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パリスの第一王子
27、脱出
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リリアスはふたつ折りの白い紙を渡す。
しっかりとした厚紙だ。
「これを持っていて!」
「これは?」
「招待状だよ」
バードは白紙の招待状を胸にしまう。
バードは前日入りをしているので、招待状なしに学校に入り込んでいる。
「カルサイト王子とは顔見知り?」
念のためにきく。
「いや、俺は隠密だからパリスの中ではあまり知られていないと思うんだが、自信はない。側近には知られているかもしれない」
会場に戻る。
体術と剣術の試合はそれぞれ進んでいる。
声援と熱気が充満していた。
三騎士の勝負の行方が気になった。
学生を捕まえて聞くと、アルマンとトム、ハンクスもそれぞれ体術と剣術で勝ち進んでいた。
リリアスは、クラスメイトにバードを自分の友人で元ムハンマド親衛隊と紹介すると、わあっと学生が集まる。
ムハンマド親衛隊は、バーライトの親衛隊に並ぶ憧れのひとつだ。
学生たちの餌食にバードは残す。
「学生の相手をしてあげて!」
これでひとまず安心だ。
リリアスは優勝者が決まるのを待っていた。
リリアスは、アルマンやトム、ハンクスの勝利の度に花を投げ入れる。競技場は投げ入れられた花の匂いと熱気でむせかえりそうだった。
体術でアルマンは良いところまでいくが、上級生に決勝でまける。トムもハンクスも準決勝までいく惚れ惚れとする結果だった。
午後からの女子の出し物の前に、一回目の人の流れができる。
午前の試合を目当てにしていたものたちが引いてく流れだ。
リリアスは貴賓席から離れ、バードを探す。バードはリリアスの三騎士たちと一緒にいた。三人とも制服に着替えている。
あちこち痛めたのだろう、ツンと湿布の臭いがする。
アルマンは残念げに、リリアスに準優勝のメダルを見せる。それでもアルマンの目は喜びで煌めいていた。
彼はオープニングの競技体術から大忙しだった。
「来年こそ、優勝する!」
出口に向かう帰りの波がくる。
リリアスとバードは、その流れに乗り、厳戒体制の出口にむかう。
帯刀した学内警備員が、一人一人で確認していた。
武器携帯は珍しい。
いつになく厳しい確認に、理由を知らない父兄や学生が不満をもらし、順番の列ができていた。出口が詰まっている。
ようやく順番がくる。
「私の連れです」
リリアスの顔で、バードは会場をでる。
リリアスは誰もが知っている。
外は屋台で賑わいだしていた。
リリアスとバードはあちこち寄りながら、学校の出口に向かう。
封鎖されている学校さえ突破できればバードなら、なんとかできると思う。
出口は、さらに丁寧に実際の招待状とリストを照らし合わせていた。
(これはやばいかも)
バードの念話。
(大丈夫!これでいく!)
リリアスは覚悟を決めていた。
門番の警備はバラモン国の警察兵団だった。
(バード、出して)
(でもあれは白紙だ!)
(いいから任せて)
バードは胸から白紙をだし、渡した。
警察兵団は広げる。
ま白い紙を見た。
そこに、リリアスは語りかける。
『中等科 リリアスは友人 バードを招待するって書いてあるでしょう、、、』
リリアスは声で、さらに耳もとに風を震わせた。
かつ、文字の映像を警備兵の視界に被せた。
警備兵は宙を見ていた。
「、、リリアスのバードだ」
その名を聞いて招待状の名簿を、別のものが確認にする。
「リリアスのバード、、ないぞ?」
リリアスは彼に焦点を合わせた。
さらに腕に手を置く。
『ちゃんとあるでしょう?リリアスの友人バードの名前、、』
同じように声と、耳元の風を震わす。
きゅっと、腕を揉むように掴んだ。
「あ、ああ。、、よし、確認できたので行って良い」
バードはま白い紙を返してもらう。
そのまま、厳戒体制の出口を正面からでた。
リリアスもついていく。
もう少し先まで。
「あれは、なんだ」
強ばった声で、バードは言った。
リリアスも初めてだった。
視界を被せることはなんとなく、したことはあったような気がするが、あそこまではっきりとこちらが意図した通りに導いたことはない。
「僕はお願いしただけ、、」
「あれは精霊の力か?」
「うん。風と、空と、水と、最後に火。どれも微細な所に、働きかけたんだ」
「リリアス、そんなに複合して精霊の力を使って大丈夫なのか?」
リリアスにもわからない。
かなりの疲労感はあるので、ぶっ倒れるまでにムハンマドのところに戻らなくてはと思う。
無事に暗殺者のバードを脱出させることができた。彼を助けられるのなら、ぶっ倒れても大したことではないと思う。
それだけ、リリアスにとってバードは大事な友人で恩人だった。
「バードもう、こんなことしないで。人殺しなんてしないで、、ルージュの命令を聞かないで欲しい」
「ああ、わかった、、。ごめん」
つい、できない約束をしてしまう。
バードはルージュに忠誠を誓う訳がある。
パリスの王族には公にできない暗黒面がある。
リリアスはお別れのハグをと、バードに両腕を回した。バードも強く抱き返す。
リリアスは樹海流のお別れのキスをバードにする。
額に、まぶたに、頬に、手の平に軽くキスをする。
バードはリリアスの顔を挟んだ。
