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一話
*おまけ* 甘口倖人の憂鬱
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※一話「情けは人の為ならずってこういう事(ブラコン)」の続き
※甘口の話と思いきや九割シンジが喋ってます
※別作品「ヤンデレ不死鳥の恩返し」のキャラが出てきます
「今日は豊作だったな~!まさかボンキであんなイケメン兄弟とお目にかかれるなんて~!」
シンジが興奮気味にボンキ一階出入口へと突き進んでいく。
「あ~ウタくんもお兄ちゃんもブルーム来てくれないかな~二人共可愛がってあげたい!いやいっそ食べたい!」
「…兄弟で行くのは気まずいと思いますが」
「はは、ブルームタイムじゃなきゃ大丈夫だって。あ、でもお兄ちゃんはブラコン拗らせてそうだしウタくんは行かせてくれないかなー、うーん残念…まあ、あんな可愛い弟なら過保護にしたくなるのもわかるけど、あはは」
「…」
「それならそれでお兄ちゃんだけで来てくれないかな~ついでに友達とか呼んでもらってさ~」
「…」
イケメンの友達ってイケメン率高い気がするんだよね、と呟くシンジの姿を横目に、甘口はマスクの下でひっそりとため息を吐いた。それに気付かず、シンジがニヤリと笑って振り向いてくる。
「にしても甘口さんも男だったんだねえ。あんな可愛い子にツバつけちゃって…隅に置けないんだから~このこの~(肘でツンツン)」
「違います」
「照れなくていいじゃん。下心なんて誰でもあるもんだし?俺なんて下心だらけだからね」
「知ってます」
「うっ…甘口さん相変わらず辛口…そんなに冷たいと辛口さんって呼んじゃうぞ」
「…」
「…え、マジごめん、俺なんか怒らせた…?」
「怒ってはいませんよ」
「あ!!わかった!俺がウタくんに抱きついたりセクハラしまくったから(大人の玩具あげたし)それでご機嫌斜めなんだ!当たりっしょ?ふふ、可愛い奴め」
「…はあ」
「ごめんごめん、ウタくんの反応が可愛くてつい悪ノリしちゃった。もうしないから。てかナンパから助けたっていつの話?どこら辺で声かけたの?連絡先交換してる?さっき二人きりにしてあげた時何か話せた?ねえねえ詳しく教えてよ~俺らの仲じゃん~」
「お断りします。シンジさん、車は裏口の方が近いので、こちらへ」
「あ、はいはーい」
甘口の指示で裏口に方向転換する。裏口側は知る人ぞ知る扉なのかほとんど利用者がいない。手動のドアを甘口が開けて二人で外に出ると
「ほっぺにキスしてくれたら許してあげる!」
そんな声が飛びこんできた。「お?」とシンジと甘口が声の方を見れば、
「じゃあ許されなくていい」
「ひどっ!冷たい!」
黒髪の男と栗色の髪の学生が抱き合いながら何やら言い合っていた。抱き合ってるといっても学生が腕を巻き付けてるだけだし、人通りは全くなかったのでそれ自体に問題はなかったのだが、流石に数メートル先でやられてる行為なのでシンジ達も反応せずにはいられない。
「わお(小声)」
「…」
静かに笑うシンジと無言のままの甘口。学生が二人に気付き「あ」という顔をした後、口の前に人差し指を立ててウィンクしてくる(黒髪はシンジ達に背を向ける形で立ってる為気付いてない)。シンジは悪巧みを共有するようにニヤリと笑って手を振り、抱き合う二人に背を向けた。そのまま歩き、角を曲がって駐車場に入ってから甘口に話しかける。一応声の音量は抑えめだが興奮してるからか、かなりの早口だった。
「甘口さん、今の見た?学生くんめちゃくちゃイケメンだった!まだ幼さが残ってるけど、ありゃ将来化ける!俺の勘がそう言ってる!!ちょっとSっ気ありそうなのもたまらないし闇抱えてそうなのもそそる…ちょっと火傷したい時に最適だ!うん!」
「…」
「黒髪くんは横顔しか見えなかったけどぶっちゃけドタイプだった!やっぱ黒髪硬派イケメン最高。無理やりブルームタイム連れ込んでドン引きさせたい。その顔だけでご飯三杯食べられちゃう。むしろ三回抜ける。あー、あの二人に挟まれたい…」
「シンジさん…その面食いレーダーどうにかなりませんか」
「ん?あはは、甘口さんもちゃんとイケメンと思ってるから安心して」
