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第2章 幽霊住民税金問題
第10話 総務課の幽霊
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「マート様、お探しの資料はこちらでよろしいでしょうか」
金髪の美女・エレーヌが、ふわふわと宙に浮きながら、持っていた紙をマートに手渡した。
「お、これっす。ありがとうございます」
「ほかにはございませんか?」
「はい、今んところは大丈夫です」
「マート様、腰のお加減はいかがですか?」
「あ、はい、まあ、それなりに」
「そうですか。今度お部屋の模様替えをされるときは、ぜひ私にも手伝わせてくださいませね」
「ええと、はい、考えておきます……」
「はい」
エレーヌは、にっこり笑って少し後ろに下がった。そして、どことなくこわばった表情で事務仕事を続けるマートを、熱っぽい目でじっと見つめた。
なぜ、エレーヌが村役場の総務課にいるのか。話は数日前に遡る。
その日、マートは窓のほうを見たまま動きを止めた。隣の席にいたリリーがそれに気づき、マートの視線を追うと、窓の横の壁から、女性の生首が突き出していた。
「出たあぁぁぁ!」
気が動転したリリーは、隣の席の椅子を、つまりマートが座るマートの椅子をマートごと持ち上げた。
当然ながらマートは悲鳴を上げたが、リリーの目はしっかりと、長い髪を顔の前に垂らしている壁の生首(からほんのちょっと横にずれた所)に据えられていた。
「落ち着け、リリー。あれはエレーヌ嬢だ」
「え!?」
バーナードの声に我に返ったリリーは、生首に向かってぶん投げようとしていた椅子(マート付き)を床にドゴンッと下ろした。その瞬間、椅子の上のマートがちょびっとバウンドしたように見えたが、それはまあいい。確かに、どこか気恥ずかし気にこちらを見ているあの様子といい、あの美女っぷりといい、落ち着いて見れば幽霊屋敷で出会ったエレーヌに間違いなかった。
「ほんとだ、エレーヌさんだ」
「殺されるかと思った……」
「マートさん、マートさん、エレーヌさんですよ!」
「さいですか……」
リリーは、魂が抜けかけたマートの肩をベチベチ叩いた。
「エレーヌさん、何かご用ですか」
バーナードは冷静に、生首エレーヌのほうへ歩いていった。
エレーヌはおずおずと壁を抜け、ゆっくりとその半透明の全身を現した。
「マート様が腰を痛めているとお聞きしました。私でも何かお役に立てることはないかと、こうして参った次第です」
蚊の鳴くような声で、エレーヌはそう言った。
マートは先日、夜中に唐突に部屋の模様替えを思い立ち、箪笥を引きずっていた時にぎっくり腰になった。エレーヌは、その話を村の花農家から聞いたのだそうだ。
花農家は現在、幽霊一家から譲り受けた薬草の栽培方法を学ぶため、幽霊屋敷に通っている。というのも、ジェームズから渡された薬草の種や実には、貴重なものが多かった。うまく栽培できれば、幽霊貴族一家が滞納していた税金の穴を埋め、さらには村の輸出産業にできるかもしれない。という捕らぬ狸の皮算用的発想で、村役場は、花農家の夫婦に栽培を(希望と共に)委託したのである。
マートの窮状を知ったエレーヌは、勇気を振り絞って、村役場までやって来た。と、こういうことであった。
以来、エレーヌは総務課で、主にマートの手伝いをしている。腰を痛めたマートのために、と言っていたからそうなのだろうが、それにしてはエレーヌはマートを見つめる時間が長かった。ついでに後をついて回ることも多かった。
「エレーヌさん、さすがにトイレまでついてきちゃ駄目ですよ」
とマートに言われて、白い半透明の顔を真っ赤にしたこともあった。
この状況を面白がっているのは、デイジーである。
「おやおや、モテますねぇ、お兄さん」
デイジーは、エレーヌが幽霊だろうと全く気にしなかった。初めて顔を合わせた時も、自慢の自作モップちゃんを肩に担ぎ、ふわふわ宙に浮いている相手に向かって「へえ、何、新人さん? よろしくー」とか言っていた。
「いやいや、やめてくれよ、デイジー。俺にはペネロペという人が」
とマートは、デイジーがニヤニヤと囃すたびに真面目な顔で抗議するも、
「ああ、相変わらず脈ないねぃ、こっちに乗り換えたら?」
エレーヌだって美人じゃーん、と言いながら、デイジーは廊下をモップ掛けしていくのであった。
そのやり取りを見て驚いたのが、リリーである。
リリーは、エレーヌがマートについて回るのを、「内気な子犬が、なついた相手の後を一生懸命追っている」ように見ていた。微笑ましいものである。微笑ましいのはリリーの想像図なのかリリーのおつむなのかは置いといて、リリーは、デイジーの見立ては本当だろうかとライオに相談した。
「そうだってね。マートが幽霊に取りつかれたのか惚れ込まれたのか、賭けをしてる人たちもいるよ」
隣人の頼みで1羽だけどっかに行っちゃったニワトリを探して走り回っていたライオを捕まえたリリーは、さらに驚いた。ライオは、リリーの驚く様子を見て、まあ、リリーだからな、と元気な寝ぐせを揺らして爽やかに笑った。
「有名だよ、貴族の幽霊がマートにくっつき倒してるって。しかも、その幽霊さん、すごく人当たりがよくて話しやすいっておばさんたちからも評判だよ」
リリーは絶句した。
確かに、このところ、村の何でも屋さんである総務課に相談に訪れる村人の受付を、エレーヌがしている。エレーヌは村人の訴えに真摯に耳を傾け、心からの同情を示し、時には目に涙を浮かべて、「まあ、それは本当に大変ですのね……」と言ったりする。
すると、嘘も誠も豪勢に取り混ぜて話をしていた村人はすっかり気分を良くして、「うん、そうなんだ。でも、頑張ってみるよ」と清々しい顔になって村役場を出ていく。そうして総務課は、総務課史上まれに見る平和な日々を送っていたのであった。
なんか最近、役場の外に飛び出していくことが減っちゃったなーとリリーは残念に思い、バーナードはたまっていた事務仕事がはかどり、ひそかに喜んでいた。そしてマートは、「こんなことペネロペに知られたら」と、ペネロペは欠片も気にしないであろうことに憐れにも本気で悩んでいた。
金髪の美女・エレーヌが、ふわふわと宙に浮きながら、持っていた紙をマートに手渡した。
「お、これっす。ありがとうございます」
「ほかにはございませんか?」
「はい、今んところは大丈夫です」
「マート様、腰のお加減はいかがですか?」
「あ、はい、まあ、それなりに」
「そうですか。今度お部屋の模様替えをされるときは、ぜひ私にも手伝わせてくださいませね」
「ええと、はい、考えておきます……」
「はい」
エレーヌは、にっこり笑って少し後ろに下がった。そして、どことなくこわばった表情で事務仕事を続けるマートを、熱っぽい目でじっと見つめた。
なぜ、エレーヌが村役場の総務課にいるのか。話は数日前に遡る。
その日、マートは窓のほうを見たまま動きを止めた。隣の席にいたリリーがそれに気づき、マートの視線を追うと、窓の横の壁から、女性の生首が突き出していた。
「出たあぁぁぁ!」
気が動転したリリーは、隣の席の椅子を、つまりマートが座るマートの椅子をマートごと持ち上げた。
当然ながらマートは悲鳴を上げたが、リリーの目はしっかりと、長い髪を顔の前に垂らしている壁の生首(からほんのちょっと横にずれた所)に据えられていた。
「落ち着け、リリー。あれはエレーヌ嬢だ」
「え!?」
バーナードの声に我に返ったリリーは、生首に向かってぶん投げようとしていた椅子(マート付き)を床にドゴンッと下ろした。その瞬間、椅子の上のマートがちょびっとバウンドしたように見えたが、それはまあいい。確かに、どこか気恥ずかし気にこちらを見ているあの様子といい、あの美女っぷりといい、落ち着いて見れば幽霊屋敷で出会ったエレーヌに間違いなかった。
「ほんとだ、エレーヌさんだ」
「殺されるかと思った……」
「マートさん、マートさん、エレーヌさんですよ!」
「さいですか……」
リリーは、魂が抜けかけたマートの肩をベチベチ叩いた。
「エレーヌさん、何かご用ですか」
バーナードは冷静に、生首エレーヌのほうへ歩いていった。
エレーヌはおずおずと壁を抜け、ゆっくりとその半透明の全身を現した。
「マート様が腰を痛めているとお聞きしました。私でも何かお役に立てることはないかと、こうして参った次第です」
蚊の鳴くような声で、エレーヌはそう言った。
マートは先日、夜中に唐突に部屋の模様替えを思い立ち、箪笥を引きずっていた時にぎっくり腰になった。エレーヌは、その話を村の花農家から聞いたのだそうだ。
花農家は現在、幽霊一家から譲り受けた薬草の栽培方法を学ぶため、幽霊屋敷に通っている。というのも、ジェームズから渡された薬草の種や実には、貴重なものが多かった。うまく栽培できれば、幽霊貴族一家が滞納していた税金の穴を埋め、さらには村の輸出産業にできるかもしれない。という捕らぬ狸の皮算用的発想で、村役場は、花農家の夫婦に栽培を(希望と共に)委託したのである。
マートの窮状を知ったエレーヌは、勇気を振り絞って、村役場までやって来た。と、こういうことであった。
以来、エレーヌは総務課で、主にマートの手伝いをしている。腰を痛めたマートのために、と言っていたからそうなのだろうが、それにしてはエレーヌはマートを見つめる時間が長かった。ついでに後をついて回ることも多かった。
「エレーヌさん、さすがにトイレまでついてきちゃ駄目ですよ」
とマートに言われて、白い半透明の顔を真っ赤にしたこともあった。
この状況を面白がっているのは、デイジーである。
「おやおや、モテますねぇ、お兄さん」
デイジーは、エレーヌが幽霊だろうと全く気にしなかった。初めて顔を合わせた時も、自慢の自作モップちゃんを肩に担ぎ、ふわふわ宙に浮いている相手に向かって「へえ、何、新人さん? よろしくー」とか言っていた。
「いやいや、やめてくれよ、デイジー。俺にはペネロペという人が」
とマートは、デイジーがニヤニヤと囃すたびに真面目な顔で抗議するも、
「ああ、相変わらず脈ないねぃ、こっちに乗り換えたら?」
エレーヌだって美人じゃーん、と言いながら、デイジーは廊下をモップ掛けしていくのであった。
そのやり取りを見て驚いたのが、リリーである。
リリーは、エレーヌがマートについて回るのを、「内気な子犬が、なついた相手の後を一生懸命追っている」ように見ていた。微笑ましいものである。微笑ましいのはリリーの想像図なのかリリーのおつむなのかは置いといて、リリーは、デイジーの見立ては本当だろうかとライオに相談した。
「そうだってね。マートが幽霊に取りつかれたのか惚れ込まれたのか、賭けをしてる人たちもいるよ」
隣人の頼みで1羽だけどっかに行っちゃったニワトリを探して走り回っていたライオを捕まえたリリーは、さらに驚いた。ライオは、リリーの驚く様子を見て、まあ、リリーだからな、と元気な寝ぐせを揺らして爽やかに笑った。
「有名だよ、貴族の幽霊がマートにくっつき倒してるって。しかも、その幽霊さん、すごく人当たりがよくて話しやすいっておばさんたちからも評判だよ」
リリーは絶句した。
確かに、このところ、村の何でも屋さんである総務課に相談に訪れる村人の受付を、エレーヌがしている。エレーヌは村人の訴えに真摯に耳を傾け、心からの同情を示し、時には目に涙を浮かべて、「まあ、それは本当に大変ですのね……」と言ったりする。
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