山本五十六の逆襲

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ニミッツの逆襲

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ハワイの占領に成功した連合艦隊に休みむ暇は無かった。
アメリカ海軍が日本軍の気が緩んだときに攻撃を仕掛けてくる可能性があり、第一航空艦隊はいまだ戦闘態勢を解いていたなかった。
だが、2週間もすると第四艦隊の護衛空母群によって輸送されてきた零戦や隼、そして一式陸攻や九七式艦攻がハワイの飛行場に配備されると一安心となった。
これを機に第二艦隊と第四艦隊はポートモレスビーへ、損傷した大和と6隻のアメリカ戦艦、そして魁鷹型空母2隻と信濃型空母2隻は日本本土へ向かうことになる。
6隻のアメリカ戦艦は日本海軍の一員として、魁鷹型と信濃型は装甲空母へ進化するための改装を行うためである。


日本海軍は圧倒的な空母の数的優勢でアメリカ太平洋艦隊を叩き潰したわけだが、これは付け焼刃でありそのしわ寄せはしっかりあった。
多数の空母の竣工を前倒しにしたことにより建造されていた雲龍型空母が全て建造停止となっており、竣工は半年から1年遅れることになる。
また、5隻の軽巡洋艦は竣工まで1年はかかりマル急計画で建造が計画された2隻の改鈴谷型重巡は一番艦のみ建造されており、既に空母への改装が決定していたが竣工はいつになるかは未定であった。
だが、幸運だったのはこの1年間で損傷艦がほとんど出なかったことである。
もし、どこかのタイミングで消耗戦に引きずり込まれていれば日本各地の造船所は損傷艦の修理に忙殺され、建造までに手が回らなかった可能性があったのである。


一方、サンディエゴに落ち延びた太平洋艦隊司令部は敗戦処理に追われていた。
まるで一年前の連合艦隊司令部のようであり、幕僚の更迭なども起こっていた。
また、長官であるニミッツも辞意を固めて大統領であるルーズベルトに直に言ったが、太平洋艦隊はまさに壊滅状態でありニミッツの他にこの太平洋艦隊を再建できる人間はいないとルーズベルトは結論付けた。
「君にはまだ太平洋艦隊司令長官をやってもらいたい」
そう上司のキングから言われた時、ニミッツの中で何かが吹っ切れた。
(何が何でも私に日本艦隊を叩きのめせと言うのだな…なら、やって見せようではないか!)
ニミッツはそう心に決めてただひたすらに邁進していくことになる。
こうして日米の戦いは新たな局面に突入する。
太平洋艦隊、いやチェスター・ニミッツによる連合艦隊、いや山本五十六への”逆襲”である。
ニミッツが闘志を燃やしている頃、山本はそのようなことは露も知らず勝利の美酒に酔いしれているのだった。
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