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69〜公爵視点〜
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それからはどうにかシャロンに近づきたくとも近づけず見るだけで、できることはシャロンのいじめを裏でやめさせようと動くくらい。近づこうとすると両親のことが浮かんでは消え、どうしても近づけなかった。
信じていた人に裏切られるようなことにまたなるくらいならいっそ夢を見るに留めた今の方がいいのではないか、なんて思いながらもシャロンを眺める日々。だが、眺めている内に第二王子殿下やいじめる者たちが疎ましくなっていった。
何故シャロンはあんなにもいじめに耐え抜いているのに一番近くにいる第二王子殿下が気付いてあげられないのだと。何故何度も止めているのにいじめはなくならないのかと。
自分ならずっと近くで守るのに。いや、自分が関わろうとするせいで終わらないいじめに発展しているのだろうか?そんな想いが試行錯誤して、シャロンのことで頭がいっぱいになるのに時間はかからなかった。
どんなことがあっても側にいてくれるだろう彼がほしい。ただただ自分を出していいと信用できるあの子だけがほしい。
失態ひとつでもすれば私を追い出そうとし、リテールを地下に閉じ込める両親や地下に閉じ込められても私とは必ず会って病気の悪化を理由に後継者としての必要の時間以外私を拘束して全てに干渉しようとする弟を追い出して、シャロンと私だけの空間にできたならどんなに幸せだろうか?
関われないばかりに、シャロンへの理想は膨らんでばかりで、いつしか私はだんだんシャロンの知らないところでシャロンへの執着が止められなくなっていった。
第二王子殿下を自分に置き換えて、影でシャロンを見ては、まだ側にいてくれるという安堵感と共に、早くいじめをなくして側に駆け寄りたいという想いでいっぱいになっては、なくならない嫌がらせ、止めきれないいじめにイライラする日々。
「何故お前たちはそうくだらないことばかりする?」
「ひ……っすみません!もうしません!」
いっそシャロンの敵となるもの全てを殺してしまいたい衝動は、何故こんなにもシャロンに惹かれるのかという疑問すらも吹っ飛ばして、ただただシャロンと自分の仲を引き裂く敵と認識する人物が増えていく。
主犯でもいるのかと思えばそれも突き止められず、いっそ守るためにを理由に近づいてしまおうかなんて思ったものの、自分が近づくことでさらなる不幸が襲いかかってしまったら?という考えが過ってしまえばやはりいじめをなくさない限りは近づいてはいけない神聖な存在にすら思えて、シャロンを描いた絵を部屋に飾っては、シャロンは自分の手の中にあるのだと思い込むことで、自分を少しでも落ち着かせていた。
「シャロンシャロンシャロンシャロンシャロンシャロンシャロン……っ」
一枚、また一枚と色んな表情のシャロンが増えていき、その度にシャロンがかわいくも見えてきて、ついには欲情まで覚えた時、これは友人に対する想いとは違うのだとようやく気付き、その時には部屋一面がシャロンの絵で埋め尽くされていた。
「ああ……汚してはならないのに……もし他の誰かがシャロンに向けてしまったら……?だめだだめだダメだ……っ!」
そうして自分を抑えきれそうになくなってきた頃事件は起こった。
信じていた人に裏切られるようなことにまたなるくらいならいっそ夢を見るに留めた今の方がいいのではないか、なんて思いながらもシャロンを眺める日々。だが、眺めている内に第二王子殿下やいじめる者たちが疎ましくなっていった。
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自分ならずっと近くで守るのに。いや、自分が関わろうとするせいで終わらないいじめに発展しているのだろうか?そんな想いが試行錯誤して、シャロンのことで頭がいっぱいになるのに時間はかからなかった。
どんなことがあっても側にいてくれるだろう彼がほしい。ただただ自分を出していいと信用できるあの子だけがほしい。
失態ひとつでもすれば私を追い出そうとし、リテールを地下に閉じ込める両親や地下に閉じ込められても私とは必ず会って病気の悪化を理由に後継者としての必要の時間以外私を拘束して全てに干渉しようとする弟を追い出して、シャロンと私だけの空間にできたならどんなに幸せだろうか?
関われないばかりに、シャロンへの理想は膨らんでばかりで、いつしか私はだんだんシャロンの知らないところでシャロンへの執着が止められなくなっていった。
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「ああ……汚してはならないのに……もし他の誰かがシャロンに向けてしまったら……?だめだだめだダメだ……っ!」
そうして自分を抑えきれそうになくなってきた頃事件は起こった。
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