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第271話 歓喜のモーンデと食卓で戸惑うアン
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セムネイル達は宿場町を山賊から救った御礼として、鍵付きの部屋を無料で借り其処から4次元へと帰って来た。
「帰った。 特にトラブルは無いか?」
「セムネイル様、奥様方もお帰りなさいませ。 リーダーからも、プレーリーさんからもトラブルの報告は見張り番には届いてません。 問題無いかと」
「そうか、ありがとう」
見張り小屋に立っていた、ジェイソンの仲間に声を掛けそのまま自宅の方へと向かう。
すると、鬼人族の女神モーンデが世話係のミリムを引き連れて走って来た。
「セムネイルちゃーん!」 「モーンデ様、お待ちくださーい!」
モーンデのたわわに実った2つの女神が走る事で大暴れしているが、妻達が後ろにいる手前セムネイルは必死に見ないように返事をする。
「お、おぉモーンデ。 どうしたんだ、そんなに走って」
「ふ~……疲れちゃった~」
「走るからですよ、モーンデ様。 セムネイル様、お久しぶりです」
「久し振りだな、ミリム。 最近、疲れ気味だとオルガから聞いている。 無理だけはするなよ? もし、身体に異常があるなら直ぐに言ってくれ」
ミリムはセムネイルに顔を覗かれ、疲れ気味の理由を思い出して一気に赤面した。
「ひゃ……ひゃい」
「あらら~♪ ミリムちゃんはね、実は毎日セムネ「モーンデ様?!」
何かを口走ろうとするモーンデの口をミリムは手で塞ぎ、必死に首を横に振る。
その光景に何も知らないセムネイルやリンとノラは首を傾げるが、事情を知っているセリスは微笑みグラは気恥ずかしそうに笑った。
モーンデはジェスチャーで、もう言わないからとミリムに伝え始める。
「本当ですね?! 本当に不必要な事は言いませんね!? もし、約束破ったらオヤツ抜きですからね!」
「む~~?! むん、むん!」
オヤツ抜きと云う言葉に目を見開いたモーンデは、真面目な顔で頷きミリムはようやく手を離した。
「あ~……何やら色々あるみたいだが、結局なんの用なんだ?」
「ふふふ~、ごめんなさいね。 実は、セムネイルちゃんや奥さんに御礼が言いたくて探してたの~。 ケイティちゃんのおかげで、コレからも美味しい竜がず~~~っと食べれるって聞いたのよ~♪ さっきもキュイジーヌちゃんが焼いてくれた地竜のステーキ食べてきたの。 嬉しいわぁ~、本当にありがとう~♡」
「むが?!」
モーンデはセムネイルの手をとり、そのまま胸元に引き寄せ抱きしめた。
「セムネイル様?! モーンデ様、ダメです! めっ!」
「だって~、嬉しかったんだもーん♡」
激しいモーンデのスキンシップに、セムネイルのセムネイルがバキバキになるが何とか引き離した。
「モ、モーンデが嬉しいなら良かった。 ケイティにも伝えよう。 俺達はまだこれから夕飯だから……またな」
「うふふ~♡ セムネイルちゃんが、私に興味無い訳じゃない事が知れたから今日は此処までにしておくわね~。 あ、ドウェルちゃんの所に行かなきゃ。 またね~」
「し、失礼しますセムネイル様、奥様方! モーンデ様ーー!? オヤツ抜きですからねー!!」
「えぇぇぇぇ?! 酷いわミリムちゃん!」
モーンデはミリムに叱られながらドワーフ工房へと向かい、セムネイル達は今度こそ家へと帰るのであった。
「やれやれ、えらく忙しい2人だな。 よっ、ただいま帰ったぞ~!」
「ふふ、ミリムさんは本当にお世話係なのですね。 でも、此処に来た当初を思い出すと……今は幸せそうです」
玄関を開け、セムネイルとセリスは先に入った。 だが、ノラとリンはまだ何かを遠くで言い合っている2人を見つめながら呟く。
「なぁ、リン。 女神って、なんか……子供みたいだな。 俺でも悪さしたらオヤツ抜きは我慢できるぞ?」
「獣人の女神様とエルフの女神様はあんな感じでは無いと……信じたいですね。 でも、眷属たる亜人と距離が近く仲良しな事を考えると……悪くないのでしょうか?」
「はいはい、ノラちゃんもリンちゃんも家に入るよ~」
「「は~い! ただいま帰ったぞー!」ただいま帰りました~」
◆◇◆
「うむ、美味い!」
セムネイルは妻達と食卓を囲み、テーブルの上に所狭しと置かれた料理に舌鼓を打っていた。
「これ美味しい」 「にゃぁぁ?! ソルテ、それはフェルテが狙ってたのにゃぁー!」 「ふふ、凄いの。 全部美味しいのー!」
いつもと違うのは、セムネイルが助けた3人の少女達とカリンとコリンに説得されたシスターアンも共に夕飯を食べている事だ。
「お、美味しい! す、すみません……その、本当に私なんかがご一緒して良いのでしょうか?」
「ん? あぁ、3人が左右に座って美味そうに食ってるんだ。 別に良いだろ。 それより、カリンコリン。 聞くまでも無いが……説得は成功したんだな?」
「「勿論です、我等が神にして愛しい旦那様」」
ソルテ達の側にはカリンとコリンも座り、食事の手伝いをしながらセムネイルに返答する。
「流石だな。 なら、尚更問題無いだろ。 しっかり食って、しっかり寝ろ」
「あ、ありがとうございます……こ、こんなに美味しい料理初めて食べました……ぐす」
4次元世界と一家の主であるセムネイルに許されたアンは、安堵と温かい食事に涙を流した。
「俺の妻達が作る料理は最高だろ? まぁ、外にあるキュイジーヌのレストランも最高だがな。 明日から、そっちで食うことになると思うが……オススメは地竜のステーキだな」
「……竜のステーキ?」
常識外の発言に、アンは自分を慰める為の冗談だと思い笑顔を見せた。
「ふふ、セムネイル様はご冗談が上手いのですね。 ありがとうございます」
「ん? いや、今食ってるシチューにも入ってるぞ? 竜の肉」
「??」
アンは首を傾げながら、周囲に座るローズ達を見回し全員が事実だと頷くのを見て驚愕した。
「竜?! あの、上級の魔物!? 竜のお肉!? 確かにめちゃくちゃ美味し……あ、ダメです」
そして、あまりの衝撃にアンは気絶するのであった。
「アン、寝た」 「にゃぁ、食って直ぐ寝るのはダメにゃ」 「ふふ、美味しくて幸せなの~」
「帰った。 特にトラブルは無いか?」
「セムネイル様、奥様方もお帰りなさいませ。 リーダーからも、プレーリーさんからもトラブルの報告は見張り番には届いてません。 問題無いかと」
「そうか、ありがとう」
見張り小屋に立っていた、ジェイソンの仲間に声を掛けそのまま自宅の方へと向かう。
すると、鬼人族の女神モーンデが世話係のミリムを引き連れて走って来た。
「セムネイルちゃーん!」 「モーンデ様、お待ちくださーい!」
モーンデのたわわに実った2つの女神が走る事で大暴れしているが、妻達が後ろにいる手前セムネイルは必死に見ないように返事をする。
「お、おぉモーンデ。 どうしたんだ、そんなに走って」
「ふ~……疲れちゃった~」
「走るからですよ、モーンデ様。 セムネイル様、お久しぶりです」
「久し振りだな、ミリム。 最近、疲れ気味だとオルガから聞いている。 無理だけはするなよ? もし、身体に異常があるなら直ぐに言ってくれ」
ミリムはセムネイルに顔を覗かれ、疲れ気味の理由を思い出して一気に赤面した。
「ひゃ……ひゃい」
「あらら~♪ ミリムちゃんはね、実は毎日セムネ「モーンデ様?!」
何かを口走ろうとするモーンデの口をミリムは手で塞ぎ、必死に首を横に振る。
その光景に何も知らないセムネイルやリンとノラは首を傾げるが、事情を知っているセリスは微笑みグラは気恥ずかしそうに笑った。
モーンデはジェスチャーで、もう言わないからとミリムに伝え始める。
「本当ですね?! 本当に不必要な事は言いませんね!? もし、約束破ったらオヤツ抜きですからね!」
「む~~?! むん、むん!」
オヤツ抜きと云う言葉に目を見開いたモーンデは、真面目な顔で頷きミリムはようやく手を離した。
「あ~……何やら色々あるみたいだが、結局なんの用なんだ?」
「ふふふ~、ごめんなさいね。 実は、セムネイルちゃんや奥さんに御礼が言いたくて探してたの~。 ケイティちゃんのおかげで、コレからも美味しい竜がず~~~っと食べれるって聞いたのよ~♪ さっきもキュイジーヌちゃんが焼いてくれた地竜のステーキ食べてきたの。 嬉しいわぁ~、本当にありがとう~♡」
「むが?!」
モーンデはセムネイルの手をとり、そのまま胸元に引き寄せ抱きしめた。
「セムネイル様?! モーンデ様、ダメです! めっ!」
「だって~、嬉しかったんだもーん♡」
激しいモーンデのスキンシップに、セムネイルのセムネイルがバキバキになるが何とか引き離した。
「モ、モーンデが嬉しいなら良かった。 ケイティにも伝えよう。 俺達はまだこれから夕飯だから……またな」
「うふふ~♡ セムネイルちゃんが、私に興味無い訳じゃない事が知れたから今日は此処までにしておくわね~。 あ、ドウェルちゃんの所に行かなきゃ。 またね~」
「し、失礼しますセムネイル様、奥様方! モーンデ様ーー!? オヤツ抜きですからねー!!」
「えぇぇぇぇ?! 酷いわミリムちゃん!」
モーンデはミリムに叱られながらドワーフ工房へと向かい、セムネイル達は今度こそ家へと帰るのであった。
「やれやれ、えらく忙しい2人だな。 よっ、ただいま帰ったぞ~!」
「ふふ、ミリムさんは本当にお世話係なのですね。 でも、此処に来た当初を思い出すと……今は幸せそうです」
玄関を開け、セムネイルとセリスは先に入った。 だが、ノラとリンはまだ何かを遠くで言い合っている2人を見つめながら呟く。
「なぁ、リン。 女神って、なんか……子供みたいだな。 俺でも悪さしたらオヤツ抜きは我慢できるぞ?」
「獣人の女神様とエルフの女神様はあんな感じでは無いと……信じたいですね。 でも、眷属たる亜人と距離が近く仲良しな事を考えると……悪くないのでしょうか?」
「はいはい、ノラちゃんもリンちゃんも家に入るよ~」
「「は~い! ただいま帰ったぞー!」ただいま帰りました~」
◆◇◆
「うむ、美味い!」
セムネイルは妻達と食卓を囲み、テーブルの上に所狭しと置かれた料理に舌鼓を打っていた。
「これ美味しい」 「にゃぁぁ?! ソルテ、それはフェルテが狙ってたのにゃぁー!」 「ふふ、凄いの。 全部美味しいのー!」
いつもと違うのは、セムネイルが助けた3人の少女達とカリンとコリンに説得されたシスターアンも共に夕飯を食べている事だ。
「お、美味しい! す、すみません……その、本当に私なんかがご一緒して良いのでしょうか?」
「ん? あぁ、3人が左右に座って美味そうに食ってるんだ。 別に良いだろ。 それより、カリンコリン。 聞くまでも無いが……説得は成功したんだな?」
「「勿論です、我等が神にして愛しい旦那様」」
ソルテ達の側にはカリンとコリンも座り、食事の手伝いをしながらセムネイルに返答する。
「流石だな。 なら、尚更問題無いだろ。 しっかり食って、しっかり寝ろ」
「あ、ありがとうございます……こ、こんなに美味しい料理初めて食べました……ぐす」
4次元世界と一家の主であるセムネイルに許されたアンは、安堵と温かい食事に涙を流した。
「俺の妻達が作る料理は最高だろ? まぁ、外にあるキュイジーヌのレストランも最高だがな。 明日から、そっちで食うことになると思うが……オススメは地竜のステーキだな」
「……竜のステーキ?」
常識外の発言に、アンは自分を慰める為の冗談だと思い笑顔を見せた。
「ふふ、セムネイル様はご冗談が上手いのですね。 ありがとうございます」
「ん? いや、今食ってるシチューにも入ってるぞ? 竜の肉」
「??」
アンは首を傾げながら、周囲に座るローズ達を見回し全員が事実だと頷くのを見て驚愕した。
「竜?! あの、上級の魔物!? 竜のお肉!? 確かにめちゃくちゃ美味し……あ、ダメです」
そして、あまりの衝撃にアンは気絶するのであった。
「アン、寝た」 「にゃぁ、食って直ぐ寝るのはダメにゃ」 「ふふ、美味しくて幸せなの~」
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