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ニミッツの逆襲
南太平洋の戦力
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第五八任務部隊が南太平洋の根拠地であるブリスベンに到着したのは1944年1月24日の事だった。
そこは第七艦隊も根拠地として使用しており、護衛空母が6隻ほど碇泊している。
また、1週間後にも増援として10隻の護衛空母が到着するため、第七艦隊は護衛空母16隻を擁する艦隊となる予定だった。
本来なら、アメリカ政府としてはあと5隻ほど南太平洋に送り込みたいところだったがハワイ沖海戦にて11隻もの護衛空母を失っており、いくら生産性に優れるカサブランカ級護衛空母と言えどその損失をすぐに埋め合わせることは出来なかったのだった。
一方、ポートモレスビーに停泊している日本海軍は第四艦隊のみだった。
それもハワイ沖海戦時に配備されていた護衛空母は、その指揮権が連合艦隊のものとなり各地への航空機配備に邁進している。
そのため、第四艦隊は主に第二艦隊から転入されてきた高雄型重巡4隻と、第四艦隊固有の艦艇である青葉型重巡2隻、そして防空巡の木曽、阿武隈がその戦力であった。
ただ、第四艦隊の真髄は基地航空戦力にある。
第四艦隊は珍しく、その傘下に基地航空隊が編成されている艦隊である。
これは第四艦隊が南太平洋の防衛を一手に担う関係上、妥当であった。
その戦力は零戦99機、陣風99機、九七式艦攻54機、九九式艦爆27機、一式陸攻63機、九六式陸攻21機、二式飛行艇8機、九七式飛行艇4機である。
これとは別に陸軍航空隊も進出してきているため、ポートモレスビーを守っている航空兵力は600機は下らなかった。
これだけの航空兵力を揃えることが出来たのは、ひとえに日本軍がニューギニアでの破滅的な消耗戦を回避できたからである。
また、アメリカ海軍からしてみれば厄介なことに、例えこの航空戦力を破壊したとしても日本海軍はギルバートに強力な機動部隊を配置しており、ピートモレスビーを奪還するにはこの機動部隊に勝利しなければならなかった。
「これは…かなり難しい戦いになりそうだな」
スプールアンスは連日頭を悩ませていた。
彼はミッドウェー海戦において日本海軍を撃退した功績を持つが、その要因は九分九厘日本側にあった。
(あの時は日本軍の暗号を解読し、また敵艦隊首脳部の愚鈍さに助けられた形だったが、今は違う)
彼の言う通りであり、日本海軍はミッドウェーで煮え湯を飲まされてからという物、まるで隙を見せなくなっていたのである。
「ともかく、パイロット連中を鍛えなければならん」
彼は一旦そう結論付けた。
そこは第七艦隊も根拠地として使用しており、護衛空母が6隻ほど碇泊している。
また、1週間後にも増援として10隻の護衛空母が到着するため、第七艦隊は護衛空母16隻を擁する艦隊となる予定だった。
本来なら、アメリカ政府としてはあと5隻ほど南太平洋に送り込みたいところだったがハワイ沖海戦にて11隻もの護衛空母を失っており、いくら生産性に優れるカサブランカ級護衛空母と言えどその損失をすぐに埋め合わせることは出来なかったのだった。
一方、ポートモレスビーに停泊している日本海軍は第四艦隊のみだった。
それもハワイ沖海戦時に配備されていた護衛空母は、その指揮権が連合艦隊のものとなり各地への航空機配備に邁進している。
そのため、第四艦隊は主に第二艦隊から転入されてきた高雄型重巡4隻と、第四艦隊固有の艦艇である青葉型重巡2隻、そして防空巡の木曽、阿武隈がその戦力であった。
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これは第四艦隊が南太平洋の防衛を一手に担う関係上、妥当であった。
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彼の言う通りであり、日本海軍はミッドウェーで煮え湯を飲まされてからという物、まるで隙を見せなくなっていたのである。
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彼は一旦そう結論付けた。
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