39 / 65
第39話 追いつ追われつ
しおりを挟む
あれから数か月。
聞いたこともない街に流れ着いたアメリは、住み込みで働きながらなんとか生計を立てていた。
任された仕事は雑貨屋の店番で、たまに来る客の相手をする程度の単純なものだ。平和としか言いようがない毎日が淡々と過ぎていく。
そんな中、ふとしたときにアメリは討伐の旅を思い起こしていた。
あんなにも充実した日々はもう二度と訪れることはない。体力的はきついことも多かったが、未知の冒険は今となってはかけがえのない思い出だ。
ロランと過ごした短い時間を宝物のように抱きしめながら、アメリはこれからも平凡な人生を歩んでいくのだろう。
役立たずな自分にしては贅沢過ぎる思いができたと、すっかり隠居生活モードに入っているアメリだった。
今日も物思いにふけっていると、店のドアベルがチリンと鳴った。
荷物を小脇にかかえた女が入ってくる。
「なぁに、また随分とおっきなため息ね」
「ドナさん……」
ドナはこの店のおかみだ。着の身着のまま出てきてしまったアメリを、ドナ夫婦は快く雇ってくれた。
訳ありのアメリに何を聞くでもなく、そっと見守ってくれている優しい人たちだ。
「店番ありがと。レベッカ、一度休憩に入ってちょうだい」
この街でアメリは亡くなった母親の名を騙って過ごしていた。
誰も自分を探しになど来ないはずだ。
そう思いつつ偽名を使ったのは、やはり追いかけてきてほしいというアメリの本音の現れなのかもしれない。
「休みの日くらい好きに出かけたっていいのよ? 家のこと手伝ってくれるのはわたしも助かるけど」
「いえ、やりたいことも特にないですし」
言いながらカウンターの裏にある子供用の低い丸椅子に腰かける。
客からは見えない場所なので、奥まったここは休憩時のアメリの定位置だった。
ドナもカウンターの中に入ってきて、買い物袋の中身を確認しながら棚にしまっていく。
「あ、ねぇ、隣町の話って聞いた?」
「隣町? いいえ」
「勇者が来たってちょっとした騒ぎになってるみたい」
「ゆ、勇者!?」
「ね、びっくりよね。ほら、隣町って最近魔物の被害がひどかったじゃない? それをあっという間に解決してくれたんだって」
ドナの話にアメリは言葉を失った。
ロランがそばに来ている。会いたいと思う気持ちと、見つかったらどうしようという気持ちが、アメリの中でせめぎ合う。
「たまたま通りがかったらしくって、隣町も運がいいわよね」
「それって、本物……なんですかね?」
「確かにニセ勇者の話も聞くけど、魔物を退治してくれたんだから本物なんじゃない? うらやましいわぁ。ここにも来てくれないかしら」
「でもこの街には魔物がいないし……」
「あはは、それもそうね」
魔物のいない土地に勇者が立ち寄ることはない。そう思ってアメリはわざわざこの場所を選んだのだ。
魔王討伐の旅の途中で、たまたま近くを通っただけなのだろう。だからロランがこの街を通ることはまずあり得ない。
ましてやアメリを追って来たなどと、そんな馬鹿げた期待を抱く自分が恥ずかしくなってくる。
アメリの出した聖剣は折れてしまった。そのせいでロランは大怪我を負ったのだ。こんな役立たずのアメリを、どうしてロランが探しに来るというのか。おこがましいにも程がある。
「そうそう、話は変わるけど、パン屋のひとり息子のジャンがいるじゃない? なんだかレベッカのこと気になってるみたいでさ。今度ふたりで出かけてみない?」
「すみません……お断りします」
「そう言わずにさ、会うだけでも会ってみたら?」
「わたし、そういうのはもういいんです……」
「まぁた、そんな枯れたこと言って。別にジャンにしろとは言わないけどさ、レベッカの年ならいくらでもやり直しできるわよ?」
そう言われても、誰かとの未来にピンとこない。
キスされたり、体に触れられたり。何よりもロラン以外の男にどうこうされる自分の姿など、アメリにはまったく想像ができなかった。
返答に困っていると、ドナが憐みの目を向けてくる。
「レベッカってば、よっぽどひどい目に合ってきたのね……」
「え? そんなことは」
「いいのいいの隠さなくたって。大方、どうしようもない暴力男から逃げ出してきたってトコなんでしょう?」
「彼は……」
そんな人じゃない。
そう反論しようとしたとき、ドアベルの音が客の訪れを知らせてきた。
「いらっしゃい。旦那、ここいらじゃ見ない顔ね」
警戒するようなドナの硬い声に、アメリはカウンターの奥で身を潜めた。
今は休憩中だ。厄介な客なら顔を出さずに様子を見た方がいいだろう。
万が一トラブルになったら迷わずドナを助けようと、アメリはひとまず息を殺して聞き耳を立てた。
「悪いが俺は客じゃない。人を探している」
耳に届いた声にアメリの呼吸が止まった。
聞き間違うはずはない。それは忘れることなどできないロランの声だった。
「人を?」
「ああ、アメリという女性だ」
「アメリ……知らないわね」
「この店に似た人間がいると聞いて来た。この女性だ」
カウンターの上で、紙を広げるような音がする。
一瞬固まったドナが、ちらっと横にいるアメリに視線をよこしてきた。
青ざめた顔で、アメリは小さく首を振る。ロランに向き直ったドナは、大丈夫だと言うように手でサインを送ってくれた。
「ああ……この子なら確かにここにいたわね。でもちょっと前にいきなりいなくなっちゃったわ。随分と目をかけてあげてたのに、こっちもいい迷惑よ」
肩をすくめてドナはフンと鼻を鳴らした。
「出て行ったのはいつ頃のことだ?」
「そうね……一週間くらい前だったかしら?」
「どこへ行ったか見当はつかないのか?」
「さぁ? 女ひとりだし、行くとしたら治安のいい王都方面なんじゃない?」
「王都か……分かった。礼を言う」
静かに言ったロランが、何かをカウンターに置いた。
アメリからは良く見えなかったが、布袋のようだった。
「彼女が迷惑をかけた。詫びに取っておいてくれ」
足音が遠ざかって、ドアベルが鳴らされる。軋んだ音を立てながら、ほどなく扉は閉じていった。
しばらくの静寂のあと、そばでしゃがんだドナがアメリの顔を覗き込んでくる。
口元に手を当てて、アメリは音もなく涙を流していた。
唇が震え、次第に嗚咽が堪えられなくなる。
「ねぇ、レベッカ……あなた、なんかとんでもない男に追われてるみたいね」
ドナが布袋を見せてきた。
中にはずっしりと硬貨が詰まっている。
「彼は何者? とてもじゃないけど堅気には見えなかったわ」
アメリはただ唇を噛みしめた。
ロランが勇者であることを告げると、アメリが聖剣の乙女だったことも話さなくてはならなくなってしまう。
「浮浪者みたいな無精ひげの上、あんなに包帯だらけだなんて……」
「包帯だらけ? 彼は怪我してたんですか?」
ロランのそばには新しく聖剣の乙女に選ばれたベリンダがいるはずだ。
それなのになぜ。訝しげになったアメリに、ドナが困惑の顔を返した。
「腕も首もグルグル巻きだったけど。血もにじんでて、ろくに手当も受けてないように見えたわ。こんなにお金を持ってるくせに、医者にもかからないなんておかしすぎるんじゃない?」
「そんな……ベリンダは一体何をやってるの!」
「ベリンダ?」
「あ、いえ、すみません……」
ドナに言っても何にもならないだろう。
我に返ったアメリはざわつく心を必死になだめた。
「とにかく、厄介事には巻き込まれたくないの。悪いんだけど、これ渡すからできるだけ早く出て行ってくれない?」
とっさにドナがついてくれた嘘の作り話だ。
街の人間に聞けばすぐに嘘がばれて、ロランが戻ってきてしまうかもしれなかった。
「……分かりました」
親切にしてくれたドナたちに、これ以上迷惑をかけることはできない。
アメリは今まで働いた分だけお金を受け取って、残りはドナの元に置いていくことにした。
来たときと同じく荷物もほとんど持たず、アメリは逃げるように街を出た。
「一度村に戻ってみよう」
村まで行けば、ロランとベリンダのことも聞けるかもしれない。
幼馴染のモニカに借りたお金を返す必要もあるし、そっち方面に行けば討伐の旅を続ける一行と鉢合わせすることもないだろう。
辻馬車を乗り継いで、数日後アメリは再び故郷の土を踏みしめていた。
