63 / 75
62】
しおりを挟む
62】
「じゃあ、団長。やっぱり止めたと言われる前に、いつ飲みに来ます? 俺、部屋も片付けとくんで!」
「待て、気が早い」
「だって、団長とサシで。しかも俺の家でとか、初めててなんで、そりゃ気も早くなりますって」
「そうか……」
「あれ? 団長、もしかして照れてます?」
「煩い」
そう素直に反応されれば、つい可愛いと思ってしまうのは上司として当然のことなのだ。
「ちょっと! 俺たちの訓練見ながら、二人でイチャつかないで下さいよ~!」
団員が一人。素振りをしながら言えば、あはは! と大きな笑い声が聞こえた。ふぅ……と溜息をつくが、この空気は嫌いじゃない。
「じゃあ、団長。楽しみにしてますね」
「ああ。俺も美味い酒を持って行く」
そんな話をしたのは、つい最近のこと。
レオンがあの後すぐに日程を決め。互いに週末が休みの今日、飲みに行くことになった。俺は変わらずアーサー様から呼ばれることなく、自由に過ごしている。
「いらっしゃるか分からないが、一応伝えておいた方が良いだろうか」
これから飲みに行きので、不在にしますとアーサー様に伝えるのは気が引ける。迷った結果、俺は出る前に文官方のいる窓口へ一言伝え、城を出た。
「こんばんは。今日は、これから部屋を不在にします。レオンの家にいるので、何か急ぎの用があればレオンの所へ来て下さい」
「ギルベルト様。分かりました。レオン様と騎士団員、水入らずですね。お二人ともお忙しいので、たまにはゆっくりされて下さい」
「有難うございます。そういえば、最近アーサー様のご様子はどうですか?」
「アーサー様は、普段とお変わりありません。残念なことに、最近は女性とダンスなどを踊らなくなってしまいましたが……」
「そうなんですね。、おっと、遅れたらレオンが煩そうだ。では、失礼します」
アーサー様が女性とダンスを踊らなくなったと聞いて、これからレオンに会うというのに内心ホッとした俺がいた。それから、もしかして俺のため? と都合よく考えてみたり。
それから城を出て、少し歩く。レオンの家は、城に近い場所にあるので、そう時間はかからない。俺も人のことを言えたものではないが、一人暮らしには十分過ぎるほどの大きな家だ。手土産に酒とつまみを持参して、間もなくレオンの家の前へ。そういえば、騎士団長としての仕事が忙しく、人の家を訪ねたのは、いつぶりだろうかと思えば、妙に緊張してしまった。だが、こうして扉の前に立っているだけも出来ない。
(何を緊張しているんだ、俺は)
そうして俺は深呼吸を一つして、目の前の扉をノックした。
*******
お気に入りほか有難うございます!嬉しいです(^^)
レとどうしようか迷い中です><
「じゃあ、団長。やっぱり止めたと言われる前に、いつ飲みに来ます? 俺、部屋も片付けとくんで!」
「待て、気が早い」
「だって、団長とサシで。しかも俺の家でとか、初めててなんで、そりゃ気も早くなりますって」
「そうか……」
「あれ? 団長、もしかして照れてます?」
「煩い」
そう素直に反応されれば、つい可愛いと思ってしまうのは上司として当然のことなのだ。
「ちょっと! 俺たちの訓練見ながら、二人でイチャつかないで下さいよ~!」
団員が一人。素振りをしながら言えば、あはは! と大きな笑い声が聞こえた。ふぅ……と溜息をつくが、この空気は嫌いじゃない。
「じゃあ、団長。楽しみにしてますね」
「ああ。俺も美味い酒を持って行く」
そんな話をしたのは、つい最近のこと。
レオンがあの後すぐに日程を決め。互いに週末が休みの今日、飲みに行くことになった。俺は変わらずアーサー様から呼ばれることなく、自由に過ごしている。
「いらっしゃるか分からないが、一応伝えておいた方が良いだろうか」
これから飲みに行きので、不在にしますとアーサー様に伝えるのは気が引ける。迷った結果、俺は出る前に文官方のいる窓口へ一言伝え、城を出た。
「こんばんは。今日は、これから部屋を不在にします。レオンの家にいるので、何か急ぎの用があればレオンの所へ来て下さい」
「ギルベルト様。分かりました。レオン様と騎士団員、水入らずですね。お二人ともお忙しいので、たまにはゆっくりされて下さい」
「有難うございます。そういえば、最近アーサー様のご様子はどうですか?」
「アーサー様は、普段とお変わりありません。残念なことに、最近は女性とダンスなどを踊らなくなってしまいましたが……」
「そうなんですね。、おっと、遅れたらレオンが煩そうだ。では、失礼します」
アーサー様が女性とダンスを踊らなくなったと聞いて、これからレオンに会うというのに内心ホッとした俺がいた。それから、もしかして俺のため? と都合よく考えてみたり。
それから城を出て、少し歩く。レオンの家は、城に近い場所にあるので、そう時間はかからない。俺も人のことを言えたものではないが、一人暮らしには十分過ぎるほどの大きな家だ。手土産に酒とつまみを持参して、間もなくレオンの家の前へ。そういえば、騎士団長としての仕事が忙しく、人の家を訪ねたのは、いつぶりだろうかと思えば、妙に緊張してしまった。だが、こうして扉の前に立っているだけも出来ない。
(何を緊張しているんだ、俺は)
そうして俺は深呼吸を一つして、目の前の扉をノックした。
*******
お気に入りほか有難うございます!嬉しいです(^^)
レとどうしようか迷い中です><
29
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる