あとから正ヒロインが現れるタイプのヒーローが夫だけど、今は私を溺愛してるから本当に心変わりするわけがない。

柴田

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8話

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 フィーナの身体に布団をかけ、ディートリヒはベッドの端に座る。

「……どうしたものか」

 ガウンを押し上げる己の隆起した股間を見下ろし、ディートリヒは項垂れた。もうここまでなってしまったら、欲を吐き出さないと落ち着かないだろう。
 しかし疲れて眠ってしまったフィーナを起こすのは忍びない。

 ディートリヒはガウンの紐を解き寛げた。
 しばらく使っていなかったというのに、驚くほど元気な陰茎にため息をつきたくなる。
 ディートリヒがじっくりとフィーナの膣を解していたのには理由があった。自身の陰茎が、並外れて大きいと自覚しているからだ。フィーナの華奢な身体に入るとは思えないほど。

 布団からはみ出ているフィーナの手に目を向け、起こさないよう気をつけてそっと握り、指を絡める。小さな手の温もりを感じているだけでも、陰茎はより昂った。

「……ッ、……」

 繋いでいないほうの手で、陰茎を握る。血管の浮いた太いそれは握っただけで跳ね、鈴口から先走りを溢れさせた。
 ディートリヒは目を瞑り、無心で上下に擦る。

(そういえばこっちの手……フィーナのあそこを触っていたほうだな)

 手にフィーナの愛液がついたままだということを思い出す。無意識にもそれを陰茎に塗りつけてしまったことに気がついた瞬間、ディートリヒはたまらなく興奮した。愛液により滑りが良く、自分の手とは思えないほど気持ちがいい。

「はぁ、……っ、く」

 フィーナを愛撫している間中、ずっと我慢していた欲望はすぐに弾けてしまいそうだった。
 根元から先端までをゆっくり撫でるようにさすったり、亀頭のあたりを素早く扱く。荒くなる息を歯を食い縛ることで耐えた。フィーナの手を強く握りしめてしまわないよう必死だった。

「フィーナ……っ、……は、……」

 迫る射精感にディートリヒは喉を反らす。手は尚も忙しく上下を繰り返しており、子種がたっぷり詰まった睾丸はきゅっと上がっていた。汗と先走りが床にぽたぽたと落ちる。

(もう少しで……イきそうだ)

 手の中で硬度を増した存在を感じながら、擦る速度を上げようとした。そのとき、太腿にそっと置かれた柔らかな手の感触に、ディートリヒは飛び上がりそうなほど驚いた。

「……ディートリヒ様……?」
「フィ、フィーナ……!?」

 まさかフィーナがそんなにすぐに目を覚ますとは思っておらず、ディートリヒの声は驚きのあまり半ば裏返っていた。
 射精を逃した陰茎が震えているのにもかまわず慌てて手を離し、ガウンの前を閉じる。

「すまない……変なところを、その、見せてしまって……」

 ディートリヒの言葉に、フィーナは首まで赤く染め上げた。
 恥じらうように目線を逸らす彼女に、「やはり引かれたか?」とディートリヒはショックを受ける。
 しかしいつの間にか身を起こしたフィーナが、ディートリヒの膝の上に乗り上げてきた。

「……フィーナ? 今そこに乗られるのは、非常に都合が悪いのだが」

 しかもフィーナは裸だ。膝の上に乗ることによって、ディートリヒの目線の高さがちょうど彼女の胸のあたりになってしまい、目のやり場に困る。
 フィーナは真っ赤な顔をしていたが、覚悟を決めた表情にも見えた。
 フィーナはディートリヒの肩に手を置くと膝立ちになり、ガウンの下に隠された陰茎に秘所をぐっと押しつけた。

「うっ……、フィーナ、そこは」
「ディートリヒ様、先ほどは気を失ってしまって申し訳ございません。……あの、続きをしていただけませんか?」

 フィーナは初夜を失敗させたくないという気持ちよりも、ディートリヒに一人で処理をさせてしまったことが情けなくてしかたなかった。
 ディートリヒに失望されたくなくて、フィーナの目にじわじわと涙が溜まっていく。

「抱いてください、ディートリヒ様」
「……フィーナ。私の前では、そんなに一生懸命頑張らなくていいんだよ」

 こぼれてしまいそうな涙を指先ですくい取り、ディートリヒは彼女の頬に口づける。
 フィーナを抱きたい気持ちは強いけれど、それよりも彼女には無理をしてほしくなかった。何事にも全力で頑張りすぎるフィーナのことを、ディートリヒだけは甘やかしていたいのだ。

 そんなディートリヒの気持ちを知ってか知らずか、フィーナは首を横に振る。そして再び秘所をディートリヒの陰茎にすりつけ、熱のこもった息を吐いた。

「違うんです……ただ、……ただわたくしが、ディートリヒ様が欲しいんです」
「――――ッ!」

 頭を胸に抱き寄せられ、耳元でそんなふうに言われても大人の余裕を保っていられるほど、ディートリヒは我慢強い男ではなかった。
 そもそも愛する女性に欲しいと言われて、冷静でいられる男など存在しないだろう。
 ディートリヒはフィーナの身体を抱き上げると、興奮のあまりやや乱暴にベッドに押し倒してしまった。

 ふーふーと獣のように息を吐き獲物を前に舌をなめずるディートリヒを、フィーナはドキドキしながら見上げる。
 羽織っていたガウンをディートリヒが脱ぎ捨てると、その下に隠されていたたくましい肉体が露になった。
 皇帝というよりも騎士に相応しいほどの筋肉の隆起に目を奪われ、それからその中心でそそり勃つ陰茎に、フィーナは我が目を疑った。

「お、大きい……」
「そなたが可愛らしく誘惑するせいで、こうなったのだ」

 先ほどはディートリヒの大きな手で握られていたから、そんなに大きく見えなかったのだと気づく。
 好奇心を刺激され、フィーナはおそるおそる手を伸ばし、手のひらの上に乗せるように陰茎に触れた。ずっしりと重たい存在感とその熱さに、フィーナの息が上がっていく。
 とろ、と膣の奥から蜜が溢れた。

 ディートリヒはフィーナの両脚を開かせ、その間に入り込み腰を寄せる。陰茎の先端が秘所に触れ、くちゅ、と湿った音をたてた。

(熱い……ディートリヒ様、怖いお顔をなさってる。それに、すごい汗だわ。……わたくしのせい?)

 ゆっくりと、時間をかけて陰茎が埋められていく。その間ディートリヒはずっと歯を食い縛り、眉をきつく寄せ顔を顰めていた。落ちてくる汗がフィーナの肌を滑っていく。

 太い陰茎に膣口を押し広げられる瞬間はみちみちと裂けそうに思えたのに、一番太いところが入ってしまうと、その圧迫感が心地よく感じられた。
 ディートリヒと繋がっているという事実だけでも、フィーナは涙が出そうなくらい胸がいっぱいになる。

 張り出した笠が、浅いところを往復する。太さを馴染ませるためにそうしているとわかるのに、フィーナにはものすごい快感だった。

「あぁっ、あ……! イ、って、しまいます……、ディートリヒ様ぁ!」
「フィーナ……っ、痛くは、ないか?」
「あ、あっ、……ッあ!」

 ずり、とまた浅いところを擦られ、フィーナはとうとう達してしまった。

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