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零
とりあえず俺のこと話さないと始まんないよね
しおりを挟む今日は、入学式だというのにこの天気のようには俺の心は晴れてくれなかった。
どのぐらい晴れてないかというと、ため息のつきすぎによって、体中の酸素という酸素が奪われて、さっき酸欠でぶっ倒れたぐらいだ。
そんな俺を見かねたのか、「大丈夫?」と声をかけてくれた女子がいたが、「大丈夫です」という言葉を放った俺の"のど仏"と"スカート"を交互に10度見ぐらいして、あはは~と苦笑いしながらどっかにいってしまった。
別に俺は、女装好きな訳でも無ければ、ホモでも無い。まったく、作者と一緒にするな。
冗談はさておき、では何故スカートなんぞはいてるのか説明しよう。
あれは、5年前くらいだっけな?
同年代のジャイアンキャラのやつに喧嘩に負けたのが悔しくて、ピカッとしてチューしたりするポケットのモンスターに憧れていた当時の俺が学校を抜け出し、【力が欲しい】と考え走っていたとき、勢い良く車にぶつかってしまったのだ。
察しがいい人はもう気がついただろうが、俺はその時、ある力が芽生えたのだ。
・・・のだけど、こんな危機的状況下で習得した能力が『相手の心の中が読める』なのはおかしいと思う。
治癒能力とか火が使えるとか、時止めれるとか期待してたのに、『これ』は無いと思う。
だって体中くそいたくて死にそうなのにひいた車の【やっべーひいちまったー】っていうわかりきった事実や、近くに居る人の【パフェってパーフェクトの略なんだぜ!】っていうどうでも良いことを永延聞かされてもいらってくるだけだ。
それに、あまりに絶望したもんだからでかい声で「これじゃねぇ!」って叫んだせいで、体の病院の次に心の病院に連れて行かれそうになったし。
心の中が見えれば、喧嘩も強くなるのでは?と思う人もいるだろう。
実際することがなく、暇な病院で俺も考えていたしな。
と言うことで、退院早々学校でニセジャイアンに喧嘩をふっかけてみたわけだが、当たり前なんだが、次右ストレートってのは分かるんだ。
だから【左によけた後隙になる右肩を殴ろう】と考えてる瞬間、右ほほに拳が当たっていた時はびっくりした。・・・まぁもう一度入院というぐらいの軽いリスクで『こいつ』使えねぇって気づけただけましか。
とまぁ、ここまでが前置きで、それはいつかのハロウィンの日だった。
親に変装のかわりに女装しろと言われたついでに【断ったら殺す】というわかりきった事実と女物の制服を渡された。
ということで、家族の【女装姿勝手にとってインスタにのっけよ~♪】という悪魔の声をBGMに、いやいや着替えてたのだが、スカートに足を通した時、異変に気づいたのだ。そう、BGMが止まったのである。
このときの俺の喜びといったら凄かった。表すなら肝試しでびびった日の風呂から出た後の感じだ。え?たとえわかりにくい?・・・気にしないでくれ。話戻すが、その時は既にそう思うほど嫌になっていたのだが、それは後ほど・・・いや!やっぱ今言おう!
前置きが多くて恐縮だが、俺は能力を手にする前、とても可愛い彼女という人がいた。勿論、彼女という名前ではなく、俺にとって彼女という立ち位置にいる人だ。
俺はその子をとても愛していて、よく、何でもない日にプレゼントを贈ったり、頻繁にどこかに連れて行ってあげたりした。
それが崩れたのが、一度目の退院後だ。
入院していて長らく会えなかったので楽しみにしていた俺は、彼女を見つけ手を振ろうとしたのだが、あることがあって、止めた。
彼女から、聞こえてきたのだ、【あ、財布ちゃんだ】と。
彼女は俺を金を払ってくれるだけの財布野郎とと見ていたのだ。
それはそれはショックで、その後知っての通り喧嘩をふっかけた訳だが、そっからは酷い悪循環だった。
いきなり愛すべき彼女を失った俺は、勉強なんか手つかず、かといって運動するわけでもなく、どんどん落ちぶれていった。
心が見えるからテストの点数が良いというわけにも訳にもいかなかった。何故かって?だってそりゃ、皆がみんな答え合ってる訳じゃないんだ。そう、どれがあってるかって検討もつかないぐらい腐っちまったってことだよ。
更にあんなことがあったんだ、当たり前だが、人間ってものを好きになれるはずも無く、友達も消えていった。唯一ずっと友達、ズッ友ってやつにくっきーってやつがいるが、そいつはひどい死にたがりでいついなくなるか分かったもんじゃ無かった。
全ての原因はあの彼女って思うのが普通かもしれない、でも俺は全て『その能力』のせいだと思うんだ。だって、知らなきゃ、素直な俺は信じ続けていた、少なくとも悪循環はうまれてなどいなかった。まさに知らぬが仏ってとこだな。・・・それにあの伝え方は無いだろう。
というわけで自分を苦境に追い込んだ『そいつ』を物凄く嫌いになったってことだ。
とまぁ、そんなわけだから"スカートをはけば能力が消える"と気づけたその日は最高の日だったと言えるだろう。インスタに女バージョンの俺が乗ったことを除けば。
それでも学校にスカートをはいていくのは大分勇気が必要だ。それで入学式のひに"女子もどきデビュー"を始めたってことだ。
どうやって女子の制服を手に入れたって?それは親にスカートがい言っていったら楽しそうに了承して全部買ってきたって訳だよ。
ここまででひねくれちまった俺の過去の話は終わりだ。これからは俺のイレギュラーな日常達を話していこうと思う。
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