悪役令嬢の名誉を挽回いたします!

みすずメイリン

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第18話、もうすぐテスト

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 自宅に戻るとさっそくお父様とお母様に叱られた。どれだけ心配していただのテストの成績が悪くなりそうだから無理やり家庭教師をつける話などを押し付けられるように聞かされた。
 冒険に出るために着ていたディアンドルを着たままお父様とお母様と一緒に夕食を取って、お父様とお母様には辺境の地とこの前の社交界で会ったカイン様に会いに行った話などをして、エルフのヴァルデマールさんに弓矢の使い方を教わっていると伝えた。
 そしたら案の定、お母様には「貴族はそんなことをしなくても良いのですわ。リリアンナ、もっと乗馬とかしてくださいまし。ほら、ハインリヒ王子も彼がまだ中学生か高等学園時代の時に専属の騎士のレオンハルトと一緒にしていたでしょう」といわれてしまったけれど、乗馬もギルドとの冒険に役に立つかもと思った。

 お父様とお母様との食事が終わり、私は自室に戻って服を脱いで自室にある洗面所に行ってシャワーを浴びて湯船に浸かった。今日も体をたくさん動かしたなぁとかカイン様とのお話やヴァルデマールさんとのアーチェリーの練習など色々思い出していた。そして、もしかしたら私に就くかもしれない家庭教師のこととかテストのこととか色々不安になりながらも、お風呂から上がってパジャマに着替えて髪の毛を乾かして少しだけテスト勉強をしていた。
 テスト勉強を少し終えると眠気がしたので、私は自分のベッドの中に入って目を閉じた。



 今日の朝は久々に使用人のヘレーネに起こしてもらった。昨日、勉強したせいかもしれないなぁ。冒険したときはこんなことはなかったのになぁと私は思った。ヘレーネに起こされてグリュックシュロス高等学園の制服に着替えて自分の部屋から出ていって、お父様とお母様と一緒に朝食を取るために応接間へと向かった。
 お父様には「少し遅いじゃないか。リリアンナ」といわれたけれど「少し勉強をしておりまして」と返事をしたら、お母様が「リリアンナが自主的に勉強するだなんて貴族として真面目で気品のある性格へと成長しているだなんて、誇らしいですわ」と褒めてくださった。けれども、私が「貴族社会からも学校からも外へ出て自分の目で見て感じて確かめるのも勉強だと思いますが」と反論すると、お母様は「それとこれとは別です。いっておきますけど、エルフの聖域がロザリント公爵家のものにならなかったのも運が良かったからですわ」と少し腹が立つようなことをいったので「エルフの聖域については、ハインリヒ王子とルイーゼ・ツー・ロザリント公爵令嬢とエルフのヴァルデマールさんとの話し合いの結果で、エルフの偉い立場のヴァルデマールさんが私を『信頼』したから領地化できた話ですよっ!」と少し訂正を加えたら、お父様が「朝から喧嘩するものじゃない。そして、リリアンナ、冒険に出かけるのも身の安全を保証できるならば良いのだが、学校の成績を一定数保つことに条件とするからな。明後日から家庭教師をお前が家に帰ってきてから雇うことを契約したからな。わかったな、リリアンナ」となんと私に家庭教師が初めて付くことになった。
 「そんな、お父様っ! 私の学校の成績はそこまで悪くはないはずですよ」と少し強い口調でいったら、お父様は「リリアンナ、お前が最近、平民の勇者と冒険をしているそうだから心配になってな。事後報告ですまない」とめずらしく私に謝っていた。
 私はため息をついて先に食事の席を立って自室に戻って、制服に歯磨き粉が付かないように気をつけて歯磨きをした。そして、使用人のヘレーネに「いってらっしゃいませ、リリアンナ様」といわれて家の外へ出て学校へ登校した。

 私は歩きながら家庭教師のことやギルドのみんなにはどう説明すれば良いのか考えながら学校へ登校していると、いつの間にか校舎の中に私は入っていた。そしたらジークフリートの姿が見えたので、ジークフリートに話しかけてみた。
 「おはよう、ジークフリート」
「あぁ、おはよう、リリアンナ嬢。ところでハンスのことで話があってさ」
「私も話さなければいけないことがあって……」と私は申し訳なさそうにいうと、ジークフリートは「そうか。じゃあ先にリリアンナから話してくれよ。もしかしてもうすぐテストだからギルドに参加できないてっか?」と私に問い正すと私は落ち込みながら「ご名答。お父様が勝手に明後日から私に家庭教師をつけることになったの。なんかリヒテンベルク伯爵家の恥となるから一定の学力を持っといてほしいといわれちゃって」とジークフリートにいうと、ジークフリートはかなりつまらなさそうに「なんだー。リリアンナもかー。実は僧侶のハンスも家庭教師のアルバイトをすることになったからしばらくギルドに参加ができないとリリアンナの家に送った後、ハンスが俺とフリーダの前でそういったんだよな」とハンスさんの状況についても教えてくれた。
 「でも、私は明後日から家庭教師がつくからまだ今日を含めてあと二日ぐらいはギルドに参加できるけど、ハンスさんの場合はどうなの?」
 私がそう聞くとジークフリートは目を大きく開いて驚いた顔をして「ハンスも明後日からだといっていた」と答えていた。ジークフリートは残念な顔をしながらも「ま、まぁ、今日は辺境の地へ行こうぜ。じゃあ、またなっ! リリアンナ」といってジークフリートは自分の教室へと向かって行ってしまった。
 ジークフリートが去ると、次はルイーゼが私に話しかけてくれた。ルイーゼが私に話しかけてくれた時、その場にいた周りの人間の表情が明るくなったような気がした。
 「おはよう、リリアンナ。昨日もギルドの人たちと一緒に冒険していたの?」と私たちギルドの様子を聞いてきた。もしかしてルイーゼは魔族が住んでいる土地を自分の領地にしたいのかな、と思った。だけども私は正直に「またカイン様に会いに辺境の地へギルドのみんなと行ってきたんだけど、カイン様はおどぎ話に出てきそうなお城の中に住んでいたよ。でも、ルイーゼ、もしあなたがカイン様に会いに行こうとするなら気をつけて。彼はかなりのプレイボーイっぽいしなんだか俺様ぽいから。アルブレヒト様と一緒に行ってきた方がいいかも。もし、ルイーゼがカイン様にもう一度会いたかったらの話だけど」といったら、ルイーゼは鼻で笑って「私は大丈夫よ。それにリリアンナ、私に指図するようなことをいわないでよ」と目の奥は笑っていないけれど、微笑みながらそういった。
 ルイーゼの取り巻きのフレイヤとリラが登校してきてリラがルイーゼに話しかけてきて、ルイーゼは「じゃあ、リリアンナ。またギルドの冒険のことを聞かせてね」といって立ち去った。ルイーゼは香水をつけていたからか、彼女が去った後はバラの香りが残っていた。ルイーゼとフレイヤとリラが廊下で話している間に私は自分のクラスの教室に入って、朝礼が始まるまで教室の中で待っていた。

 朝礼が始まる合図のチャイムが鳴り廊下で話していた生徒たちは慌てて、それぞれの教室の中に入って自分の席に座った。
 今日の朝礼は特にお知らせがなかったので、そのまま午前の授業が始まった。
 午前の授業中は今度はどこの辺境の地に行こうか、またカイン様に会いに行こうかなど考えながら授業を受けていた。そんなことを考えながら午前の授業を受けているとちょうどお昼休みの時間になったので、私はお昼ご飯を食べるために食堂へと向かった。
 食堂に着くと、ジークフリートが私に声をかけてくれた。
 「なぁ、リリアンナ。一緒にお昼ご飯食べないか?」と誘われたので私は「うん。そうするよ」と答えて、自分の食べる分のお昼ご飯をビュッフェから選んでジークフリートたちが座っていた席に座った。
 ジークフリートとジークフリートの学校の男友達と話しながらお昼ご飯を食べて何の話題を話しているのかわからないけれど、何かしらモンスターの話とかしているのかなと思いながら聞いた。
 お昼ご飯を食べ終わった後、私はジークフリートたちがいる席から離れて自分のクラスの教室に戻った。

 午後の授業も始まって午後の授業はテスト範囲の復習の授業だった。そして午後の授業も終わり、とうとう終礼の時間になった。
 終礼の時間も特にこれといったお知らせもなく、ちょっとしたクラブ活動の勧誘があっただけだった。終礼が終わると私は急いで家に向かって帰って少しシャワーを浴びてミント色のディアンドルに着替えて、ハンスさんが勤めている教会の前に集まった。
 ハンスさんが教会の中から現れて勇者の服を着たジークフリートと魔導師の格好をしたフリーダも集まって、私とハンスさんは明後日のことを話した。
 ハンスさんは穏やかな表情で「リリアンナさんから先にお話ししてください」といったので、私はギルドのみんなの前で「実は明後日から家庭教師がつくことになって勉強を頑張らなくちゃいけなくなったので、学校のテストの終わるまでギルドに参加できないです。申し訳ないです」といったら続いてハンスさんも「僕も実は僧侶以外に家庭教師のアルバイトをその子のテスト期間が終わるまではしなくてはならなくなったため、しばらくギルドには参加できません。申し訳ないです」と本当に申し訳なさそうに全員に謝罪した。
 フリーダは小さい声で「今日と明日の冒険を楽しもう」とつぶやいた。そして私は「フリーダとジークフリートは明後日からどうするの?」と質問すると、ジークフリートは頭を掻いてフリーダは思い詰めたような表情をして「「どうしたものかねー?」」と二人同時に呟いた。それからフリーダは何かを閃いたかのように「当日決めればいいじゃん」と細々と小声でいってジークフリートは爽やかな笑顔で手を頭の後ろに組んで「それもそうだな」といった。

 フリーダは魔法の絨毯を広げて「今日はどこに行くの?」と聞いてきたのでジークフリートは勢いよく「あのカインとかいう色ボケ魔族がいる城の近くの辺境の地へ行かないか?」と聞いてきたので、ハンスさんは穏やかな笑顔で「そうしましょう」と頷いて答えて、私も「そうしようっ!」と答えた。
 空から見る景色は自然がいっぱいで湖の形とか地図のそのままのように見えて、雲が遮っていてとても気分は良かった。
 そして、フリーダが用意してくれた魔法の絨毯から降りると、昨日行った前世の知識でいうところのドイツのライン川の近くの街に着いてフリーダが魔法の絨毯を魔法のポケットに片付けて、街の中を歩いた。私はフリーダに話しかけてみた。
 「ねぇ、フリーダ。この街にはこの街や土地特有の精霊はいるの?」
「精霊は基本的にエルフが多いところにしかいないから、この辺りにはいない。確かにこの辺りはエルフも私と同じハーフエルフもいる。けれど魔族の人間も普通に歩いているし、普通の人間も歩いているから」と答えてくれた。精霊たちはエルフがいるところにしか現れないだなんて初耳だなぁと思い、どこかで見かけたことがあるような魔族の男性に出会した。
 ジークフリートは挑発するようにカイン様らしき魔族の男性に「やーいっ! 色ボケ魔族!」と大きい声で呼んだけれども、ハンスさんは「ダメですよ、ジークフリート。あの方はインキュバスと呼ぶ方が適切でしょう」というと、カイン様らしき魔族の男性が近づいてきてかなり強い口調で額に少し血管を浮かせて「これだから平民の人間の男は」と少し憤慨していた。そして、カイン様と思しき魔族の男性は私とフリーダの体に近寄ってきたのでよそよそしくしていたら「相変わらず初々しい反応してくれて面白がらせてくれるから助かるぜ。なぁ、リリアンナ伯爵令嬢とハーフエルフのフリーダちゃん」と私の耳元で囁いてきた。そしてフリーダは「あ、昨日の紅茶葉とスコーンをくれた人だ。ありがとうございます」といったらカイン様は「どういう人の覚え方をしているんだ」と若干、困惑していたようにフリーダに詰め寄った。そして、カイン様は私を自分の体に引き寄せて「これからまたハインリヒ王子に会いに行くんだ。一緒に行くか?」と誘ってくれたけれど、私たちギルドは迷って四人で相談することにした。
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