悪役令嬢の名誉を挽回いたします！

第２３話、領地化の後の日常

　今日の私はベッドの中で昨日のことを振り返っていた。そうか。私、カイン様の土地を領地化できたんだけれど、昨日のレオンハルトからの忠告によるとルイーゼが更に何か私を陥れるんじゃないかと。
　そして昨日、レオンハルトもそうなんだけどハインリヒ王子もなんだか「リリアンナ、ご両親の前で失礼だが、なんだか色気づいてないか？　最近、誰かに恋をしているのか？」と聞いてきてなんだか様子が変だった。その場にいたお父様は驚いた顔をしてどう反応すれば良いのかわからなくてただ黙っていたんだけれど、お母様は「お言葉ですが、ハインリヒ王子。リリアンナも年頃の娘ですし、恋ぐらいしますわよ」と勝手にいっていたけれど、私が特定の誰かにドキドキしているだなんて思いつかなかった。もし私が色気が出ているとすれば、それはカイン様によるセクハラのせいかもしれない。けれど、カイン様にはドキドキするだけで別に人として好きかと聞かれればわからないという感じ。
　あの後、ハインリヒ王子に私はテストがもうすぐあるから家庭教師もつけてもらって成績を保つように頑張っていると伝えたら、ハインリヒ王子は「それも大事なんだけれど、この前のルイーゼ公爵令嬢とアルブレヒト公爵子息のあの公然の前での発表を防げなかったことについて取り返したいから、リリアンナ、ルイーゼのことで王宮に来る頻度を上げてほしいんだ。これは二人だけの秘密じゃないよ。レオンハルトも交えた話にするから」と私に王宮にいつでも遊びに来るように誘ってくれた。あと、ハインリヒ王子は「カイン殿がいった『ルイーゼ公爵令嬢が本当にほしいものが権力』というのが本当かどうか気になるしね」といってたことが反芻してしまって更にベッドの中でモゾモゾとしばらく考えてしまっていた。
　色々と昨日のことを考え込んでいたら私の部屋のドアからノック音が聞こえてきて「リリアンナ様、起きてらっしゃるのでしょうか？」と部屋の外から使用人のヘレーネの声が聞こえてきた。
　「あ、ごめんなさい。ヘレーネ。私は起きているよっ！」とドアに向かって大声で話しかけて私は急いで応接間で朝食を取る準備をし始めた。

　急いで顔を洗って歯も磨いてグリュックシュロス高等学園の制服に着替えて自分の部屋を出て朝食を取るために応接間へ向かったら、お父様とお母様がすでに席についていて、お父様とお母様は「「おはよう、リリアンナ」」と私に挨拶してくれたので、私も「おはようございます。お父様、お母様」と返した。
　お母様は食事中「リリアンナ、ハインリヒ王子と相変わらず仲が良くてよかったですわ。これからも仲良くしてくださいね」と話してくれたけど、なんとなくお母様の女としての打算が見え隠れしているような気がしたけれど、お父様は、そんなお母様に「夫人、リリアンナに余計なことを吹き込むんじゃない」と注意して更に「リヒテンベルク伯爵家として恥ずかしくない振る舞いをして、また適当な婚約者と結婚すれば安泰だからな」とため息を吐きながら私にそう教えてくれた。

　朝食も食べ終わってまた自分の部屋に戻ってまた歯を磨いて、自分の部屋から出て玄関に行ったらお父様とお母様と使用人のヘレーネが立っていたので、私は「行ってきます」といって私は玄関のドアを開けて外へ出て歩いてグリュックシュロス高等学園へと向かった。

　学校に着いて校舎の中に入ると、同じタイミングでたまたま校舎に入ってきた見覚えがある、黄色に近い金髪で二つに髪を言って縦ロールにしている紫の瞳をしている女の子が見えた。それはリラだった。そしてリラが私に話しかけてきた。
　「ルイーゼから聞いたのですが、あなた、とうとう辺境の地にある魔族の土地も領地化したみたいですね。本当にあなたのような伯爵令嬢がそんなことがなぜできるのか、よくわかりませんわ」と睨みつけながら少し強い口調で話しかけてきた。そして、見覚えがあるストロベリーブロンドのウェーブの長髪でお団子をハーフアップにしている緑と青のオッドアイの女の子の姿も見えた。それはフレイヤだった。
　「おはよー、リラ」
「おはよう、フレイヤ」
「リラ、リリアンナと話していたの？」
「違うわよ。ただちょっとリリアンナ伯爵令嬢に忠告していただけよ」とリラは少し憤慨したようにいった。そして、リラはフレイヤに向かって「そういえばフレイヤ、あなた最近、人付き合い悪いじゃないの」と問いただしたら、フレイヤは「あぁ、最近、ハマっていることがあって湖や植物に関することで活動しているんだよね。あの魔族がいる辺境の地がルイーゼじゃなくてリリアンナのになったのは悔しいけれど、あそこで主に活動してるの」と話していたらルイーゼも登校してきて校舎の中に入ってきて、リラとフレイヤと私との会話の中にルイーゼも入ってきた。
　「あら、あなたたち、リリアンナなんかと話していたの？」とルイーゼはまるでグループ内で私を嘲笑っているかバカにしているか悪口を普段からいっているような口ぶりだった。ルイーゼの目の奥は笑っていなかったけれど笑顔で「リリアンナ、魔族の辺境の地の領地化もしたのね。おめでとう。リリアンナは領地を広げて何をしたいのかしら？」と少し挑発するようにいってきたけれど、私は「別にギルドに入って冒険していたらたまたま成り行きにそうなっただけだよ」とまっすぐな目でルイーゼを見つめていった。フレイヤはルイーゼに質問されたことに「そんなことないよ。ただ最近、自分のことがやりたいことに夢中になっちゃっているだけだよ。じゃあ、水と植物を守る慈善活動のクラブに集らなきゃいけないから。じゃあ、またね」と告げてフレイヤは一人で手を振って去っていた。
　リラは「ルイーゼ、最近のフレイヤはなんだか私たちとの付き合いが悪いわ」とルイーゼに不安そうに告げたらルイーゼは「大丈夫よ。フレイヤは自分のやりたいことに夢中にになったとしても、私たちのことは忘れないし、ただちょっと私たちとの付き合いが少なくなるだけでこのグループは解散しないわよ。そうでしょ？　リラ」とルイーゼの目の奥は悔しさと怒りに満ちていたような気がしたけれど、表情は笑顔だった。そしてルイーゼは私に「そういうことだから、リリアンナ」といってリラと去って一緒に教室に入っていった。
　そして私も朝礼が始まる前にお手洗いに向かった。