聞いたこともない街に流れ着いたアメリは、住み込みで働きながらなんとか生計を立てていた。
任された仕事は雑貨屋の店番で、たまに来る客の相手をする程度の単純なものだ。平和としか言いようがない毎日が淡々と過ぎていく。
そんな中、ふとしたときにアメリは討伐の旅を思い起こしていた。
あんなにも充実した日々はもう二度と訪れることはない。体力的はきついことも多かったが、未知の冒険は今となってはかけがえのない思い出だ。
ロランと過ごした短い時間を宝物のように抱きしめながら、アメリはこれからも平凡な人生を歩んでいくのだろう。
役立たずな自分にしては贅沢過ぎる思いができたと、すっかり隠居生活モードに入っているアメリだった。
今日も物思いにふけっていると、店のドアベルがチリンと鳴った。
荷物を小脇にかかえた女が入ってくる。
「なぁに、また随分とおっきなため息ね」
「ドナさん……」
ドナはこの店のおかみだ。着の身着のまま出てきてしまったアメリを、ドナ夫婦は快く雇ってくれた。
訳ありのアメリに何を聞くでもなく、そっと見守ってくれている優しい人たちだ。
「店番ありがと。レベッカ、一度休憩に入ってちょうだい」
この街でアメリは亡くなった母親の名を騙って過ごしていた。
誰も自分を探しになど来ないはずだ。
そう思いつつ偽名を使ったのは、やはり追いかけてきてほしいというアメリの本音の現れなのかもしれない。
「休みの日くらい好きに出かけたっていいのよ? 家のこと手伝ってくれるのはわたしも助かるけど」
「いえ、やりたいことも特にないですし」
言いながらカウンターの裏にある子供用の低い丸椅子に腰かける。
客からは見えない場所なので、奥まったここは休憩時のアメリの定位置だった。
ドナもカウンターの中に入ってきて、買い物袋の中身を確認しながら棚にしまっていく。
「あ、ねぇ、隣町の話って聞いた?」
「隣町? いいえ」
「勇者が来たってちょっとした騒ぎになってるみたい」
「ゆ、勇者!?」
「ね、びっくりよね。ほら、隣町って最近魔物の被害がひどかったじゃない? それをあっという間に解決してくれたんだって」
ドナの話にアメリは言葉を失った。
ロランがそばに来ている。会いたいと思う気持ちと、見つかったらどうしようという気持ちが、アメリの中でせめぎ合う。
「たまたま通りがかったらしくって、隣町も運がいいわよね」
「それって、本物……なんですかね?」
「確かにニセ勇者の話も聞くけど、魔物を退治してくれたんだから本物なんじゃない? うらやましいわぁ。ここにも来てくれないかしら」
「でもこの街には魔物がいないし……」
「あはは、それもそうね」
魔物のいない土地に勇者が立ち寄ることはない。そう思ってアメリはわざわざこの場所を選んだのだ。
魔王討伐の旅の途中で、たまたま近くを通っただけなのだろう。だからロランがこの街を通ることはまずあり得ない。
ましてやアメリを追って来たなどと、そんな馬鹿げた期待を抱く自分が恥ずかしくなってくる。
アメリの出した聖剣は折れてしまった。そのせいでロランは大怪我を負ったのだ。こんな役立たずのアメリを、どうしてロランが探しに来るというのか。おこがましいにも程がある。
「そうそう、話は変わるけど、パン屋のひとり息子のジャンがいるじゃない? なんだかレベッカのこと気になってるみたいでさ。今度ふたりで出かけてみない?」
「すみません……お断りします」
「そう言わずにさ、会うだけでも会ってみたら?」
「わたし、そういうのはもういいんです……」
「まぁた、そんな枯れたこと言って。別にジャンにしろとは言わないけどさ、レベッカの年ならいくらでもやり直しできるわよ?」
そう言われても、誰かとの未来にピンとこない。
キスされたり、体に触れられたり。何よりもロラン以外の男にどうこうされる自分の姿など、アメリにはまったく想像ができなかった。
返答に困っていると、ドナが憐みの目を向けてくる。
「レベッカってば、よっぽどひどい目に合ってきたのね……」
「え? そんなことは」
「いいのいいの隠さなくたって。大方、どうしようもない暴力男から逃げ出してきたってトコなんでしょう?」
