【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
186 / 307

第185話 リセマラと友

しおりを挟む
 「おー……流石に腰が痛いな」

 セムネイルは1人で4次元の扉を潜り、竜の洞窟2階層へと来ていた。

 昨晩あれから家に戻ったセムネイルは、肉食獣人ライ達の淫気にあてられ何時もより激しく妻達を抱いた。 家に入ると同時に分裂し、その場で妻達を朝まで犯したのだ。

 今頃、妻達は全員自室で幸せそうに眠っている事だろう。

 「さて、どのみち今日は1階層で地竜王のリセマラだからな。 丁度いいだろ」

 セムネイルは階段を下りる前に、2階層を魔力探知で確認するのを忘れない。

 昨日と同じミスをする訳にはいかないのだ。

 「2階層は翼竜か。 ボスも……風属性の魔力だけだな。 全く、本当に昨日の地竜王は何だったんだ?」

 階段を下りながらセムネイルは想像を巡らせる。

 「まさか、あの魔王達……俺を狙ったのか? もしくは、妻達か……。 もしそうなら……次は絶対に逃さずに殺してやる」 

 もし、例の魔王達がセムネイルが来るのを見越し罠を張っていたのであれば大成功だろう。

 昨日、地竜王に閉じ込められた時点でセリス達が居なければ死なないまでも永遠に閉じ込められていたかもしれないのだ。

 己の不甲斐無さにセムネイルは拳を握り締める。

 「まだ全盛期の半分も力を取り戻していないとはいえ……情けない。 俺もまだまだ……だな」

 そして、1階層に到着したセムネイルは目の前で鎮座する地竜王の魔力を確認し駆け寄る。

 「さて、じゃあ手足を引きちぎり俺が満足するまで付き合ってもらおうか!」

 「ガギャ? ガギャァァァァ?!」

 リスポーンしたばかりの地竜王は何故後ろから獲物が来るのかと首を傾げ、セムネイルから発される全力の殺気に泣き叫ぶのであった。

 ◆◇◆

 「うし、こんなもんか?」

 リセマラを開始してから数時間、1階層で入手できる宝が無くなったのか出現する宝箱には古い金貨や銀貨しか入らなくなった。

 手足を回復魔法で塞がれ、心臓を強制的に蘇生され続けた地竜王の目は虚ろになり痛みも感じなくなったのか小さく呻くばかりだ。

 「盾に直剣、大剣、弓、槍、大槌にコレは……刀か。 他にも大量だな。 よっと! お疲れ」

 セムネイルはその都度回収した宝の内容を確認しながら地竜王を楽にする。

 「ガギャ……ァ……ァァ」

 地竜王が惨たらしくリセマラに使われている間、当然ながら80体もの地竜達はセムネイルの侵入に気付き目前へと迫った。

 しかし、目の前で自分達のボスが生き地獄を味わっているのを見て本能で危機を察知したのか現在も遠巻きに此方の様子を伺っている。

 隙あらば襲う気なのか、それとも本能よりも食欲が勝つのかセムネイルの殺気を浴びても地竜達は逃げなかった。

 いや、仮に逃げたとしても結果は変わらないだろう。

 セムネイルは1本の刀を取り出し握る。

 「確か、こんな構えだっけか? いや、喚んだ方が早いな」

 セムネイルは懐かしさを胸に、友の名を喚んだ。

 「俺と契約せし刀馬鹿! 久し振りにお前の神剣流派の太刀筋を見せてみろ! 神剣流奥義、神斬り!」

 セムネイルの後ろに長い黒髪を後ろで結び、はだけた布の服から鍛え上げられた筋肉を出した半透明の男が現れ嬉しそうに笑みを浮かべる。

 セムネイルが神速で刀を振り下ろしたその瞬間、遠巻きに見ていた地竜達の首が全て落ちた。

 悲鳴を上げる暇もなく、80体の地竜達は何故己の首が落ちたのか理解する暇もなく絶命する。

 「うぉぉぉ?! 腕がぁ! くそ、やっぱりお前の技は負担が大き過ぎるぞリュウマ! いってぇぇぇぇ!」

 セムネイルがのたうち回る様子を見て、リュウマも笑い転げる。

 今のセムネイルを見たら、妻達は普段とは違う様子に微笑む事だろう。

 「おい、リュウマ! お前、剣神になったんだろ? どんな気分だ? 神剣流派の始祖にして最初に神を殺した人間なのに、になった気分は」

 ニヤニヤと笑うセムネイルに、半透明のリュウマは中指を立てる。 どうやら、思い通りの結果では無いのだろう。

 「お前が一番神を嫌ってたからな。 神剣流派の免許皆伝者から聞いた時は内心爆笑だったぞ」

 セムネイルの発言にリュウマは怒りながらも、何かを訴える。 しかし、契約魔法で現れる霊体は幻の様な物だ。

 本人が直ぐ近くに入れば別だが、基本的に会話は不可能である。 相手が生きているのか死んでいるのか不明ならば、喚ばれる契約者は殆どが幻だ。

 リュウマは人間だった。

 本当に神にでもなっていなければ、既に大昔に死んでいる存在なのだ。

 セムネイルは内心で、目の前のリュウマが本物では無い可能性が高い事も分かっていた。 それでも、友は友なのだ。

 「ん? 何だ?? あ、なるほどな。 その免許皆伝者に会わせろって言いたいのか?」

 セムネイルが何とか読み取ると、リュウマは正解だと頷いた。

 「まぁ……お前には世話になったしな。 良いぞ」

 リュウマは半透明の姿で大喜びし、役目を終えて消え始めた。

 「あ、リュウマ! その……何だ。 もう数千年も前の話だが……あの日、すまなかった。 分からんが、お前の事だ。 俺が封印された後、国の女達を逃がす為に戦ってくれたんだろ? 本当に……ありがとう」

 セムネイルはリュウマの事を良く知っていた。 

 どんな男かも。

 リュウマは照れながら鼻の下を指で擦り、気にするなと言うように手を払いながら消えた。

 「……ちゃんとソルバに会わせないとな。 よし、地竜達を回収して帰るか」

 セムネイルは地竜の死骸を回収し、4次元へと戻るのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...