「…そういう話じゃありません」
はあ、とため息を吐く甘口なのであった。
END
※甘口の話と思いきや九割シンジが喋ってます
※別作品「ヤンデレ不死鳥の恩返し」のキャラが出てきます
「今日は豊作だったな~!まさかボンキであんなイケメン兄弟とお目にかかれるなんて~!」
シンジが興奮気味にボンキ一階出入口へと突き進んでいく。
「あ~ウタくんもお兄ちゃんもブルーム来てくれないかな~二人共可愛がってあげたい!いやいっそ食べたい!」
「…兄弟で行くのは気まずいと思いますが」
「はは、ブルームタイムじゃなきゃ大丈夫だって。あ、でもお兄ちゃんはブラコン拗らせてそうだしウタくんは行かせてくれないかなー、うーん残念…まあ、あんな可愛い弟なら過保護にしたくなるのもわかるけど、あはは」
「…」
「それならそれでお兄ちゃんだけで来てくれないかな~ついでに友達とか呼んでもらってさ~」
「…」
イケメンの友達ってイケメン率高い気がするんだよね、と呟くシンジの姿を横目に、甘口はマスクの下でひっそりとため息を吐いた。それに気付かず、シンジがニヤリと笑って振り向いてくる。
「にしても甘口さんも男だったんだねえ。あんな可愛い子にツバつけちゃって…隅に置けないんだから~このこの~(肘でツンツン)」
「違います」
「照れなくていいじゃん。下心なんて誰でもあるもんだし?俺なんて下心だらけだからね」
「知ってます」
「うっ…甘口さん相変わらず辛口…そんなに冷たいと辛口さんって呼んじゃうぞ」
「…」
「…え、マジごめん、俺なんか怒らせた…?」
「怒ってはいませんよ」
「あ!!わかった!俺がウタくんに抱きついたりセクハラしまくったから(大人の玩具あげたし)それでご機嫌斜めなんだ!当たりっしょ?ふふ、可愛い奴め」
「…はあ」
「ごめんごめん、ウタくんの反応が可愛くてつい悪ノリしちゃった。もうしないから。てかナンパから助けたっていつの話?どこら辺で声かけたの?連絡先交換してる?さっき二人きりにしてあげた時何か話せた?ねえねえ詳しく教えてよ~俺らの仲じゃん~」
「お断りします。シンジさん、車は裏口の方が近いので、こちらへ」
「あ、はいはーい」
甘口の指示で裏口に方向転換する。裏口側は知る人ぞ知る扉なのかほとんど利用者がいない。手動のドアを甘口が開けて二人で外に出ると
「ほっぺにキスしてくれたら許してあげる!」
そんな声が飛びこんできた。「お?」とシンジと甘口が声の方を見れば、
「じゃあ許されなくていい」
「ひどっ!冷たい!」
黒髪の男と栗色の髪の学生が抱き合いながら何やら言い合っていた。抱き合ってるといっても学生が腕を巻き付けてるだけだし、人通りは全くなかったのでそれ自体に問題はなかったのだが、流石に数メートル先でやられてる行為なのでシンジ達も反応せずにはいられない。
「わお(小声)」
「…」
静かに笑うシンジと無言のままの甘口。学生が二人に気付き「あ」という顔をした後、口の前に人差し指を立ててウィンクしてくる(黒髪はシンジ達に背を向ける形で立ってる為気付いてない)。シンジは悪巧みを共有するようにニヤリと笑って手を振り、抱き合う二人に背を向けた。そのまま歩き、角を曲がって駐車場に入ってから甘口に話しかける。一応声の音量は抑えめだが興奮してるからか、かなりの早口だった。
「甘口さん、今の見た?学生くんめちゃくちゃイケメンだった!まだ幼さが残ってるけど、ありゃ将来化ける!俺の勘がそう言ってる!!ちょっとSっ気ありそうなのもたまらないし闇抱えてそうなのもそそる…ちょっと火傷したい時に最適だ!うん!」
「…」
「黒髪くんは横顔しか見えなかったけどぶっちゃけドタイプだった!やっぱ黒髪硬派イケメン最高。無理やりブルームタイム連れ込んでドン引きさせたい。その顔だけでご飯三杯食べられちゃう。むしろ三回抜ける。あー、あの二人に挟まれたい…」
「シンジさん…その面食いレーダーどうにかなりませんか」
「ん?あはは、甘口さんもちゃんとイケメンと思ってるから安心して」
「…そういう話じゃありません」
はあ、とため息を吐く甘口なのであった。
END
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