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短かったような、長かったような訓練も、とうとう終わりの日を迎えた。
新人の団員達も顔つきも最初の頃と比べると、幾分自信がついたようにも見える。それに騎士団としての団結力も強くなっただろう。今回の訓練も満足の出来に終わったと思いながら、帰り支度をしていた。
団員達も早く帰りたいのだろう。国を出た時のように、皆朝早くからテントから出てきてテキパキと帰り支度に精を出す。
「さぁ、早く帰るぞ! 帰ったら、留守を守ってくれていた者たちも含め、全員で酒盛りだ!」
俺の一言に、わあぁぁぁ……! と声が上がり。俺たちは喜々とした様子で、来た道を辿るように国へと戻った。時間はかかるが、確実に景色が見知ったものへと変わってくる。もうすぐ家に帰れると思えば、足取りも軽い。
「さぁ、もう少しだぞ! 皆、しっかりついて来いよ」
「「「「「はい!」」」」」
長い列は、入り口の門から見えたらしい。大きく手を振るように旗が揺れ。俺たちの目と鼻の先へと入り口が見えて来た。門番たちも手を振って、「お帰り!」と大きな声が聞こえた。門をくぐれば、出発した時よりも多くの人が出迎えてくれた。中には団員たちの家族もいる。
背後で団員の名前が呼ばれたり、「おふくろ!」と返事する声も聞こえる。
(本当に誰もケガすることなく、無事に戻れて良かった)
訓練といえど、何が起こるか分からない。無事に終わって良かったと、安堵に胸を撫で下ろしながら馬を進めれば、レオンが隣に来て「何だ。団長泣いてないのか」と言った。
「レオン」
誰が泣くかと言い返そうとしたが、レオンを呼ぶ黄色い声にかき消されてしまった。
「きゃ~~! レオン様! レオン様~!」
それも一つではなく、多数。確かに、アーサー様とレオンは女性に人気だなと思いつつ離れようとしたが、レオンが俺に合わせて馬の速度を上げた。
「何で離れていくんですか」
「俺はお呼びじゃないだろう?」
きゃ~~! と変わらず聞こえ続ける歓声に、ニコリと笑って手を振るレオン。
「ほら、団長も」
「……」
いくつになっても、こういったことは慣れないがレオンのいう事は正しい。国民に信用されてこそ、俺たちがある。控えめだが、小さく手を振って笑って見せた。(ちゃんと笑えているだろうか)
そうすれば、またレオンが俺の顔を覗き見る。
「団長ってば、照れてますね。か~わいい」
「レオン……!」
俺で遊ぶのはレオンくらいだと思ったが、もう一人いた。アーサー様だ。
『照れているのかい?』
『ギルベルト、可愛いね』
近くにいないのに、耳元でアーサー様に囁かれた時のことを思い出してしまった。隣にはレオンもいて、まだ街中。馬の上に跨りながら、思わずアナルがヒクつくのが分かり顔が引きつってしまった。目ざといレオンが、俺の小さな変化にも気づく。先ほどとは違う、真面目な表情で「団長?」と聞いてくるので馬を早め「何でもない」と誤魔化した。
「団長?」
「何でもない」
(俺の方が、アーサー様を忘れられないのか……?)
「団長! 待って下さいよ」
「俺は報告もあるから、先に城へ行く。レオン、いつものように訓練場に皆を連れて行ってくれ」
「ちぇっ、分かりましたよ」
俺はまるで逃げるように、一歩先を駆け城へと向かった。
「あーあ。またアーサー様に団長取られちまうなぁ」
*******
更新しました。お気に入りほか有難うございます(^^)
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短かったような、長かったような訓練も、とうとう終わりの日を迎えた。
新人の団員達も顔つきも最初の頃と比べると、幾分自信がついたようにも見える。それに騎士団としての団結力も強くなっただろう。今回の訓練も満足の出来に終わったと思いながら、帰り支度をしていた。
団員達も早く帰りたいのだろう。国を出た時のように、皆朝早くからテントから出てきてテキパキと帰り支度に精を出す。
「さぁ、早く帰るぞ! 帰ったら、留守を守ってくれていた者たちも含め、全員で酒盛りだ!」
俺の一言に、わあぁぁぁ……! と声が上がり。俺たちは喜々とした様子で、来た道を辿るように国へと戻った。時間はかかるが、確実に景色が見知ったものへと変わってくる。もうすぐ家に帰れると思えば、足取りも軽い。
「さぁ、もう少しだぞ! 皆、しっかりついて来いよ」
「「「「「はい!」」」」」
長い列は、入り口の門から見えたらしい。大きく手を振るように旗が揺れ。俺たちの目と鼻の先へと入り口が見えて来た。門番たちも手を振って、「お帰り!」と大きな声が聞こえた。門をくぐれば、出発した時よりも多くの人が出迎えてくれた。中には団員たちの家族もいる。
背後で団員の名前が呼ばれたり、「おふくろ!」と返事する声も聞こえる。
(本当に誰もケガすることなく、無事に戻れて良かった)
訓練といえど、何が起こるか分からない。無事に終わって良かったと、安堵に胸を撫で下ろしながら馬を進めれば、レオンが隣に来て「何だ。団長泣いてないのか」と言った。
「レオン」
誰が泣くかと言い返そうとしたが、レオンを呼ぶ黄色い声にかき消されてしまった。
「きゃ~~! レオン様! レオン様~!」
それも一つではなく、多数。確かに、アーサー様とレオンは女性に人気だなと思いつつ離れようとしたが、レオンが俺に合わせて馬の速度を上げた。
「何で離れていくんですか」
「俺はお呼びじゃないだろう?」
きゃ~~! と変わらず聞こえ続ける歓声に、ニコリと笑って手を振るレオン。
「ほら、団長も」
「……」
いくつになっても、こういったことは慣れないがレオンのいう事は正しい。国民に信用されてこそ、俺たちがある。控えめだが、小さく手を振って笑って見せた。(ちゃんと笑えているだろうか)
そうすれば、またレオンが俺の顔を覗き見る。
「団長ってば、照れてますね。か~わいい」
「レオン……!」
俺で遊ぶのはレオンくらいだと思ったが、もう一人いた。アーサー様だ。
『照れているのかい?』
『ギルベルト、可愛いね』
近くにいないのに、耳元でアーサー様に囁かれた時のことを思い出してしまった。隣にはレオンもいて、まだ街中。馬の上に跨りながら、思わずアナルがヒクつくのが分かり顔が引きつってしまった。目ざといレオンが、俺の小さな変化にも気づく。先ほどとは違う、真面目な表情で「団長?」と聞いてくるので馬を早め「何でもない」と誤魔化した。
「団長?」
「何でもない」
(俺の方が、アーサー様を忘れられないのか……?)
「団長! 待って下さいよ」
「俺は報告もあるから、先に城へ行く。レオン、いつものように訓練場に皆を連れて行ってくれ」
「ちぇっ、分かりましたよ」
俺はまるで逃げるように、一歩先を駆け城へと向かった。
「あーあ。またアーサー様に団長取られちまうなぁ」
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