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例えば妄想の重さ
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俺が女だったら弘也と既に結ばれていただろうか?そう考えたことが何度かある。それを葉月も察してくれたのだろう。
「なぁ、もし弘人が女だったら付き合ってた?」
唐突にそんなことを言い出した。
「突然なんだ、その質問は」
急な質問に苛立ったように返す弘也。まあ俺としてもどう答えるか気になるが、さすがに俺のいる前で言うもんだろうか?と思えば無理な気がして特に期待はしていない。
「答えてくれたら弘人が今欲しがってるもの教えてあげるぞー?」
「ちょ……葉月、それは!」
「何故、お前が知っている?」
「そりゃ、お前に言ったらすぐ買い与えるからだろ」
「それの何が悪い?」
なんか金蔓みたいで嫌だから言ってなかったのに……。本当弘也は俺に買い与えすぎなんだよ……。気持ちは嬉しいんだけどさ。
「遠慮してんだよ、弘人は」
「そうか、優しいな弘人は。だが、弘人が遠慮する必要はない。私は弘人が喜ぶなら国だって買ってやる」
「く、国はいらない……」
こうなんでとんでもないことをさらりと言っているのにかっこよく見えるのか。イケメン怖い。
「まあ、弘人は頑固だからなぁ。ほしいもの言わないと思うぞ?聞きたくないなら答えなくていいからな。俺と弘人の二人の秘密ってのもあっていいと思うし?」
明らかに強調する部分が挑発めいている。そんな言い方すれば弘也は簡単に話にのるだろう。とはいえ俺も気になってるから聞けるなら聞きたいが。
葉月もわかってて挑発してるんだろうし……。相変わらず弘也を怒らせるのがうまいというかなんというか。
「ふん、弘人が女だった場合付き合ってたか答えるくらいなんともない」
「あ、それ以外にもどう接するつもりだったとか、その後どうするつもりかとかそういうのも含めてくれよ」
要求が増えたことに苛立ちを見せつつも、余程俺のほしいものを知りたいのか、もしくは葉月だけが俺のほしいものを知ることへの嫉妬故か、弘也が語り出した。
「まず、付き合う以前に弘人が女性なら婚約を結んでいる」
「こ、婚約?」
そして口に出されたそれは、付き合うか、付き合わないを通り越してまさかの婚約発言。その言葉に俺は動揺せざるをえない。だって婚約って将来結婚する契約みたいなものだろ?
「その上で高校に入る前にでも結婚をする。海外ならそれが可能だからな」
「けっこん………」
「お、おお……」
あまりのスピーディーな結婚というべきか。もはや、どう言葉を返していいかわからない。なんなら質問した葉月はドン引きだ。
「弘人は男でも可愛い。女となれば尚更危険だ。他に盗られる前にできることはすべきだろう。とはいえ、結婚しても、それでも弘人を狙うろくでもないお前みたいなやつがいてもおかしくはない。何せ弘人ほどの魅力的な存在はいないからな」
「俺、ろくでもないやつ扱いかよ……まあわかってたけど」
「さ、さすがに俺みたいなやつそこまでして狙うやついないと思うけど」
ドン引きながらもろくでなし扱いされた葉月は呆れたようにため息を吐き、俺は俺でさすがにそれはと否定する。たまに弘也の目は節穴じゃと思うのは俺だけだろうか?
これこそ葉月が言っていた恋のフィルター的なあれで俺がそう見えてるとか……?それでも妄想が激しすぎる気がするけど。
「弘人は自分の可愛さを自覚するべきだ」
「いや、それは……」
「寧ろお前が恋の自覚しろよな」
「何か言ったか、ろくでなし」
「なーんも言ってませんけどぉ?」
相変わらずすぐ喧嘩になる二人相手にどうしようもない俺。しかし、今回ばかりは弘也が引いてくれたのか、話の続きをする。
「ふん、まあいい。とにかく弘人を盗られないためにも結婚後は弘人専用の家を購入して四六時中監視をしながら外出も禁じるべきだろう。弘人が他に誑かされないよう私以外の人に会わせないよう徹底もする」
さすがの言い分に俺は何も言えない。それって普通に監禁じゃ?と思う俺は間違っているだろうか?