(リリアス、命がけで助けてくれてありがとう。最後のキスを許して)
黒曜石の宝石のような瞳がバードのキスを受け入れた。
ふたつの風の加護紋様が浮かび上がり消えていく。
しっかりとした厚紙だ。
「これを持っていて!」
「これは?」
「招待状だよ」
バードは白紙の招待状を胸にしまう。
バードは前日入りをしているので、招待状なしに学校に入り込んでいる。
「カルサイト王子とは顔見知り?」
念のためにきく。
「いや、俺は隠密だからパリスの中ではあまり知られていないと思うんだが、自信はない。側近には知られているかもしれない」
会場に戻る。
体術と剣術の試合はそれぞれ進んでいる。
声援と熱気が充満していた。
三騎士の勝負の行方が気になった。
学生を捕まえて聞くと、アルマンとトム、ハンクスもそれぞれ体術と剣術で勝ち進んでいた。
リリアスは、クラスメイトにバードを自分の友人で元ムハンマド親衛隊と紹介すると、わあっと学生が集まる。
ムハンマド親衛隊は、バーライトの親衛隊に並ぶ憧れのひとつだ。
学生たちの餌食にバードは残す。
「学生の相手をしてあげて!」
これでひとまず安心だ。
リリアスは優勝者が決まるのを待っていた。
リリアスは、アルマンやトム、ハンクスの勝利の度に花を投げ入れる。競技場は投げ入れられた花の匂いと熱気でむせかえりそうだった。
体術でアルマンは良いところまでいくが、上級生に決勝でまける。トムもハンクスも準決勝までいく惚れ惚れとする結果だった。
午後からの女子の出し物の前に、一回目の人の流れができる。
午前の試合を目当てにしていたものたちが引いてく流れだ。
リリアスは貴賓席から離れ、バードを探す。バードはリリアスの三騎士たちと一緒にいた。三人とも制服に着替えている。
あちこち痛めたのだろう、ツンと湿布の臭いがする。
アルマンは残念げに、リリアスに準優勝のメダルを見せる。それでもアルマンの目は喜びで煌めいていた。
彼はオープニングの競技体術から大忙しだった。
「来年こそ、優勝する!」
出口に向かう帰りの波がくる。
リリアスとバードは、その流れに乗り、厳戒体制の出口にむかう。
帯刀した学内警備員が、一人一人で確認していた。
武器携帯は珍しい。
いつになく厳しい確認に、理由を知らない父兄や学生が不満をもらし、順番の列ができていた。出口が詰まっている。
ようやく順番がくる。
「私の連れです」
リリアスの顔で、バードは会場をでる。
リリアスは誰もが知っている。
外は屋台で賑わいだしていた。
リリアスとバードはあちこち寄りながら、学校の出口に向かう。
封鎖されている学校さえ突破できればバードなら、なんとかできると思う。
出口は、さらに丁寧に実際の招待状とリストを照らし合わせていた。
(これはやばいかも)
バードの念話。
(大丈夫!これでいく!)
リリアスは覚悟を決めていた。
門番の警備はバラモン国の警察兵団だった。
(バード、出して)
(でもあれは白紙だ!)
(いいから任せて)
バードは胸から白紙をだし、渡した。
警察兵団は広げる。
ま白い紙を見た。
そこに、リリアスは語りかける。
『中等科 リリアスは友人 バードを招待するって書いてあるでしょう、、、』
リリアスは声で、さらに耳もとに風を震わせた。
かつ、文字の映像を警備兵の視界に被せた。
警備兵は宙を見ていた。
「、、リリアスのバードだ」
その名を聞いて招待状の名簿を、別のものが確認にする。
「リリアスのバード、、ないぞ?」
リリアスは彼に焦点を合わせた。
さらに腕に手を置く。
『ちゃんとあるでしょう?リリアスの友人バードの名前、、』
同じように声と、耳元の風を震わす。
きゅっと、腕を揉むように掴んだ。
「あ、ああ。、、よし、確認できたので行って良い」
バードはま白い紙を返してもらう。
そのまま、厳戒体制の出口を正面からでた。
リリアスもついていく。
もう少し先まで。
「あれは、なんだ」
強ばった声で、バードは言った。
リリアスも初めてだった。
視界を被せることはなんとなく、したことはあったような気がするが、あそこまではっきりとこちらが意図した通りに導いたことはない。
「僕はお願いしただけ、、」
「あれは精霊の力か?」
「うん。風と、空と、水と、最後に火。どれも微細な所に、働きかけたんだ」
「リリアス、そんなに複合して精霊の力を使って大丈夫なのか?」
リリアスにもわからない。
かなりの疲労感はあるので、ぶっ倒れるまでにムハンマドのところに戻らなくてはと思う。
無事に暗殺者のバードを脱出させることができた。彼を助けられるのなら、ぶっ倒れても大したことではないと思う。
それだけ、リリアスにとってバードは大事な友人で恩人だった。
「バードもう、こんなことしないで。人殺しなんてしないで、、ルージュの命令を聞かないで欲しい」
「ああ、わかった、、。ごめん」
つい、できない約束をしてしまう。
バードはルージュに忠誠を誓う訳がある。
パリスの王族には公にできない暗黒面がある。
リリアスはお別れのハグをと、バードに両腕を回した。バードも強く抱き返す。
リリアスは樹海流のお別れのキスをバードにする。
額に、まぶたに、頬に、手の平に軽くキスをする。
バードはリリアスの顔を挟んだ。
(リリアス、命がけで助けてくれてありがとう。最後のキスを許して)
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