならなくなる。
「それならばやはり少数精鋭の方が良いでしょう。大部隊で行けばまた敵軍に待ち伏せられます」
まさにその通りで山本は心底”山口を一航艦の長官に据えて良かった”と感じたのである。
「では、どの程度の兵力があれば良い」
そう問われた山口は少し考えてから言った。
「翔鶴が戦線に復帰すれば問題ありません」
翔鶴は先の珊瑚海海戦で負った傷が癒えようとしていた。
「それは結構なことだが、航空隊の練成は大丈夫なのか?」
「はい。ですが、母艦航空隊の比率はこちら側で決めさせてください」
異存など無く、山本は二つ返事で了承した。


後日、制式に第一航空艦隊に命令が下りジョンストン島攻撃が決定された。
山口は抜かりなく、これら作戦に関わることは直前までに兵たちに伝えない気でいた。
ジョンストン島攻撃日は8月6日。
あと2か月も無いが、母艦航空隊の練成は順調で日向は当初計画されていた対空火器増設を一旦見送り、新兵器である電探の搭載や艦の延長による速力の強化などを行ってジョンストン島攻撃に参加することになった。
金剛型戦艦4隻は今回は参戦しないことになった。
だが、代わりに重巡の利根、筑摩、鈴谷、熊野が戦列に加わることになっていた。
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