「さすがにやりすぎだろ……。しかもそれだと家事は弘人にさせるつもりなのか?」
「バカを言うな。弘人に苦労をかけるはずがないだろう。家事も仕事もすべて私がする。弘人はただ私に甘えるだけでいい。ほしいものは買い与え、やりたいことは叶えてやり、ただ弘人はそこにいるだけで十分なのだから」
びっくりするほどに重い……。まさか俺が女になるだけでそこまで待遇が変わるとは。男でよかったような残念なような……。
「さすがにそこまで束縛したら弘人が可哀想じゃねぇか……?」
「弘人を守るためだ。男でも心配なぐらいなんだから女なら当然だろう。正直今でも閉じ込めるべきではないかと考えてはいる」
「さ、さすがに学校あるしな」
「学校をやめても問題はない。弘人の就職先はすでに決まっているからな」
「いや、それは……」
「ああ、働きたくないなら私が養ってもいい」
そこまでいくと俺は将来ただのヒモでしかない。確かに俺一人くらい養うのは弘也にとって簡単だろうけど……。
「結局男でも女でも同じ末路じゃね?というか、もし両思いにでもなったらその方が怖そうだな」
「言うなよ……それでも愛されるならとか思っちゃってんだよ!俺は!」
「お前もある意味すげぇよな」
「何をこそこそしている」
苦笑する葉月に言われて頭を抱える俺。そんな二人でこそこそしていれば、それが気にくわないとばかりに来た弘也。
それによりもしも話は幕を閉じ、後日葉月の暴露により俺のほしかった最新のゲーム機が弘也から届いた。大量のソフトつきで。
こんな予感がしていたからあえて言わなかったというのにやはりプレゼントをしてもらう結果になった俺。それになんとも言えない気持ちになりながらも俺は弘也との将来が心配になるのだった。
もし弘也に恋を自覚する日が来たらあのもしも話以上のことになる予感がして…………。
おわり
あとがき
感想またまたありがとうございます!眠たさうつらうつらに書いたため誤字があったらすみません。
「なぁ、もし弘人が女だったら付き合ってた?」
唐突にそんなことを言い出した。
「突然なんだ、その質問は」
急な質問に苛立ったように返す弘也。まあ俺としてもどう答えるか気になるが、さすがに俺のいる前で言うもんだろうか?と思えば無理な気がして特に期待はしていない。
「答えてくれたら弘人が今欲しがってるもの教えてあげるぞー?」
「ちょ……葉月、それは!」
「何故、お前が知っている?」
「そりゃ、お前に言ったらすぐ買い与えるからだろ」
「それの何が悪い?」
なんか金蔓みたいで嫌だから言ってなかったのに……。本当弘也は俺に買い与えすぎなんだよ……。気持ちは嬉しいんだけどさ。
「遠慮してんだよ、弘人は」
「そうか、優しいな弘人は。だが、弘人が遠慮する必要はない。私は弘人が喜ぶなら国だって買ってやる」
「く、国はいらない……」
こうなんでとんでもないことをさらりと言っているのにかっこよく見えるのか。イケメン怖い。
「まあ、弘人は頑固だからなぁ。ほしいもの言わないと思うぞ?聞きたくないなら答えなくていいからな。俺と弘人の二人の秘密ってのもあっていいと思うし?」
明らかに強調する部分が挑発めいている。そんな言い方すれば弘也は簡単に話にのるだろう。とはいえ俺も気になってるから聞けるなら聞きたいが。
葉月もわかってて挑発してるんだろうし……。相変わらず弘也を怒らせるのがうまいというかなんというか。
「ふん、弘人が女だった場合付き合ってたか答えるくらいなんともない」
「あ、それ以外にもどう接するつもりだったとか、その後どうするつもりかとかそういうのも含めてくれよ」
要求が増えたことに苛立ちを見せつつも、余程俺のほしいものを知りたいのか、もしくは葉月だけが俺のほしいものを知ることへの嫉妬故か、弘也が語り出した。
「まず、付き合う以前に弘人が女性なら婚約を結んでいる」
「こ、婚約?」
そして口に出されたそれは、付き合うか、付き合わないを通り越してまさかの婚約発言。その言葉に俺は動揺せざるをえない。だって婚約って将来結婚する契約みたいなものだろ?
「その上で高校に入る前にでも結婚をする。海外ならそれが可能だからな」
「けっこん………」
「お、おお……」
あまりのスピーディーな結婚というべきか。もはや、どう言葉を返していいかわからない。なんなら質問した葉月はドン引きだ。
「弘人は男でも可愛い。女となれば尚更危険だ。他に盗られる前にできることはすべきだろう。とはいえ、結婚しても、それでも弘人を狙うろくでもないお前みたいなやつがいてもおかしくはない。何せ弘人ほどの魅力的な存在はいないからな」
「俺、ろくでもないやつ扱いかよ……まあわかってたけど」
「さ、さすがに俺みたいなやつそこまでして狙うやついないと思うけど」
ドン引きながらもろくでなし扱いされた葉月は呆れたようにため息を吐き、俺は俺でさすがにそれはと否定する。たまに弘也の目は節穴じゃと思うのは俺だけだろうか?
これこそ葉月が言っていた恋のフィルター的なあれで俺がそう見えてるとか……?それでも妄想が激しすぎる気がするけど。
「弘人は自分の可愛さを自覚するべきだ」
「いや、それは……」
「寧ろお前が恋の自覚しろよな」
「何か言ったか、ろくでなし」
「なーんも言ってませんけどぉ?」
相変わらずすぐ喧嘩になる二人相手にどうしようもない俺。しかし、今回ばかりは弘也が引いてくれたのか、話の続きをする。
「ふん、まあいい。とにかく弘人を盗られないためにも結婚後は弘人専用の家を購入して四六時中監視をしながら外出も禁じるべきだろう。弘人が他に誑かされないよう私以外の人に会わせないよう徹底もする」
さすがの言い分に俺は何も言えない。それって普通に監禁じゃ?と思う俺は間違っているだろうか?
「さすがにやりすぎだろ……。しかもそれだと家事は弘人にさせるつもりなのか?」
「バカを言うな。弘人に苦労をかけるはずがないだろう。家事も仕事もすべて私がする。弘人はただ私に甘えるだけでいい。ほしいものは買い与え、やりたいことは叶えてやり、ただ弘人はそこにいるだけで十分なのだから」
びっくりするほどに重い……。まさか俺が女になるだけでそこまで待遇が変わるとは。男でよかったような残念なような……。
「さすがにそこまで束縛したら弘人が可哀想じゃねぇか……?」
「弘人を守るためだ。男でも心配なぐらいなんだから女なら当然だろう。正直今でも閉じ込めるべきではないかと考えてはいる」
「さ、さすがに学校あるしな」
「学校をやめても問題はない。弘人の就職先はすでに決まっているからな」
「いや、それは……」
「ああ、働きたくないなら私が養ってもいい」
そこまでいくと俺は将来ただのヒモでしかない。確かに俺一人くらい養うのは弘也にとって簡単だろうけど……。
「結局男でも女でも同じ末路じゃね?というか、もし両思いにでもなったらその方が怖そうだな」
「言うなよ……それでも愛されるならとか思っちゃってんだよ!俺は!」
「お前もある意味すげぇよな」
「何をこそこそしている」
苦笑する葉月に言われて頭を抱える俺。そんな二人でこそこそしていれば、それが気にくわないとばかりに来た弘也。
それによりもしも話は幕を閉じ、後日葉月の暴露により俺のほしかった最新のゲーム機が弘也から届いた。大量のソフトつきで。
こんな予感がしていたからあえて言わなかったというのにやはりプレゼントをしてもらう結果になった俺。それになんとも言えない気持ちになりながらも俺は弘也との将来が心配になるのだった。
もし弘也に恋を自覚する日が来たらあのもしも話以上のことになる予感がして…………。
おわり
あとがき
感想またまたありがとうございます!眠たさうつらうつらに書いたため誤字があったらすみません。
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