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第二章 彼からみた彼女の話※
その4
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俺の覚えた彼女の好いところを攻め立てると、彼女の中がうねって喜びを伝える。お互いに快楽を分け合って、幸せが循環した。うわ言みたいに繰り返し名前を呼ばれて、その喜びも全て快楽に変換されて、少しずつ、高みに昇る。
「あ、あ、もう……、もうっ!」
彼女の中が大きく蠢いて、俺のものを扱き上げた。
「くっ……!」
膨れ上がった欲望が、放出される。腰の動きが自分の中の欲を全て吐き出して、ようやく止まった。
しばし訪れる放心の時間。
そして、
「へへっ」
照れたような笑い声が聞こえて、ぎゅっと抱きしめられた。肩に彼女のおでこがあたって、こすられる。そんな彼女を抱きしめ返して、こめかみに口付ける。
普段はどちらかというとキリッとした印象の彼女が、こうして甘えてくるのがたまらない。愛おしさが増して、また体のラインをなぞりたくなる。けれど動いた拍子に自分のモノが抜ける気配がしたので、後始末のためベッドを離れる。
戻ると彼女が布団に包まっていた。
白い掛け布団の海の中、安心しきった表情で微睡む彼女がいる。
不意にまた、あんずジャム付きパンに似た白猫のことを思い出した。そっと布団に滑り込み、彼女のうなじに鼻を付ける。
「甘えてる」
くすくす笑って彼女が俺を抱きしめる。
「そっちだって」
言い返して頬を撫ぜると、彼女の顔をじっと見つめた。視線を感じた彼女がそっと目を開き、見つめ返す。
「どうしたの?」
「……いや、ちょっと反省タイムっていうか」
「反省?」
「なんか俺、ねちっこくないか? と思って。振り返るとどうもしつこく舐め過ぎている様な気がする」
「はぁ」
なんと返していいのか分からない表情で、彼女が相槌を打つ。確かに突然反省タイムに入られたら、戸惑うだろう。
ただ、なんだかこのタイミングで確認したかった。
多分俺、これからもずっと彼女を見れば、あんずジャム付きパンを連想するし、うなじの匂いを嗅ぎたくなるし、舐めて堪能したくなる。
自分が思うよりももっと真剣に、彼女のことを見つめていたらしい。
最初は戸惑うばかりの表情だった彼女の瞳が揺れ、そのうち何故か顔が赤くなってきた。
「……えーっとね、私にとっての初めての出会いって、あの夕立よりももっと前の、朝の通勤の時だったの」
「俺と?」
「うん。雨が一瞬だけぱらっと降って、それ見てキャンディ舐めはじめた姿を見て、ああ、いいなぁって」
言いながら、彼女の顔がさらに赤くなり、視線が下に落ちてゆく。
「で、ずっとその姿が忘れられなくて、……そのうち、私もあのキャンディみたいに、舐められたいなって……」
「え?」
声がどんどん小さくなっていくから、つい反射的に聞き返してしまった。けれどしっかり聞こえている。
「だから、」
そこで彼女は顔を上げると、俺を見つめてふにゃっと笑った。
「需要と供給?」
どうしよう。俺の彼女がたまらなく可愛い。
ぎゅっと抱きしめると、俺は耳もとで囁いた。
「では遠慮なく、いただきます」
そして俺はまた、彼女を堪能したのだった。
「あ、あ、もう……、もうっ!」
彼女の中が大きく蠢いて、俺のものを扱き上げた。
「くっ……!」
膨れ上がった欲望が、放出される。腰の動きが自分の中の欲を全て吐き出して、ようやく止まった。
しばし訪れる放心の時間。
そして、
「へへっ」
照れたような笑い声が聞こえて、ぎゅっと抱きしめられた。肩に彼女のおでこがあたって、こすられる。そんな彼女を抱きしめ返して、こめかみに口付ける。
普段はどちらかというとキリッとした印象の彼女が、こうして甘えてくるのがたまらない。愛おしさが増して、また体のラインをなぞりたくなる。けれど動いた拍子に自分のモノが抜ける気配がしたので、後始末のためベッドを離れる。
戻ると彼女が布団に包まっていた。
白い掛け布団の海の中、安心しきった表情で微睡む彼女がいる。
不意にまた、あんずジャム付きパンに似た白猫のことを思い出した。そっと布団に滑り込み、彼女のうなじに鼻を付ける。
「甘えてる」
くすくす笑って彼女が俺を抱きしめる。
「そっちだって」
言い返して頬を撫ぜると、彼女の顔をじっと見つめた。視線を感じた彼女がそっと目を開き、見つめ返す。
「どうしたの?」
「……いや、ちょっと反省タイムっていうか」
「反省?」
「なんか俺、ねちっこくないか? と思って。振り返るとどうもしつこく舐め過ぎている様な気がする」
「はぁ」
なんと返していいのか分からない表情で、彼女が相槌を打つ。確かに突然反省タイムに入られたら、戸惑うだろう。
ただ、なんだかこのタイミングで確認したかった。
多分俺、これからもずっと彼女を見れば、あんずジャム付きパンを連想するし、うなじの匂いを嗅ぎたくなるし、舐めて堪能したくなる。
自分が思うよりももっと真剣に、彼女のことを見つめていたらしい。
最初は戸惑うばかりの表情だった彼女の瞳が揺れ、そのうち何故か顔が赤くなってきた。
「……えーっとね、私にとっての初めての出会いって、あの夕立よりももっと前の、朝の通勤の時だったの」
「俺と?」
「うん。雨が一瞬だけぱらっと降って、それ見てキャンディ舐めはじめた姿を見て、ああ、いいなぁって」
言いながら、彼女の顔がさらに赤くなり、視線が下に落ちてゆく。
「で、ずっとその姿が忘れられなくて、……そのうち、私もあのキャンディみたいに、舐められたいなって……」
「え?」
声がどんどん小さくなっていくから、つい反射的に聞き返してしまった。けれどしっかり聞こえている。
「だから、」
そこで彼女は顔を上げると、俺を見つめてふにゃっと笑った。
「需要と供給?」
どうしよう。俺の彼女がたまらなく可愛い。
ぎゅっと抱きしめると、俺は耳もとで囁いた。
「では遠慮なく、いただきます」
そして俺はまた、彼女を堪能したのだった。
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