　お手洗いを出たあと、自分の教室に入っていつも通り朝礼が始まるのを待っていた。待っている間は、クラスメイトのあんまり話さないリラではない眼鏡をかけた男爵令嬢の子から「あら、リリアンナ伯爵令嬢、あなたってば辺境の地と呼ばれている魔族の土地も自分の家の領地にしたそうね。ルイーゼはどうなっているのかしら？」と話しかけられたので、「ギルドに入って冒険していたら成り行きそうなってただけだよ。お父様とお母様には反対されているし、今は家庭教師もついて中々ギルドにいけないけれど」と返事したら、その眼鏡をかけた男爵令嬢のアーデルハイトは「あら、そうだったの。てっきりまたあのルイーゼが負けたのかと思ったわ。なーんだ」といってアーデルハイトは髪をいじり始めた。そして私に「あなたには関係ないけれど、ルイーゼって不思議よね。自分自身はルイーゼは嫌いんだけど、ルイーゼには好かれたいと思わさられる魅力があるわよね」といって彼女は眼鏡をクイッと上げて「それじゃあ」とアーデルハイトは私に別れを告げて彼女は自分の席に座りに行った。
　その後、朝礼が始まりテストの話になり先生たちは中々テストを作るのに悪戦苦闘しているみたいなので、テストが行われる日にちがずれたとのお知らせだった。朝礼も終わり、流れるように午前の授業が始まってそしてハンスさんの個人授業のおかげか授業の内容がわかりやすくなっていた。そしてお昼休みになり、私は昼食を取ろうと食堂に行ったら、ジークフリートが男友達を連れて私に話しかけてきた。
　「リリアンナ嬢、とうとうまた魔族の地を正式に領地化したんだな……」となんだか少しジークフリートは恥ずかしがっているようだった。そんな態度を取られた私もついなんだか照れてしまって「ルイーゼのこともあったから、またハインリヒ王子が仲介に入ったんだけれどね」と返事をしたら、なんだかジークフリートも顔を赤くして「リリアンナ、なんかあのカインに会ってから変わったよな。色気が出てきたみたいな」と彼の頭を掻きながら目を逸らしながら私にそういった。

　お昼休みはジークフリートと一緒に少しだけギルドの話をしていた。一時的に別のギルドのメンバーを二人ほど加えてまたフリーダと一緒に冒険しているみたいなんだけど、そのギルドのメンバーのことを聞くと少なくとも全員グリュックシュロス高等学園の生徒じゃないみたい。あとはジークフリートが私のことが好きなんじゃないかとジークフリートの男友達からからかわれたぐらいかな。そしてお昼ご飯を食べ終わり次第、ジークフリートとも別れて自分のクラスの教室に戻ったら午後の授業が始まっては終わって終礼の時間になって、終礼でのお知らせもテストの日程がずれたことだった。
　今日の学校の授業も終わり、家庭教師になったハンスさんのために私は急いで自宅へ帰った。

　家の中に入ると使用人のヘレーネが「おかえりなさいませ。リリアンナ様」とお辞儀をしてから「家庭教師のハンス様はもう来客しております」と私に報告してくれたので、私は「わかった、ヘレーネ」と返事してそして「あと、ヘレーネ。お父様とお母様に報告しなければならないことがあるの。『テストの日にちがずれた』とお父様とお母様に伝えておいて」と私はヘレーネにお願いをして急いで自分の部屋に向かおうとしたら、ヘレーネは「リリアンナ様、ハンス様はリリアンナのお部屋ではなく応接間で待っていますので、そこまで急がなくても大丈夫ですよ」といわれて私はちょっとペースを落として自分の部屋へと戻った。
　自分の部屋に入った後、ノック音がして部屋の外から「ハンス様がお入りになられます」とヘレーネの声がした。