白薔薇の紋章

サクラ

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第一章 血を受け継ぐ者

第4話

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つりあがった目に赤みがかった少しかたそうな髪。
瞳の色も少し赤い。
顔はいわゆるイケメンと言われる部類なんだろうけど
目つきが悪すぎる。
さっきからずっと私のことを睨んでいる。

背も高いし、なんだか鬼みたいだ。


「そういえばお前この辺じゃ見ない顔だな」

「は、はい…今日ここに引っ越してきたので」


「じゃあ、お前が一之瀬珠姫か?」


「そうですけど、なんで私の名前を知っているんですか!?」

なんで初対面の人が私の名前を知っているの?
もしかしてこの人が私の親戚?
えぇ、どうしよう、嫌だな


「何おどおどしてんだよ」

「いえ、別に…」

「もしかして、オレがお前の名前知ってるから驚いた?」

この人は心を読む能力でも持ってるの?
いや、私が顔に出やすいだけかな。

「安心しろ、オレの名前は龍王戒りゅうおう かい。17歳。理事長に言われてお前を迎えに来たんだよ。龍王って変な名前だろ?戒って呼んでいいから」

「理事長?」

「おまえがこれから通う学校だよ。白薔薇学園」


白薔薇楽園
確かに私の転校先だけど…
なんでそこの理事長が私のことを迎えに行けなんて言うんだろう。




「詳しい説明はおまえの家に行ってから説明する。ほら、貸せよ」


そう言って私の荷物を持って歩き出してしまった。
助けてもらったし、白薔薇学園の関係者ということはわかったけど。
でも、見ず知らずの人に道案内をさせて
しかも荷物もちなんてしてもらうわけにはいかない。



「いいですよ!荷物は自分で持ちます!そんなに重たくないんだし!」


「いいから、素直に甘えておけよ、かわいくないな。色気もないし」

「はぁ?」



何この人!一言余分に言わないと気がすまないわけ?
色気がない?かわいくない?
そりゃそうかも知れないけど、今日会ったばかりの人に言われたくない!


「女だったらもう少しフリフリ~でレースな感じのやつ着て来いよ、なんでジーンズにスニーカー?」


「悪かったですね…」



私はその人に向かってジャンプしながら蹴りを一つお見舞いした
不意打ちを食らった戒さんは
体制を崩してその場に倒れる。
いい気味だ!

「こういう格好は動きやすくていいでしょ?」

わざとニコッと笑ってやった。
悔しそうな顔がちょっとたまらない!
してやったりだ!





「おまえな…」




昔からよく言われた。
珠姫は考えるより手が出るほうが先だ少し考えてから行動しろって。

だけど、初対面の人にこうも馬鹿にされると
蹴りの一発もお見舞いしてやりたくなるというかなんというか…



「本当にかわいくねーな!」


「それはそれはありがとうございます!」



そうして私たちは
家に着くまでの30分
こんな調子で歩いていった。
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