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第22話、再会
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魔族がいる辺境の地もついに正式にハインリヒ王子から直々にリヒテンベルク伯爵家の領地化となった。そして、ハンスさんが今日私の家に来て私の姿を見て驚いていた。
ハンスさんは「リリアンナさんが僕の家庭教師だったんですか?!」と驚いた後、ハンスさんは更に「カインさんのことはどうなったんですか?」と質問されたので、私はハンスさんの質問に答えるように「無事、我がリヒテンベルク伯爵家の領地となりましたよ。えっへん!」と得意げにいったら、ハンスさんは笑顔で「おめでとうございます」と褒めてくれたので彼の穏やかな笑顔に少しドキドキして照れてしまった。
「ところでどうして僧侶のハンスさんが家庭教師もしているんですか? しかもギルドにも参加しているしなんだか忙しそうですね」と私がハンスさんに質問するとハンスさんは微笑んで「僧侶も僧侶になるためにそれなりの大学を卒業していますから。僧侶だけでは時間が余るので僕はたまに定期的に家庭教師として駆り出されることもあれば、ギルドに参加したりすることもするんですよ」と答えた。引き続き、ハンスさんは「リリアンナさんのお父様のリヒテンベルク伯爵から僕がリリアンナさんの家庭教師に頼まれてね。他の貴族のお子さんたちの家庭教師もたまにやっているんだ。貴族のお子さんだけじゃなく他のご家庭のお子さんたちの家庭教師も任されているんだよ」とハンスさんのお仕事事情について教えてくれた。
ハンスさんのお仕事事情を教えてもらったところで、ついにハンスさんとの個人授業が始まった。
ハンスさんが出してくれた問題は学校の授業で習ったことよりも難しかったけれど学校の先生の説明よりもわかりやすく、ハンスさんはすぐさま私の苦手部分を見抜いてそのことについてわかりやすく教えてくれた。
家庭教師として来ているハンスさんは冒険で見せているハンスさんの様子とはまた違って私はドキドキしてしまった。前々から、聞き上手で穏やかな人だと思っていたけれど、やっぱりこう大学を卒業しているからか大人の包容力や余裕を見せていて、それはハインリヒ王子が見せるいつもの余裕とは違っていた。どう違うかは説明するのは難しいけれど。それに、ハンスさんとの顔が近いしハンスさんってこんなに整った顔をしていたっけ? と私はさらにいつも以上にときめいてしまった。
ハンスさんとの物理的な近さにドキドキしていると、ドアのノック音が聞こえてきた。
「リリアンナ様、ヘレーネです。来客用にハンス様とリリアンナ様用にお菓子とお飲み物をお持ちして来ました。今、中に入っても大丈夫でしょうか?」と使用人のヘレーネの声が聞こえたので、私は「どうぞ、ヘレーネ。入ってきて」とヘレーネに私の部屋に入ってくるように指示をして、ヘレーネは私の部屋のドアを開けて入ってきた。
「それではお邪魔します。リリアンナ様。そして、改めてご挨拶を申し上げます。家庭教師のハンスさん。本日からよろしくお願いいたします」とへレーネはハンスさんに頭を下げて挨拶をして、ハンスさんも「こちらこそ、リリアンナ伯爵令嬢の期間限定の家庭教師として勤めていただけて光栄です」と返した。ヘレーネはハンスさんの返事を微笑んで聴きながら机の上に用意してくれたお菓子と飲み物を置いた後、ヘレーネはハンスさんに「ようこそ来てくださいまして改めてありがとうございます。ハンス様。申し訳ないのですが、実はこの後、リヒテンベルク伯爵家は魔族のカイン様に会いに王宮まで急に出かけなければならないことになりましたので、お菓子をお召し上がりになったら申し訳ないのですが、本日は予定よりも早いですがお帰りくださいませ」と告げ、ハンスさんは子供っぽくしょんぼりして「そういう命令でしたら、仕方ないですね」と少し口をとんがらせて残念そうにしていた。
ハンスさんが帰った後、少しだけシャワーを浴びて身綺麗にして、ヘレーネに手伝ってもらい今日はオレンジ色のパフスリーブがついているプリンセスドレスを着ることにした。そして自分の部屋を出て、お父様とお母様は玄関先でオレンジのプリンセスドレスを着た私を待っていた。お父様は「リリアンナ、また私が知らないうちに人間とは違う異種族の土地を領地化をしたんだな」と嬉しそうにいっていた。お母様は「でも、またあのルイーゼ・ツー・ロザリント公爵令嬢と関わっていたみたいですわね。それがちょっと心配ですわ」と不安そうにいって私たちリヒテンベルク伯爵一家は、王宮へ向かう馬車を待った。
王宮へ向かう馬車が来たので、私たちはそれに乗り込んで王宮へと向かった。
王宮へ向かう道中の馬車から見える景色はなんだか私の気持ちのせいかどう説明すればいいのかわからないけれど、違って見えた。単なる平坦な道なのに輝いて見えた。そして、馬車が王宮へと段々と近づくと相変わらず大理石でできたバロック式の建物でできた王宮が見えてくると、お父様とお母様は久しぶりの王宮だったからか、二人とも大人なのに少しはしゃいでいるように見えた。
王宮に着くと今はルイーゼの護衛を任されているレオンハルトが王宮の玄関の前に立っていて、私たちリヒテンベルク伯爵一家が馬車から降りる手伝いをしてくれた。王宮にいるレオンハルトに疑問を持った私はついレオンハルトに質問をした。
「あれ? レオンハルト。この前、ハインリヒ王子からルイーゼの護衛をするように任されたんじゃなかった?」
「そうなのですが、少し気になったことがありましてハインリヒ王子に連絡して参りました」
「へえ、そうなんだ。今日も馬車から降りるのを手伝ってくれてありがとう、レオンハルト」と私は笑顔でレオンハルトにお礼をいうとレオンハルトは少し口を開けて頬を赤らめて「リリアンナ様、何か雰囲気が違いますね。なんだか色気があるというか」と伝えて少し私の顔から目を逸らした。
レオンハルトに王宮の中へと案内してもらうとハインリヒ王子とカイン様がいると思われている応接間へと案内された。お母様は「まぁ、懐かしいですわ。相変わらず立派な建物ですわねぇ」と久しぶりの王宮の建物の中をキョロキョロと見回していて「なんだか、リヒテンベルク伯爵と初めて舞踏会で会った遠い昔のことを思い出しますわね」と嬉しそうにいっていて、お父様は嬉しがるお母様を慎むように「そうだな。でも、今はそんなことを思い出している場合じゃないぞ。夫人」と注意した。そんなお父様をみてお母様は「申し訳ございませんこと。リヒテンベルク伯爵」と悲しそうにお父様に謝罪した。
しばらくして、レオンハルトに案内されてハインリヒ王子とカイン様がいる応接間にたどり着いたので、レオンハルトがその応接間の部屋のドアにノックすると部屋の中からハインリヒ王子の声が聞こえてきて「レオンハルトなのか? レオンハルトなら入ってくれ」といってきたので、レオンハルトは「はっ!」と返事をして応接間のドアを開けて「リヒテンベルク伯爵一家をお連れに参りました」とハインリヒ王子に申し上げた。
私は「ごきげんよう。ハインリヒ王子、カイン様」と両方に挨拶をしたら、カイン様は「ごきげんよう、リリアンナ嬢」と笑顔で挨拶を返してくれた。そんなカイン様を見た私は、あぁ、今のカイン様は猫を被っているんだなと思った。そして、ハインリヒ王子も「ごきげんよう、リリアンナ。そして、リヒテンベルク伯爵と伯爵夫人」と私の両親に対しても挨拶を返してくれた。
ハインリヒ王子は私たちに向かって「さぁ、どうぞ。座って」と指示してくれたので、私たちリヒテンベルク家は椅子に座った。