「彼は……」
そんな人じゃない。
そう反論しようとしたとき、ドアベルの音が客の訪れを知らせてきた。
「いらっしゃい。旦那、ここいらじゃ見ない顔ね」
警戒するようなドナの硬い声に、アメリはカウンターの奥で身を潜めた。
今は休憩中だ。厄介な客なら顔を出さずに様子を見た方がいいだろう。
万が一トラブルになったら迷わずドナを助けようと、アメリはひとまず息を殺して聞き耳を立てた。
「悪いが俺は客じゃない。人を探している」
耳に届いた声にアメリの呼吸が止まった。
聞き間違うはずはない。それは忘れることなどできないロランの声だった。
「人を?」
「ああ、アメリという女性だ」
「アメリ……知らないわね」
「この店に似た人間がいると聞いて来た。この女性だ」
カウンターの上で、紙を広げるような音がする。
一瞬固まったドナが、ちらっと横にいるアメリに視線をよこしてきた。
青ざめた顔で、アメリは小さく首を振る。ロランに向き直ったドナは、大丈夫だと言うように手でサインを送ってくれた。
「ああ……この子なら確かにここにいたわね。でもちょっと前にいきなりいなくなっちゃったわ。随分と目をかけてあげてたのに、こっちもいい迷惑よ」
肩をすくめてドナはフンと鼻を鳴らした。
「出て行ったのはいつ頃のことだ?」
「そうね……一週間くらい前だったかしら?」
「どこへ行ったか見当はつかないのか?」
「さぁ? 女ひとりだし、行くとしたら治安のいい王都方面なんじゃない?」
「王都か……分かった。礼を言う」
静かに言ったロランが、何かをカウンターに置いた。
アメリからは良く見えなかったが、布袋のようだった。
「彼女が迷惑をかけた。詫びに取っておいてくれ」
足音が遠ざかって、ドアベルが鳴らされる。軋んだ音を立てながら、ほどなく扉は閉じていった。
しばらくの静寂のあと、そばでしゃがんだドナがアメリの顔を覗き込んでくる。
口元に手を当てて、アメリは音もなく涙を流していた。
唇が震え、次第に嗚咽が堪えられなくなる。
「ねぇ、レベッカ……あなた、なんかとんでもない男に追われてるみたいね」
ドナが布袋を見せてきた。
中にはずっしりと硬貨が詰まっている。
「彼は何者? とてもじゃないけど堅気には見えなかったわ」
アメリはただ唇を噛みしめた。
ロランが勇者であることを告げると、アメリが聖剣の乙女だったことも話さなくてはならなくなってしまう。
「浮浪者みたいな無精ひげの上、あんなに包帯だらけだなんて……」
「包帯だらけ? 彼は怪我してたんですか?」
ロランのそばには新しく聖剣の乙女に選ばれたベリンダがいるはずだ。
それなのになぜ。訝しげになったアメリに、ドナが困惑の顔を返した。
「腕も首もグルグル巻きだったけど。血もにじんでて、ろくに手当も受けてないように見えたわ。こんなにお金を持ってるくせに、医者にもかからないなんておかしすぎるんじゃない?」
「そんな……ベリンダは一体何をやってるの!」
「ベリンダ?」
「あ、いえ、すみません……」
ドナに言っても何にもならないだろう。
我に返ったアメリはざわつく心を必死になだめた。
「とにかく、厄介事には巻き込まれたくないの。悪いんだけど、これ渡すからできるだけ早く出て行ってくれない?」
とっさにドナがついてくれた嘘の作り話だ。
街の人間に聞けばすぐに嘘がばれて、ロランが戻ってきてしまうかもしれなかった。
「……分かりました」
親切にしてくれたドナたちに、これ以上迷惑をかけることはできない。
アメリは今まで働いた分だけお金を受け取って、残りはドナの元に置いていくことにした。
来たときと同じく荷物もほとんど持たず、アメリは逃げるように街を出た。
「一度村に戻ってみよう」
村まで行けば、ロランとベリンダのことも聞けるかもしれない。
幼馴染のモニカに借りたお金を返す必要もあるし、そっち方面に行けば討伐の旅を続ける一行と鉢合わせすることもないだろう。
辻馬車を乗り継いで、数日後アメリは再び故郷の土を踏みしめていた。
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる