【R-18】自称極悪非道な魔王様による冒険物語 ~俺様は好きにヤるだけだ~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
277 / 307

第271話 歓喜のモーンデと食卓で戸惑うアン

しおりを挟む
 セムネイル達は宿場町を山賊から救った御礼として、鍵付きの部屋を無料で借り其処から4次元へと帰って来た。

 「帰った。 特にトラブルは無いか?」

 「セムネイル様、奥様方もお帰りなさいませ。 リーダーからも、プレーリーさんからもトラブルの報告は見張り番には届いてません。 問題無いかと」

 「そうか、ありがとう」

 見張り小屋に立っていた、ジェイソンの仲間に声を掛けそのまま自宅の方へと向かう。

 すると、鬼人族の女神モーンデが世話係のミリムを引き連れて走って来た。

 「セムネイルちゃーん!」 「モーンデ様、お待ちくださーい!」

 モーンデのたわわに実った2つの女神が走る事で大暴れしているが、妻達が後ろにいる手前セムネイルは必死に見ないように返事をする。

 「お、おぉモーンデ。 どうしたんだ、そんなに走って」 

 「ふ~……疲れちゃった~」

 「走るからですよ、モーンデ様。 セムネイル様、お久しぶりです」

 「久し振りだな、ミリム。 最近、疲れ気味だとオルガから聞いている。 無理だけはするなよ? もし、身体に異常があるなら直ぐに言ってくれ」

 ミリムはセムネイルに顔を覗かれ、疲れ気味の理由を思い出して一気に赤面した。

 「ひゃ……ひゃい」

 「あらら~♪ ミリムちゃんはね、実は毎日セムネ「モーンデ様?!」

 何かを口走ろうとするモーンデの口をミリムは手で塞ぎ、必死に首を横に振る。

 その光景に何も知らないセムネイルやリンとノラは首を傾げるが、事情を知っているセリスは微笑みグラは気恥ずかしそうに笑った。

 モーンデはジェスチャーで、もう言わないからとミリムに伝え始める。

 「本当ですね?! 本当に不必要な事は言いませんね!? もし、約束破ったらオヤツ抜きですからね!」

 「む~~?! むん、むん!」

 オヤツ抜きと云う言葉に目を見開いたモーンデは、真面目な顔で頷きミリムはようやく手を離した。

 「あ~……何やら色々あるみたいだが、結局なんの用なんだ?」 

 「ふふふ~、ごめんなさいね。 実は、セムネイルちゃんや奥さんに御礼が言いたくて探してたの~。 ケイティちゃんのおかげで、コレからも美味しい竜がず~~~っと食べれるって聞いたのよ~♪ さっきもキュイジーヌちゃんが焼いてくれた地竜のステーキ食べてきたの。 嬉しいわぁ~、本当にありがとう~♡」

 「むが?!」
 
 モーンデはセムネイルの手をとり、そのまま胸元に引き寄せ抱きしめた。

 「セムネイル様?! モーンデ様、ダメです! めっ!」

 「だって~、嬉しかったんだもーん♡」

 激しいモーンデのスキンシップに、セムネイルのセムネイルがバキバキになるが何とか引き離した。

 「モ、モーンデが嬉しいなら良かった。 ケイティにも伝えよう。 俺達はまだこれから夕飯だから……またな」

 「うふふ~♡ セムネイルちゃんが、私に興味無い訳じゃない事が知れたから今日は此処までにしておくわね~。 あ、ドウェルちゃんの所に行かなきゃ。 またね~」

 「し、失礼しますセムネイル様、奥様方! モーンデ様ーー!? オヤツ抜きですからねー!!」

 「えぇぇぇぇ?! 酷いわミリムちゃん!」

 モーンデはミリムに叱られながらドワーフ工房へと向かい、セムネイル達は今度こそ家へと帰るのであった。

 「やれやれ、えらく忙しい2人だな。 よっ、ただいま帰ったぞ~!」

 「ふふ、ミリムさんは本当にお世話係なのですね。 でも、此処に来た当初を思い出すと……今は幸せそうです」

 玄関を開け、セムネイルとセリスは先に入った。 だが、ノラとリンはまだ何かを遠くで言い合っている2人を見つめながら呟く。

 「なぁ、リン。 女神って、なんか……子供みたいだな。 俺でも悪さしたらオヤツ抜きは我慢できるぞ?」

 「獣人の女神様とエルフの女神様はあんな感じでは無いと……信じたいですね。 でも、眷属たる亜人と距離が近く仲良しな事を考えると……悪くないのでしょうか?」

 「はいはい、ノラちゃんもリンちゃんも家に入るよ~」

 「「は~い! ただいま帰ったぞー!」ただいま帰りました~」

 ◆◇◆

 「うむ、美味い!」

 セムネイルは妻達と食卓を囲み、テーブルの上に所狭しと置かれた料理に舌鼓を打っていた。

 「これ美味しい」 「にゃぁぁ?! ソルテ、それはフェルテが狙ってたのにゃぁー!」 「ふふ、凄いの。 全部美味しいのー!」

 いつもと違うのは、セムネイルが助けた3人の少女達とカリンとコリンに説得されたシスターアンも共に夕飯を食べている事だ。

 「お、美味しい! す、すみません……その、本当に私なんかがご一緒して良いのでしょうか?」

 「ん? あぁ、3人が左右に座って美味そうに食ってるんだ。 別に良いだろ。 それより、カリンコリン。 聞くまでも無いが……説得は成功したんだな?」

 「「勿論です、我等が神にして愛しい旦那様」」

 ソルテ達の側にはカリンとコリンも座り、食事の手伝いをしながらセムネイルに返答する。

 「流石だな。 なら、尚更問題無いだろ。 しっかり食って、しっかり寝ろ」

 「あ、ありがとうございます……こ、こんなに美味しい料理初めて食べました……ぐす」 

 4次元世界と一家の主であるセムネイルに許されたアンは、安堵と温かい食事に涙を流した。

 「俺の妻達が作る料理は最高だろ? まぁ、外にあるキュイジーヌのレストランも最高だがな。 明日から、そっちで食うことになると思うが……オススメは地竜のステーキだな」

 「……竜のステーキ?」

 常識外の発言に、アンは自分を慰める為の冗談だと思い笑顔を見せた。

 「ふふ、セムネイル様はご冗談が上手いのですね。 ありがとうございます」

 「ん? いや、今食ってるシチューにも入ってるぞ? 竜の肉」

 「??」

 アンは首を傾げながら、周囲に座るローズ達を見回し全員が事実だと頷くのを見て驚愕した。

 「竜?! あの、上級の魔物!? 竜のお肉!? 確かにめちゃくちゃ美味し……あ、ダメです」

 そして、あまりの衝撃にアンは気絶するのであった。 

 「アン、寝た」 「にゃぁ、食って直ぐ寝るのはダメにゃ」 「ふふ、美味しくて幸せなの~」 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...