そして、ハインリヒ王子は気を改めて「今回、呼び出したのは、僕も交えて魔族が住んでいる辺境の地をリヒテンベルク伯爵家の領地化したことについて個人的に関わっておきたかったからね。このことについては随分と長くカイン殿とはお話したので」と私たちに伝えた。更にハインリヒ王子は付け加えて「リリアンナ・フォン・リヒテンベルク伯爵令嬢が主に他の貴族が領地化できなかった或いはしなかった僕たち人間とは違う異種族の土地を領地化しているので、今回はそのカイン殿とも話し合って僕を介して領地化後の挨拶をさせたいと思ったんだよ」と告げた。
カイン様は「そういうことです。リヒテンベルク伯爵、リヒテンベルク伯爵夫人」というと、猫を被っているカイン様の姿に私は間の抜けた声で「へぇー…」といったらお父様に「ハインリヒ王子とカイン様の前でなんという態度を取るんだ?! リリアンナ!」と公然の前で叱られ、お父様には「大変っ! 申し訳ございませんっ! ハインリヒ王子、カイン様」と頭を下げて謝ったら、ハインリヒ王子は焦って「そこまでしなくてもいいよ。リヒテンベルク伯爵。お顔を上げてください」と申し出たら、お父様は不安そうに顔を上げたら、カイン様は少し笑っていたので私は少し顔を赤らめながらカイン様に向かって目つきを鋭くすると、今度はお母様から叱られた。
「もうっ! この子ったらっ! 15歳にもなって!」とお母様にいわれたものの、カイン様は「私は気にしていませんので構いませんよ。それにまだ15歳じゃないですか」と余裕ぶっこいて仰っていた。
そんなやりとりをしていたら、タイミングを見計らったかのようにずっとハインリヒ王子の側にいたレオンハルトが、ハインリヒ王子に話しかけてきた。
「ハインリヒ王子、少し宜しいでしょうか?」
「あぁ、大丈夫だよ。今から話そうとしていることはリリアンナたちにも聞かれても大丈夫なことなのかい?」と問いただすと、レオンハルトはいつもの冷静沈着な態度で「そうですね。むしろ、その方が良いかも知れません。リヒテンベルク伯爵家には少し怖くて不安になるようなことですが、念のために注意喚起した方が良いかと思いまして。あとはカイン様にとっても答え合わせになるかと」と答えた。
レオンハルトは口を開いて「先日、ルイーゼ・ツー・ロザリント公爵令嬢に仕えていた騎士のアロイスが見たという報告がありまして、ルイーゼ嬢が『エルフ族も魔族もあのリリアンナの領地になるなんてっ!!!』と大声でヒステリーを起こして部屋の中にある物を当たり散らして『今のは……見なかったことにして』と、震える声でつぶやきながら、冷たい視線でアロイスを威嚇したようです。しかし、彼女の声にはいつものカリスマ性がなく、弱々しさが滲み出ていたそうです」と報告していた。私のお父様とお母様はその話を聞いて驚き、お母様は冷静を装いながらも「ま、まぁ、今のロザリント公爵令嬢は、元々妾の子という噂もあるらしいですし、彼女らしいのかも知れませんね。リリアンナ、そのルイーゼ嬢にはよりいっそうお気をつけなさい」とレオンハルトの話を聞いて感想を述べ、お父様は「そんな噂もあったのか」と驚いていた。
カイン様は「やはり、そういうことだったろうな」とつい本音を出していた。そして、レオンハルトは追い討ちをかけるように「そういえば、ハインリヒ王子。以前、ルイーゼ嬢がリリアンナ様の元婚約者である、アルブレヒト・フォン・ノイシュタット公爵子息を自分の婚約者にしたにも関わらず『ハインリヒ王子のことが頭から離れられない』といって迫っていましたね」というと、ハインリヒ王子は顔を赤らめつつ声を裏返して「レオンハルト、それは別にいわなくて良かったんじゃないのか?」とお茶を濁していた。
そんな様子を見たカイン様はニヤニヤと口角を上げてレオンハルトの話を聞いたのちに「実はルイーゼ嬢は『権力』がほしいんじゃないんですか」と本質を突いているようなことをいった。そして、カイン様は「もうそろそろお暇にいたしましょうか」と全員帰ろうかと誘うと、ハインリヒ王子は「それもそうだな。本日は一家総出でカイン殿の土地の領地化後の立ち会いに来てくれて感謝する。そして、リリアンナ、またよくやったな。僕もリリアンナに見習わないとな」というと私の顔が熱くなった気がしてハインリヒ王子のまっすぐな言葉に俯いて「恐縮です……」と私は告げた。
ハンスさんは「リリアンナさんが僕の家庭教師だったんですか?!」と驚いた後、ハンスさんは更に「カインさんのことはどうなったんですか?」と質問されたので、私はハンスさんの質問に答えるように「無事、我がリヒテンベルク伯爵家の領地となりましたよ。えっへん!」と得意げにいったら、ハンスさんは笑顔で「おめでとうございます」と褒めてくれたので彼の穏やかな笑顔に少しドキドキして照れてしまった。
「ところでどうして僧侶のハンスさんが家庭教師もしているんですか? しかもギルドにも参加しているしなんだか忙しそうですね」と私がハンスさんに質問するとハンスさんは微笑んで「僧侶も僧侶になるためにそれなりの大学を卒業していますから。僧侶だけでは時間が余るので僕はたまに定期的に家庭教師として駆り出されることもあれば、ギルドに参加したりすることもするんですよ」と答えた。引き続き、ハンスさんは「リリアンナさんのお父様のリヒテンベルク伯爵から僕がリリアンナさんの家庭教師に頼まれてね。他の貴族のお子さんたちの家庭教師もたまにやっているんだ。貴族のお子さんだけじゃなく他のご家庭のお子さんたちの家庭教師も任されているんだよ」とハンスさんのお仕事事情について教えてくれた。
ハンスさんのお仕事事情を教えてもらったところで、ついにハンスさんとの個人授業が始まった。
ハンスさんが出してくれた問題は学校の授業で習ったことよりも難しかったけれど学校の先生の説明よりもわかりやすく、ハンスさんはすぐさま私の苦手部分を見抜いてそのことについてわかりやすく教えてくれた。
家庭教師として来ているハンスさんは冒険で見せているハンスさんの様子とはまた違って私はドキドキしてしまった。前々から、聞き上手で穏やかな人だと思っていたけれど、やっぱりこう大学を卒業しているからか大人の包容力や余裕を見せていて、それはハインリヒ王子が見せるいつもの余裕とは違っていた。どう違うかは説明するのは難しいけれど。それに、ハンスさんとの顔が近いしハンスさんってこんなに整った顔をしていたっけ? と私はさらにいつも以上にときめいてしまった。
ハンスさんとの物理的な近さにドキドキしていると、ドアのノック音が聞こえてきた。
「リリアンナ様、ヘレーネです。来客用にハンス様とリリアンナ様用にお菓子とお飲み物をお持ちして来ました。今、中に入っても大丈夫でしょうか?」と使用人のヘレーネの声が聞こえたので、私は「どうぞ、ヘレーネ。入ってきて」とヘレーネに私の部屋に入ってくるように指示をして、ヘレーネは私の部屋のドアを開けて入ってきた。
「それではお邪魔します。リリアンナ様。そして、改めてご挨拶を申し上げます。家庭教師のハンスさん。本日からよろしくお願いいたします」とへレーネはハンスさんに頭を下げて挨拶をして、ハンスさんも「こちらこそ、リリアンナ伯爵令嬢の期間限定の家庭教師として勤めていただけて光栄です」と返した。ヘレーネはハンスさんの返事を微笑んで聴きながら机の上に用意してくれたお菓子と飲み物を置いた後、ヘレーネはハンスさんに「ようこそ来てくださいまして改めてありがとうございます。ハンス様。申し訳ないのですが、実はこの後、リヒテンベルク伯爵家は魔族のカイン様に会いに王宮まで急に出かけなければならないことになりましたので、お菓子をお召し上がりになったら申し訳ないのですが、本日は予定よりも早いですがお帰りくださいませ」と告げ、ハンスさんは子供っぽくしょんぼりして「そういう命令でしたら、仕方ないですね」と少し口をとんがらせて残念そうにしていた。
ハンスさんが帰った後、少しだけシャワーを浴びて身綺麗にして、ヘレーネに手伝ってもらい今日はオレンジ色のパフスリーブがついているプリンセスドレスを着ることにした。そして自分の部屋を出て、お父様とお母様は玄関先でオレンジのプリンセスドレスを着た私を待っていた。お父様は「リリアンナ、また私が知らないうちに人間とは違う異種族の土地を領地化をしたんだな」と嬉しそうにいっていた。お母様は「でも、またあのルイーゼ・ツー・ロザリント公爵令嬢と関わっていたみたいですわね。それがちょっと心配ですわ」と不安そうにいって私たちリヒテンベルク伯爵一家は、王宮へ向かう馬車を待った。
王宮へ向かう馬車が来たので、私たちはそれに乗り込んで王宮へと向かった。
王宮へ向かう道中の馬車から見える景色はなんだか私の気持ちのせいかどう説明すればいいのかわからないけれど、違って見えた。単なる平坦な道なのに輝いて見えた。そして、馬車が王宮へと段々と近づくと相変わらず大理石でできたバロック式の建物でできた王宮が見えてくると、お父様とお母様は久しぶりの王宮だったからか、二人とも大人なのに少しはしゃいでいるように見えた。
王宮に着くと今はルイーゼの護衛を任されているレオンハルトが王宮の玄関の前に立っていて、私たちリヒテンベルク伯爵一家が馬車から降りる手伝いをしてくれた。王宮にいるレオンハルトに疑問を持った私はついレオンハルトに質問をした。
「あれ? レオンハルト。この前、ハインリヒ王子からルイーゼの護衛をするように任されたんじゃなかった?」
「そうなのですが、少し気になったことがありましてハインリヒ王子に連絡して参りました」
「へえ、そうなんだ。今日も馬車から降りるのを手伝ってくれてありがとう、レオンハルト」と私は笑顔でレオンハルトにお礼をいうとレオンハルトは少し口を開けて頬を赤らめて「リリアンナ様、何か雰囲気が違いますね。なんだか色気があるというか」と伝えて少し私の顔から目を逸らした。
レオンハルトに王宮の中へと案内してもらうとハインリヒ王子とカイン様がいると思われている応接間へと案内された。お母様は「まぁ、懐かしいですわ。相変わらず立派な建物ですわねぇ」と久しぶりの王宮の建物の中をキョロキョロと見回していて「なんだか、リヒテンベルク伯爵と初めて舞踏会で会った遠い昔のことを思い出しますわね」と嬉しそうにいっていて、お父様は嬉しがるお母様を慎むように「そうだな。でも、今はそんなことを思い出している場合じゃないぞ。夫人」と注意した。そんなお父様をみてお母様は「申し訳ございませんこと。リヒテンベルク伯爵」と悲しそうにお父様に謝罪した。
しばらくして、レオンハルトに案内されてハインリヒ王子とカイン様がいる応接間にたどり着いたので、レオンハルトがその応接間の部屋のドアにノックすると部屋の中からハインリヒ王子の声が聞こえてきて「レオンハルトなのか? レオンハルトなら入ってくれ」といってきたので、レオンハルトは「はっ!」と返事をして応接間のドアを開けて「リヒテンベルク伯爵一家をお連れに参りました」とハインリヒ王子に申し上げた。
私は「ごきげんよう。ハインリヒ王子、カイン様」と両方に挨拶をしたら、カイン様は「ごきげんよう、リリアンナ嬢」と笑顔で挨拶を返してくれた。そんなカイン様を見た私は、あぁ、今のカイン様は猫を被っているんだなと思った。そして、ハインリヒ王子も「ごきげんよう、リリアンナ。そして、リヒテンベルク伯爵と伯爵夫人」と私の両親に対しても挨拶を返してくれた。
ハインリヒ王子は私たちに向かって「さぁ、どうぞ。座って」と指示してくれたので、私たちリヒテンベルク家は椅子に座った。
そして、ハインリヒ王子は気を改めて「今回、呼び出したのは、僕も交えて魔族が住んでいる辺境の地をリヒテンベルク伯爵家の領地化したことについて個人的に関わっておきたかったからね。このことについては随分と長くカイン殿とはお話したので」と私たちに伝えた。更にハインリヒ王子は付け加えて「リリアンナ・フォン・リヒテンベルク伯爵令嬢が主に他の貴族が領地化できなかった或いはしなかった僕たち人間とは違う異種族の土地を領地化しているので、今回はそのカイン殿とも話し合って僕を介して領地化後の挨拶をさせたいと思ったんだよ」と告げた。
カイン様は「そういうことです。リヒテンベルク伯爵、リヒテンベルク伯爵夫人」というと、猫を被っているカイン様の姿に私は間の抜けた声で「へぇー…」といったらお父様に「ハインリヒ王子とカイン様の前でなんという態度を取るんだ?! リリアンナ!」と公然の前で叱られ、お父様には「大変っ! 申し訳ございませんっ! ハインリヒ王子、カイン様」と頭を下げて謝ったら、ハインリヒ王子は焦って「そこまでしなくてもいいよ。リヒテンベルク伯爵。お顔を上げてください」と申し出たら、お父様は不安そうに顔を上げたら、カイン様は少し笑っていたので私は少し顔を赤らめながらカイン様に向かって目つきを鋭くすると、今度はお母様から叱られた。
「もうっ! この子ったらっ! 15歳にもなって!」とお母様にいわれたものの、カイン様は「私は気にしていませんので構いませんよ。それにまだ15歳じゃないですか」と余裕ぶっこいて仰っていた。
そんなやりとりをしていたら、タイミングを見計らったかのようにずっとハインリヒ王子の側にいたレオンハルトが、ハインリヒ王子に話しかけてきた。
「ハインリヒ王子、少し宜しいでしょうか?」
「あぁ、大丈夫だよ。今から話そうとしていることはリリアンナたちにも聞かれても大丈夫なことなのかい?」と問いただすと、レオンハルトはいつもの冷静沈着な態度で「そうですね。むしろ、その方が良いかも知れません。リヒテンベルク伯爵家には少し怖くて不安になるようなことですが、念のために注意喚起した方が良いかと思いまして。あとはカイン様にとっても答え合わせになるかと」と答えた。
レオンハルトは口を開いて「先日、ルイーゼ・ツー・ロザリント公爵令嬢に仕えていた騎士のアロイスが見たという報告がありまして、ルイーゼ嬢が『エルフ族も魔族もあのリリアンナの領地になるなんてっ!!!』と大声でヒステリーを起こして部屋の中にある物を当たり散らして『今のは……見なかったことにして』と、震える声でつぶやきながら、冷たい視線でアロイスを威嚇したようです。しかし、彼女の声にはいつものカリスマ性がなく、弱々しさが滲み出ていたそうです」と報告していた。私のお父様とお母様はその話を聞いて驚き、お母様は冷静を装いながらも「ま、まぁ、今のロザリント公爵令嬢は、元々妾の子という噂もあるらしいですし、彼女らしいのかも知れませんね。リリアンナ、そのルイーゼ嬢にはよりいっそうお気をつけなさい」とレオンハルトの話を聞いて感想を述べ、お父様は「そんな噂もあったのか」と驚いていた。
カイン様は「やはり、そういうことだったろうな」とつい本音を出していた。そして、レオンハルトは追い討ちをかけるように「そういえば、ハインリヒ王子。以前、ルイーゼ嬢がリリアンナ様の元婚約者である、アルブレヒト・フォン・ノイシュタット公爵子息を自分の婚約者にしたにも関わらず『ハインリヒ王子のことが頭から離れられない』といって迫っていましたね」というと、ハインリヒ王子は顔を赤らめつつ声を裏返して「レオンハルト、それは別にいわなくて良かったんじゃないのか?」とお茶を濁していた。
そんな様子を見たカイン様はニヤニヤと口角を上げてレオンハルトの話を聞いたのちに「実はルイーゼ嬢は『権力』がほしいんじゃないんですか」と本質を突いているようなことをいった。そして、カイン様は「もうそろそろお暇にいたしましょうか」と全員帰ろうかと誘うと、ハインリヒ王子は「それもそうだな。本日は一家総出でカイン殿の土地の領地化後の立ち会いに来てくれて感謝する。そして、リリアンナ、またよくやったな。僕もリリアンナに見習わないとな」というと私の顔が熱くなった気がしてハインリヒ王子のまっすぐな言葉に俯いて「恐縮です……」と私は告げた。
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