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24】休みの日に酒場で
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24】休みの日に酒場で
「じゃあね、ギルベルト。ちゃんと約束を守ってね」
「……分かったよ」
良いかい? と俺の部屋を出る前に、念を押すようにアーサーが言う。何をなんて、分かっている。例の提案だ。どれだけアーサーは俺のペニスを心配しているんだと思う。あまり認めたくないが、恥ずかしさから唇を尖らせて分かったとだけ答えた。
「じゃあ、良い休暇を」
ちゅっ、とまた頬にアーサーがキスをして俺の部屋を出て行った。
「今度は挨拶か」
(何だ? あんなにキスばかりして)
アーサーの唇が触れた個所を撫でながら、うーんと俺はどうしたものかと思った。
(子供返りってわけじゃなさそうだが)
こう……王子として軽く見えるのは困るなと思いつつ。俺も今日はゆっくりと休むことにした。
「ちょっとばかり、他の意見も聞いてみることにしよう」
俺から猥談の話をするのは緊張するが、酒場あたりに行けば酔った勢いで皆話してくれるんじゃないか? そうだ。酒場に言って世間話でも聞いてみようと俺も部屋を出たのは間もなくのこと。
*****
***
「いらっしゃい……ってギルベルト騎士団長様じゃないですか!」
カランと扉を開けると、店主が俺の姿を見て大きな声をあげる。ギルベルトと聞けば、中にいたお客さんも一斉にこちらを見たので少し困った。
「俺に気にせず、皆楽しく飲んでくれ」
そう言って、カウンターの一番奥へと座る。
「ギルベルト様、今日はお休みですか?」
「ああ、そうなんだ。酒場で世間話でもと思ってな」
「嬉しいなぁ! じゃあ、この酒をどうぞ!ご馳走致します」
「良いのか? じゃあ、お言葉に甘えて」
ウインク付きで店主がサービスしてくれた。無下に断るのも悪いと、遠慮せず頂くことにする。木製のコップの端から酒が垂れ、急いで口をつけた。
「昼から飲む酒も美味いな」
「そうでしょう、そうでしょう」
俺の飲みっぷりに嬉しそうな店主が、注文に呼ばれ席を離れる。その隙を伺うように、見知った顔が俺の隣の席に座った。
「だ~んちょ」
「ミカ。お前も休みだったのか」
「はい。いやぁ~、休みの日に団長と飲めるなんて嬉しいなぁ」
騎士団の中でも、俺が信頼を寄せている団員の一人であるミカエルだ。皆愛称のミカと呼んでいる。明るく気さくな雰囲気ではあるが、力の強さなら同世代団員の中では一番強い。その顔は赤く、既に出来上がっている様子。
「ミカ。もう出来上がってるじゃないか」
「いやぁ~。皆がご馳走してくれるもので。あ! 団長には俺からご馳走しますね!」
「大丈夫だ。俺は泥酔するために来たわけじゃないからな」
俺の目的は、わ……猥談で他の人が自慰をどうしているかとかの話だからな。ちょうどミカ相手なら良いかもしれない。俺より2つ年下で騎士団員は職業柄、口は固い。
「え~~、飲みましょうよ。今なら俺が団長を独り占め出来るっていうのに」
「そうだな。ほら、世間話をしよう」
「世間話ですか? どんな話を?」
「わ……猥談とか?」
質問に質問で返してしまったが、慣れていなんだから仕方がない。周囲には聞こえないように、声量を小さくして答えたが、ミカには聞こえたらしい。
「いいんですか!?」
と逆に驚いた様子のミカに、静かにしてくれと言った。
*******
お気に入り有難うございます
「じゃあね、ギルベルト。ちゃんと約束を守ってね」
「……分かったよ」
良いかい? と俺の部屋を出る前に、念を押すようにアーサーが言う。何をなんて、分かっている。例の提案だ。どれだけアーサーは俺のペニスを心配しているんだと思う。あまり認めたくないが、恥ずかしさから唇を尖らせて分かったとだけ答えた。
「じゃあ、良い休暇を」
ちゅっ、とまた頬にアーサーがキスをして俺の部屋を出て行った。
「今度は挨拶か」
(何だ? あんなにキスばかりして)
アーサーの唇が触れた個所を撫でながら、うーんと俺はどうしたものかと思った。
(子供返りってわけじゃなさそうだが)
こう……王子として軽く見えるのは困るなと思いつつ。俺も今日はゆっくりと休むことにした。
「ちょっとばかり、他の意見も聞いてみることにしよう」
俺から猥談の話をするのは緊張するが、酒場あたりに行けば酔った勢いで皆話してくれるんじゃないか? そうだ。酒場に言って世間話でも聞いてみようと俺も部屋を出たのは間もなくのこと。
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「いらっしゃい……ってギルベルト騎士団長様じゃないですか!」
カランと扉を開けると、店主が俺の姿を見て大きな声をあげる。ギルベルトと聞けば、中にいたお客さんも一斉にこちらを見たので少し困った。
「俺に気にせず、皆楽しく飲んでくれ」
そう言って、カウンターの一番奥へと座る。
「ギルベルト様、今日はお休みですか?」
「ああ、そうなんだ。酒場で世間話でもと思ってな」
「嬉しいなぁ! じゃあ、この酒をどうぞ!ご馳走致します」
「良いのか? じゃあ、お言葉に甘えて」
ウインク付きで店主がサービスしてくれた。無下に断るのも悪いと、遠慮せず頂くことにする。木製のコップの端から酒が垂れ、急いで口をつけた。
「昼から飲む酒も美味いな」
「そうでしょう、そうでしょう」
俺の飲みっぷりに嬉しそうな店主が、注文に呼ばれ席を離れる。その隙を伺うように、見知った顔が俺の隣の席に座った。
「だ~んちょ」
「ミカ。お前も休みだったのか」
「はい。いやぁ~、休みの日に団長と飲めるなんて嬉しいなぁ」
騎士団の中でも、俺が信頼を寄せている団員の一人であるミカエルだ。皆愛称のミカと呼んでいる。明るく気さくな雰囲気ではあるが、力の強さなら同世代団員の中では一番強い。その顔は赤く、既に出来上がっている様子。
「ミカ。もう出来上がってるじゃないか」
「いやぁ~。皆がご馳走してくれるもので。あ! 団長には俺からご馳走しますね!」
「大丈夫だ。俺は泥酔するために来たわけじゃないからな」
俺の目的は、わ……猥談で他の人が自慰をどうしているかとかの話だからな。ちょうどミカ相手なら良いかもしれない。俺より2つ年下で騎士団員は職業柄、口は固い。
「え~~、飲みましょうよ。今なら俺が団長を独り占め出来るっていうのに」
「そうだな。ほら、世間話をしよう」
「世間話ですか? どんな話を?」
「わ……猥談とか?」
質問に質問で返してしまったが、慣れていなんだから仕方がない。周囲には聞こえないように、声量を小さくして答えたが、ミカには聞こえたらしい。
「いいんですか!?」
と逆に驚いた様子のミカに、静かにしてくれと言った。
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