中年sランク冒険者の俺が次世代の育成をしてたら、異世界召喚勇者軍団が俺を魔王と勘違いして攻めてきた。

二章 後輩冒険者

戦闘において絶対的に必要なこと

まぁミロはクリスティーナを敬愛してるんだって事がわかった。
他にもアリスがクリスティーナ特製人形で家の掃除が楽になったとか、レイナの時間停止のクールタイムが2秒にまで縮まったとか、ウィザがやってきて、みんなの魔力操作と自然から魔力を取り込む技術を学んだとか、色々話してくれた。

ミロが話疲れてそのまま寝てしまった。
テントの中を見るとさっきまで錬金術の本を読んでいたアミルとフーロがいなかった。
きっと外で何か試しているのだろう。
ほっといていてもいいのだが、気になるのでみに行くことにした。

外ではアミルとフーロが実戦形式で訓練をしている。

アミルが水弾を飛ばしている。その水弾はこないだまでとは違う。
その水弾は黒く色が付いておりの中には雷弾が入っている。水弾はフーロにたどり着く頃には水の分解を終えた雷弾が水弾の膜を破って電撃を放つ。
これはさっきの神龍のやった、炎の燃え広がりをあげて、目や肺など内部や表面の弱いところを同時に攻撃できる割と便利な技だ。
アミルの工夫しているところは魔弾の弱点でもある、弾に衝撃が加わるとたまに応じた魔法を発動する仕組みを逆手に取った。一個起動して他を連鎖的に処理されるのを水弾で覆うことである程度カバーしているところだ。
その上水弾に色をつけることで弾が割られた時に広がる水が相手の視界を塞ぐことができる。
ちなみにあの神龍が使った電気の流れやすい水でなくてもものすごい圧の電撃なら普通の水にも流すことができる。

一方フーロはその弾を避けながらサイコロを振りどんどん素早さをあげていき、定期的に剣と剣を擦りつけ火花を出して、一気に燃え広がるのを抑えている。

そんな攻防を5分ほどして訓練が終わった。



正直俺は2人の成長スピードに驚いている。確かに俺を怪我させて落ち込んでいたフーロにもっとたくさんのことを知らなくてはいけないと本を渡したし、それには先ほどの神龍がやった現象も書いてあったりするのだが、あの攻撃や対処法は2人独自のものだ。
この短時間でほぼ完成まで持っていったのは驚愕である。

ちなみに俺がこの現象を知って対処法を考えた時、結局全身を水で覆うか、火が魔力由来のものだったら無視するしか、考えつかなかった。
フーロはもともとサイコロの召喚に魔力のほとんどを割いているので魔法を別に行使するのはあまり得策ではない。

しかしこれなら素早い動きができるものなら誰でも対処が可能だ。
俺は火を避けるほどの速さないので、魔法で火をつけていけばいいかなとか考えている。

戦闘において知識は絶対に必要だ、スキルは魔法で同じことをするより10倍近く性能に差が出る。
だから対峙した相手のスキルを出来るだけ早く割出さなければならない。

彼女達には知識が少し足りなかったが、それを補えるほどの即興性と閃きを俺は感じた。

まぁ俺はそんなものないから、知識で固めたのでその才能が羨ましいだけかもしれないな。

それから2人に訓練の感想を聞かれ、俺は思ったままに褒めて、2人と共にテントに戻った。