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それから暫く、俺はアーサー様の部屋へ夜に呼ばれることは無かった。俺の役目は不要になったのかと思ったら、寂しいと同時にまた胸がチクリとした自分がいた。だが、気づかないフリをする。
(アーサー様も、俺ばかり相手にしない方が良い)
そうすれば、女性からの手紙にももっと目を通すかもしれない。
自分にそう言い聞かせ、俺は騎士団長として。同じく国を守る、騎士団員たちの育成に勤しむ。今日は天候も良く、日差しも強く暑かった。一通り団員たちと同じ訓練をしていると、汗だくになって防具をつけていなくても服が肌にくっついた。団員たちは血気盛ん。大きな声を出しながら、同じく汗だくで一日訓練に挑んだ。
「ふー……。今日もよく頑張ったな!」
「「「「「はい!! 今日も有難うございました!!」」」」」
一日はあっという間に過ぎていて、空は赤みを帯びた色へと変わりつつあった。腹も減っているし、汗をかいた身体をスッキリさせたい。その前に貼り付いた衣服が邪魔で、無礼講とばかりに礼をしたあと一番に上着を脱いだ。すると、疲れている団員たちがワァアアア! と歓声をあげる。
「ギルベルト様の筋肉すげぇええ!!」
「どうやったら、ギルベルト様のような身体になりますか?」
「その傷は一体何をして負った傷ですか!?」
俺が脱げば、他の団員たちも一斉に上着を脱ぎだした。男同士、別に恥ずかしいとは思わない。身体つきに関しては、同じ訓練をしているんだ。大なり小なり、同じように筋肉はついているだろうに。まして、おっさんの身体など見たくないだろうに、どうしてこんなに嬉しそうなのか。だが、慕われるのは嫌いじゃない。むしろ嬉しい。団員達とのコミュニケーションも大事なことだ。わぁわぁと俺からしたら子供のような団員たちと肩を組んだりしながら、あはは! と笑った。
「お前たちも良い筋肉をしているじゃないか。俺も負けないように訓練をしないとな」
「団長の指導があってこそです!」
「せっかくだ。このまま、皆で風呂に入るか?」
「「「「「はい!!」」」」」
互いの身体に触れ合いながら、鍛えた身体を称え合う。俺の身体一つで、団員たちがやる気を出して訓練に一層力を入れてくれるなら安いものだ。
このまま皆で汗を流しに行くかと、城内の共用風呂へ訓練場を後にして向かって行った。
だが俺は、この時気づかなかった。俺たちの声に、訓練場より高い場所から、俺たちの姿が見られていたことに。
「……私以外に、素肌を見せるなんて」
「アーサー様?」
「ああ、こっちの話だ。騎士団員たちは、毎日訓練に精を出しているんだな」
「ええ。ギルベルト様が毎日熱心に指導して下さっております。こちらから見ても、皆ギルベルト様を慕っていて、とても良い騎士団ですね」
「慕っている……ねぇ。ああ、そうだ。一つ頼まれてくれるかい?」
「はい。何でしょう?」
「ギルベルトが風呂から上がったあとで構わないから、あとで私の部屋に『いつものように』来るようにと」
「かしこまりました」
そんな会話があった事も知らず。風呂から、和気あいあいと出てきて部屋に戻ろうとすれば知った文官殿から「ギルベルト様」と伝言を聞くまで何も知らなかった。
******
更新しました。お気に入りほか有難うございます(^^)
受けの上半身裸のターンとか、ただの癖です。ゆるく読んで頂ければ幸いです
それから暫く、俺はアーサー様の部屋へ夜に呼ばれることは無かった。俺の役目は不要になったのかと思ったら、寂しいと同時にまた胸がチクリとした自分がいた。だが、気づかないフリをする。
(アーサー様も、俺ばかり相手にしない方が良い)
そうすれば、女性からの手紙にももっと目を通すかもしれない。
自分にそう言い聞かせ、俺は騎士団長として。同じく国を守る、騎士団員たちの育成に勤しむ。今日は天候も良く、日差しも強く暑かった。一通り団員たちと同じ訓練をしていると、汗だくになって防具をつけていなくても服が肌にくっついた。団員たちは血気盛ん。大きな声を出しながら、同じく汗だくで一日訓練に挑んだ。
「ふー……。今日もよく頑張ったな!」
「「「「「はい!! 今日も有難うございました!!」」」」」
一日はあっという間に過ぎていて、空は赤みを帯びた色へと変わりつつあった。腹も減っているし、汗をかいた身体をスッキリさせたい。その前に貼り付いた衣服が邪魔で、無礼講とばかりに礼をしたあと一番に上着を脱いだ。すると、疲れている団員たちがワァアアア! と歓声をあげる。
「ギルベルト様の筋肉すげぇええ!!」
「どうやったら、ギルベルト様のような身体になりますか?」
「その傷は一体何をして負った傷ですか!?」
俺が脱げば、他の団員たちも一斉に上着を脱ぎだした。男同士、別に恥ずかしいとは思わない。身体つきに関しては、同じ訓練をしているんだ。大なり小なり、同じように筋肉はついているだろうに。まして、おっさんの身体など見たくないだろうに、どうしてこんなに嬉しそうなのか。だが、慕われるのは嫌いじゃない。むしろ嬉しい。団員達とのコミュニケーションも大事なことだ。わぁわぁと俺からしたら子供のような団員たちと肩を組んだりしながら、あはは! と笑った。
「お前たちも良い筋肉をしているじゃないか。俺も負けないように訓練をしないとな」
「団長の指導があってこそです!」
「せっかくだ。このまま、皆で風呂に入るか?」
「「「「「はい!!」」」」」
互いの身体に触れ合いながら、鍛えた身体を称え合う。俺の身体一つで、団員たちがやる気を出して訓練に一層力を入れてくれるなら安いものだ。
このまま皆で汗を流しに行くかと、城内の共用風呂へ訓練場を後にして向かって行った。
だが俺は、この時気づかなかった。俺たちの声に、訓練場より高い場所から、俺たちの姿が見られていたことに。
「……私以外に、素肌を見せるなんて」
「アーサー様?」
「ああ、こっちの話だ。騎士団員たちは、毎日訓練に精を出しているんだな」
「ええ。ギルベルト様が毎日熱心に指導して下さっております。こちらから見ても、皆ギルベルト様を慕っていて、とても良い騎士団ですね」
「慕っている……ねぇ。ああ、そうだ。一つ頼まれてくれるかい?」
「はい。何でしょう?」
「ギルベルトが風呂から上がったあとで構わないから、あとで私の部屋に『いつものように』来るようにと」
「かしこまりました」
そんな会話があった事も知らず。風呂から、和気あいあいと出てきて部屋に戻ろうとすれば知った文官殿から「ギルベルト様」と伝言を聞くまで何も知らなかった。
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受けの上半身裸のターンとか、ただの癖です。ゆるく読んで頂ければ幸いです
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