オメガで腐男子の僕がBL展開期待して女装風俗店に勤務したら何故かノンケドライバーに惚れていた件

リナ(腐男子くん準備中)

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一話

★望さんわりと好きかもしれない

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「ビール?やけに普通のもんを…」

 首を傾げつつ男も自分と仲間の分を追加して送信した。これまた速攻で酒が届く。他のテーブルのほとんどが酒を飲まずに楽しんでるから裏は暇なのかもしれない。僕がビールを持つと男が「乾杯」とぶつけてきた。一杯目と同じく男は気持ち良さそうに飲み進めて、

「…」

 男の飲みっぷりに煽られた僕もちょびっとビールに口をつけてみる。…うん、苦い。でも喉が渇いてたから妙に美味しく感じた。なんたって、牛丼屋のお味噌汁以来の液体だ。

 (美味しいかも…)

 ジョッキを両手で持ち直し、ゴクゴクと飲んでいくと男が上機嫌に笑いかけてくる。

「ビール、そんなに好きなのか?」
「ぷは、ん…、はい…(他のお酒知らないけど…)」
「お代わりいるか?」
「いえ、まだ残ってるんで…」
「あと少しじゃん。飲んじまえよ。追加頼んどくからさ」
「え、え、」

 瞬く間にビールが届き、慌てて僕はジョッキに残っていた分も胃に流し込み「ぷはっ」と息継ぎする。まだ一杯目なのにアルコールがちゃんと回り始めていて体も視界もふわふわしてきた。

 (なんか、前飲んだ時より…酒の回り早いかも……)

「はい、お代わりな」

 男が空のジョッキと満タンのジョッキをすり替えていく。僕はそれに気付けぬまま、コクリ、コクリ、と頭を揺らす。ううん、眠くなってきた…。兄貴と飲んだ時もこんな感じになって寝ちゃったんだっけ。よく覚えてないけど(気付いたら自分の部屋にいた)。

 (だめだ、頭回んない……アルコールでふわふわするし、まだ体が、熱っぽいかも……)

 やっぱり体調悪いのかなと思いつつ、喉の乾きに煽られてジョッキのビールをんくんく飲み進める。更にアルコールが回っていく。

「なあ、お前名前は?ウタだったっけ?」
「ふぁい…うた、れす(コクリコクリ)」
「ウタって事は歌が好きなのか?歌手目指してるとか?」
「ちあう…す、きなのは、びー…える…(コクリコクリ)」
「びーえる?なんだそれ」

 仲間が「BLの事じゃね?」と訂正して「ああ、男同士の奴か」と男も納得する。

「なるほどウタは男同士が好きだからブルームに来たのか。あ、俺は半田のぞむな。望でいいぜ」
「はんだ…のぞむ…」

 あれ、その苗字どこかで、と思っていると店長の半田が浮かんだ。

「ぱんだ…てんちょ…」
「そうそう、あのゴリマッチョ店長と同じ苗字だ。俺と店長はだからな」
「?!」

 店長の従兄弟。そういえば心なしか似ている気がする。つまらなそうにしてる時の顔とか特に。体の厚みは店長に及ばないが。

 (でも…そっか、店長と、従兄弟なんだぁ…)

 そう思うと恐怖が薄れ、酒で馬鹿になってる頭が更に腑抜けていく。ふと、こくこくと揺れる頭が嫌になって、望の肩にコテンと寄りかかってみた。望はそれを振り払わず、むしろ僕が反対側に傾いてソファから落ちないよう支えてくれた。 

 ぐっ

 腰に回された力強い腕にドキリとする。ああやばい。まただ。動揺する僕をよそに望が耳元で囁いてくる。

「従兄弟って事で割安にしてもらえんだけど、…あ、割安になるのは酒代だけな。キャストへは正規料金払ってる。…で、酒代を浮かせてもらう分、こうやって新人をあてがわれる事が多いんだ」
「し、んじん…」
「そう。お前今日が初出勤だろ?ここにくる途中かなりビビってたし大体皆そうなるから一発でわかる。だから店長の代わりに“ブルーム”の説明をしてやるよ。どうせあの人の事だから説明もなしにここにつっこまれてんだろうからな」

 酒でふやけた頭に望の声が響く。

「この店…ブルームは基本的に綺麗な男達と店だ。ただ、例外として“ブルームタイム"ってのがあって、その時間がくるとこうやって照明が暗くなって好き放題やっていい事になる。生挿入、中出しはご法度だが、それ以外は大抵キャストが同意したら許される。…ここのキャストはプライド高いから挿入許す奴は少数派だけどな」
「ぶるま…たいむ…」
「なんだその絶妙に萌えそうで萌えないタイムは…ブルームな、ブルーム。店名なんだから忘れるなよ、店長ブちぎれるぞ」
「あぃ…ぶるま…おぼえ、まし…た…」
「はあ、飲ませ過ぎたか」

 ため息が降ってきたと思えば、僕の両手からジョッキが奪われた。少し喉が渇いてきた所なので「あ…」とのろのろと追いかければ「ダメだ」と止められた。

「これ以上飲んだらお前寝るって、その感じ」
「ねま、しぇ…」
「呂律が死んでる奴の言葉は信じねえと決めてる、…あ、こら!」

 望の言葉を無視して近くにあったビールに口をつけた。あまり苦味も感じなくなってきた舌に心地いい痺れが広がり、コクリと喉越しを楽しみながら嚥下する。

「ぷはぁー…」
「お前、それ俺のビール…ああもう、泡ついてるし」

 うつらうつらしてると今度こそ酒を取り上げられた。望は立ち上がり、僕が届かないようグラスを全て遠ざけてから、おしぼりを手に取り戻ってくる。


「ほらこっち向け」


 呆れたように、でも少し優しい感じで囁かれた。その言い方がなんとなく半田店長に似ていて、

 (半田さん…)

 優しい愛撫を思い出し、ついつい期待するように顔を上げれば…目が合った望が「え」と驚いた顔をして固まった。その手に握られたおしぼりがポトリと床に落ちる。あ、と口を開けた僕の唇に、望の唇が重なった。

 ちゅ

 (へ??!)

 望の突然の行動に驚き、ぬるりと舌が入ってきて更に驚いた。

 (え…、望さんとキスしてる?!)

「ンン…?!ん、ふ、…んぅっ、んっ」

 キスはあっという間に深いものになり、しかも望もキスがうまいものだから、そう時間もかからず身も心もふにゃふにゃにされた。

 (キス、やっぱ…好きかも……、きもちぃ…)

「はぁ、ふぁ…」

 キスの合間に必死に息を整えてると、望の舌がぺろっと唇の端を舐めてくる。なんでその位置?と思ったが多分ビールの泡があった場所なのだろう。それに気付いた瞬間、まさかそんな拭かれ方をするなんて…と僕は顔を赤くしながら俯き「ありがとございます…」と小声で言った。

「…いちいち可愛い反応しやがって」

 望はむすっと言って、口直しのようにビールを煽る。その横顔は少し赤くなっていた。酔ってるのか照れてるのかわからない。でも、

 (なんか、可愛い…)

 僕は衝動に突き動かされるまま身を乗り出した。ソファに深く腰かけた望を横から抱きつくようにして(膝立ちで)、望の口周りについていたビールに吸いつく。

 ちゅぅ…

「!?」

 望はギョッと僕の腕の中で身を引き…それから、カアッと顔を真っ赤にした。

「おま、えっ…!」
「ふへへ…、おかえし……んっ、んん~!」

 再び唇が重なる。僕に体を向けた望が両手を回し、ぐいっと引き寄せて膝の上に座らせた。かなり距離が近くなった上にキスもさっきよりも断然荒々しくなって、ドキドキした。

 (ふ、しぎ、…)

 さっき男達にこうやって強引にキスされたが、望にやられるのは全然気持ち悪くなかった。むしろ気持ちいい。アルコールで判断能力が落ちてきてるのもあるけど頭の奥がぼんやりして快感しか拾えない。この場への恐怖・嫌悪感なんてすでにどっかに行っていた。

 (もっと、ほし…い…)

 口内をぐちゅぐちゅとかき混ぜるほろ苦い舌にうっとりと吸い付く。

 そっ

 望が軽く膝に触れてくる。濃厚なキスをしながら掌はゆっくりと上へ移動していき、するすると太ももを撫でながら、たくし上げられたスカートの隙間から優しく侵入してきた。大きい掌が、女物の下着に包まれた僕のものに触れてくる。

「ん、ひゃ…っ」

 下着越しに弄られみっともない声が出た。反応し始めていた僕のが更に固くなる。

「ウタ…」

 望の喉がゴクリと鳴った。
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