山本五十六の逆襲

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ハワイ攻防戦

遠距離雷撃

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第五八任務部隊へ迫りつつあったのは重爆96機に陸攻162機、そしてその護衛の疾風108機、陣風108機であった。
アイオワのレーダーがこの大編隊を捉えた頃、第五八任務部隊は攻撃隊の収容を控えていた。
だが、400機以上の敵機が向かってきているためミッチャーはたまらず収容を中止した。
そして直掩戦闘機隊の発艦を開始したが、二波に渡る日本軍機動部隊からの攻撃でF6Fは92機となっていた。
攻撃隊が帰投すればかなり増えるが、敵攻撃隊の到達の方が攻撃隊の帰還より断然早くミッチャーはこの92機で艦隊を守り切らなくてなならなかった。


空戦は艦隊より60海里手前で始まった。
92機のF6Fは果敢にも攻撃隊に突入したがこれを疾風や陣風が完全に抑え込んだ。
陣風とF6FはF6Fの方に軍配が上がるが疾風も108機ほど居るため、負けることは無かった。
こうして直掩のF6F隊は何もできず、攻撃隊は第五八任務部隊に到達した。


攻撃隊としてはわざわざ敵対空砲火の中に飛び込むつもりは毛頭なかった。
艦載機と違って重爆や陸攻は双発機であり、機体が大きい。
そんなものを突っ込ませれば大損害を被ることは目に見えていた。
そのためも1600㎏魚雷である。
攻撃隊は次々と魚雷を投下していく。
3機の陸攻が撃墜されてしまったが、合計で255本の1600㎏魚雷が第五八任務部隊へ向かっていく。
これらは全て酸素魚雷であり、航跡は見えない。
第五八任務部隊の将兵達は日本軍のその行動の真意を理解することが出来なかった。
ただ単に戦意を喪失したと解釈する者が多かったが、それでも疑問が残る。
ミッチャーは”日本軍は雷撃を行ったのではないか…?”と考えたが日本軍が不可解な行動を取ったところから第五八任務部隊までは15000mも離れている。
通常の魚雷ではまず到達不可能である。
「各艦に水中警戒を厳重にさせろ」
ミッチャーはそう命令するしかなかった。


255本の酸素魚雷はひたひたと近づいていく。
やはり航跡は見えず、最後まで第五八任務部隊は魚雷の存在を確認することは無かった。
まず被雷したのは外周を守っていた駆逐艦である。
次々と水柱が立ったかと思うと大爆発を起こしてばらばらになってしまう。
これによって第五八任務部隊側は魚雷の存在を確認したが、もはや後の祭りである。
魚雷は次々と輪形陣中央に到達していき、多数の艦艇が被雷。
1600㎏魚雷の破壊力たるや凄まじく、ミッチャーの顔は青ざめたのである。
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