純愛カタルシス💞純愛クライシス

相沢蒼依

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番外編

上條良平インタビューwith文藝冬秋6

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👨「その動画を見たとき、どう思ったかしら?」

「そ、それは……。なんていうか、ショックだったという感じ、でした」

👨「ふーん、ショックだったのね。だけど上條さんは、春菜さんを元奥さんに近づけさせないために、結婚しているわけでしょ? ショックを受けるって、おかしくない? 春菜さんを愛していたわけではないのに」

「春菜を愛して…愛してないのにどうして俺はあのとき、ショックを受けたんだ」

👨「だったらこの機会に、自分の気持ちを見つめ直してみたら?」

「自分の気持ち?」

👨「そう。春菜さんが自分以外を想いながら耽っていた動画を見て、大きなショックを受けた。そのショックが憤怒に変わって、激情のままにドメスティック・バイオレンスにつながったことに、間違いないわよね?」

「ああ……」

👨「そのショックを受けた感情や、怒りの中に含まれる感情を含めて、上條さんの中にあるものを表しているのよぉ」

「アンタの言ってることが、さっぱりわからない。なんのことを言ってるんだ?」

👨「う~ん。自分の顔を、鏡でしか見ることができない感じ、みたいな?だって人の心は、形がないものでしょ。見ることは不可能なの。でもね、自分と相対する人間が、うまいことそれを感じとることができちゃうの」

「…………」

👨「上條さんが相対する人間、つまり春菜さんがシャバに戻って、目の前に現れたときの感情が、答えになるわ。それまでじっくり時間があるし、反省しながら考えるのも、いいんじゃなくて?」

「生きていくのもやっとだっていうのに、また反省をしなきゃならないのか。もう誰も傷つける気はないし、まっとうに生活するつもりだ」

👨「どこかの企業さん、上條さん本人が仰っていますので、どうかかわいそうな彼を雇ってあげてください。彼の言葉が本当かどうか、職場紹介しながら取材をする予定です。なにとぞよろしくお願いいたします!」 

「なんのつもりだ?」

👨「ここからはオフレコ。この記事をどこかの企業のお偉いさんの目に留まったら、もしかすると就職できるかもしれなくてよ?」

「なにを考えていやがる……」

👨「ウチの雑誌、春菜関連の記事を載せたら、もれなく完売するのよ。だけど無情にも、ネタは尽きていくわ。そこで!」

「今度は俺をエサにして、読者を釣り上げるってわけか。クソだな」

👨「win-winの関係と言ってちょうだい。上條さんは掲載される度に原稿料が入る上に、就職も決まっちゃうかもしれないのよ。企業は自動的に宣伝することになるんだから、一石三鳥! あ、ウチの雑誌が売れたら一石四鳥ね!」

「バカらしい……」

👨「私ね、バツがふたつもついてんの」

「へぇ」

👨「私の浮気相手は仕事。忙しいことを理由にして、まったく家庭をかえりみなかった。子どももいたのにね。酷い夫なのよ」

「悪いことがわかっているのに、同じ失敗を繰り返したのかよ」

👨「二回目でやっと気づけた感じだわ。私は不器用な人間だって。だからある意味、上條さんが羨ましい。家庭と仕事と愛人を掛け持ちできるんですもの」

「褒められてる気になれない」

👨「うふふ、そんな器用なアナタだから、心をしっかりあらためることができたとき、きっと幸せを手にすることができると思うわ」

「どうだかな……」

👨「それを今後も確認させてほしいの。いいわよね?」

 それを上條良平が了承したのかどうか、雑誌を読めばわかります。
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