人間嫌いの公爵様との契約期間が終了したので離婚手続きをしたら夫の執着と溺愛がとんでもないことになりました

荷居人(にいと)

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「リード、昨日話した時だとそこまでバーン伯爵を警戒した様子はなかったよね?」

「まあ、あの時はね……ただあの後、兄上からシャロンにバーン伯爵を近づけない方がいいって言われて」

「王太子殿下が?」

僕には正直バーン伯爵のどこにそこまで警戒するものがあるのかすらわからない。確かに離婚の後婚約ということについて知ってることもそうだけど、知りながら僕たちの前では知らないふりをしたのも謎ではあるけど……。

「ただ悪い予感がするってだけで確証はないから一応ってことらしいんだけど、公爵家ってなると調べるの王家でも大変なんだよね。だから父上に何か隠してないかとりあえず吐かせるって今日張り切ってたよ」

「わあ……」

公爵様との離婚について話してた時からそうだけど、国王陛下って随分息子に弱いんだなと思う。尻に敷かれてるというか。玉座にリード座らせてたしね……。

「とりあえず現時点では何もわからないんだし、遊べる時には遊ばないとね!ちなみにバーン伯爵がシャロンに会ったのも偶然とは思えないし、一応尾行はさせてるから安心して!」

「いつの間に……」

何か遠くからでもわかるサインでもあるのだろうか?この短い間に潜んでる護衛の誰かにそうするよう指示したというのだからさすがというかなんというか……。実際偶然かどうかも確証ないのに、偶然とは思えないと言い切って行動するリードはすごいと思う。

確かに昨日の今日でと思う点はあるけど、思うだけでリードの行動力に勝るほどではない。

それにしても……尾行に安心ってしていいもんなんだろうか?

「さて邪魔も入ったし、発散ついでにたくさん買い物しちゃおっか」

「え」

これを言い出した時、リードはとんでもない量の買い物になる。もしかしなくてもリードがバーン伯爵に冷たかったのは王太子殿下の言葉以上に僕との久々のお出かけを邪魔されたことに腹を立てていたのかも……?

これが偶然だったならバーン伯爵が気の毒で仕方ないけど、それだけリードが僕と出かけることを楽しもうとしてくれたことが嬉しくもある。学生の時と変わらずの友情を大事にしてくれてるのが伝わってくるようで。

きっと買い物の量はとんでもないことになるだろうけど、それでもこの親友との時間は大事な思い出の一日になるだろうことは僕の中で確定だった。今までどんなことがあっても親友とのお出かけが楽しくなかったことなんて一度もなかったから。

「よーし!まずはあそこの店買い尽くそう!」

「店の買い尽くしはさすがにやりすぎだよ!?」

予感通りその日はまるで学生時代の一番楽しかった思い出の頃に戻ったかのような楽しい一日になったのは言うまでもない。
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