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第二章 仲間
第2話
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「あ~うまかった!お前色気はねーけど飯はうまいな!」
「余計なことを言わずにはいられない性格なんですか?」
やれやれと思って時計を見ると
時間はすでに8時になっていた。
ここから学校までは30分もかかるのに!
「もう!戒さんがアホみたいにご飯を食べるからこんな時間じゃないですか!」
「うるせぇ!腹が減ってたんだから仕方ねーだろ!」
この人の辞書にはごめんなさいという文字はないわけ?
むかつく!一発殴ってやりたいけど
そんな時間はない
あわてて家を飛び出してなんとか遅刻は免れた
だけど
戒さんと一緒に登校してしまったがために
クラスのみんなから「戒さんとどういう関係!!」と
集中攻撃にあってしまった。
うう!全部あの男のせいだ!
転校初日くらい、ちゃんとしたかったのに!
☆
「はぁ、戒さんのせいで本当に大変だった」
戒さんとどういう関係?という質問から逃れるように
私は屋上へとやってきた。
四階建ての校舎の屋上は山の向こうまで見渡せる。
こんなにいい風景なのに、他に生徒の姿が見えないのがびっくり
みんなここ知らないのかな。
そういえば、私まだ担任の先生に会っていないな。
なんだっけ、都合があって遅れてくるって言ってたっけ?
それ、教師としてどうなんだろう。
フェンスに寄りかかって空を見上げると
屋上の踊り場から人の影とタバコの香りがした。
「やべっ。見つかった」
私に気づいたその男の人は上半身だけを起こして私を見る。
眠たそうな目に癖のある髪。
白いシャツに臙脂のネクタイ
生徒じゃないよね?先生?
「お前、もしかして一之瀬か?」
「はい、そうです…」
なんで私の名前を知ってるの?
初めて会った人だよね?
「ごめんごめん、俺はお前を知っていてもお前は俺を知らないよな。俺はお前の担任の鳳 翼だ。よろしく」
「じゃあ、今朝用事があるといってHRに出てこなかったのは先生ですか?」
「用事って言うか、眠たくて遅刻したというか…まあそんなところ」
教師としての自覚なさすぎ!
こんな人が担任で私のクラスは大丈夫なわけ?
「あ、でも、私の名前よく分かりましたね?初めて会ったはずなのに」
「一応担任だからな、もらった資料には目を通している。それに…」
そこまで言って鳳先生は立ち上がって
踊り場から下りてきた
目の前に立ってびっくり
すごく背が高い、戒さんよりも大きいんじゃないかな。
「俺は刀を守る四霊の一人、鳳凰だ」
「…先生が?」
「理事長から話は聞いてるんだろ?」
返事の変わりに私は大きくうなづいた。
先生も戒さんと同じだったなんて。
先生が私の顔をじっと見る。
そんな風に誰かに見られたことはないから
なんだかドキドキする。
戒さんもだけど、先生もなかなかにイケメンだ。
こんなイケメンに見られたら
心臓も早くなってしまう。
決して私がイケメンに弱いわけではない!
「似てるな」
「誰にですか?」
「珠枝さん」
「お母さんのこと知っているんですか?」
「まあ、一応オレも四霊の一員だし、ガキの頃は良くしてもらったし」
「そうですか」
理事長以外にもお母さんのことを知っている人がいた。
この村にお母さんがいたことが本当だって
実感できる。
「珠枝さんの作る卵焼きが好きでさ、よく作ってもらった。また食いたい」
「それなら、私同じく作れますよ」
「本当?」
「はい!今度作ってきましょうか?」
お母さんの卵焼きが褒められて嬉しい。
「あ…でも生徒から物をもらうのがバレると面倒だな」
「ここでタバコを吸っているよりはマシだと思うんですけど」
「…痛いとこつくな。あーこのことは絶対に教頭に言うなよ?」
内緒、と人差し指を口に当てる。
そのしぐさがかわいくて思わず笑ってしまった。
「何笑ってんだよ」
「いえ、かわいくてつい」
「かわいいってなんだ…もう二十五のおっさんに向かって言うことじゃないだろ」
「先生二十五歳ですか…もっと若く見えますね」
うるせーと私のおでこにデコピンをした。
最初は教師失格!とか思ったけれど
こんなにかわいい人だと思わなかった。
この人が担任で、しかも四霊の一人だと聞いて少しホッとした。
戒さんみたいな人ばかりが四霊と言われたらちょっと身が持たないと思っていたし。
これで二人、残る四霊も二人。
残りの四霊はどんな人なんだろうか…
「余計なことを言わずにはいられない性格なんですか?」
やれやれと思って時計を見ると
時間はすでに8時になっていた。
ここから学校までは30分もかかるのに!
「もう!戒さんがアホみたいにご飯を食べるからこんな時間じゃないですか!」
「うるせぇ!腹が減ってたんだから仕方ねーだろ!」
この人の辞書にはごめんなさいという文字はないわけ?
むかつく!一発殴ってやりたいけど
そんな時間はない
あわてて家を飛び出してなんとか遅刻は免れた
だけど
戒さんと一緒に登校してしまったがために
クラスのみんなから「戒さんとどういう関係!!」と
集中攻撃にあってしまった。
うう!全部あの男のせいだ!
転校初日くらい、ちゃんとしたかったのに!
☆
「はぁ、戒さんのせいで本当に大変だった」
戒さんとどういう関係?という質問から逃れるように
私は屋上へとやってきた。
四階建ての校舎の屋上は山の向こうまで見渡せる。
こんなにいい風景なのに、他に生徒の姿が見えないのがびっくり
みんなここ知らないのかな。
そういえば、私まだ担任の先生に会っていないな。
なんだっけ、都合があって遅れてくるって言ってたっけ?
それ、教師としてどうなんだろう。
フェンスに寄りかかって空を見上げると
屋上の踊り場から人の影とタバコの香りがした。
「やべっ。見つかった」
私に気づいたその男の人は上半身だけを起こして私を見る。
眠たそうな目に癖のある髪。
白いシャツに臙脂のネクタイ
生徒じゃないよね?先生?
「お前、もしかして一之瀬か?」
「はい、そうです…」
なんで私の名前を知ってるの?
初めて会った人だよね?
「ごめんごめん、俺はお前を知っていてもお前は俺を知らないよな。俺はお前の担任の鳳 翼だ。よろしく」
「じゃあ、今朝用事があるといってHRに出てこなかったのは先生ですか?」
「用事って言うか、眠たくて遅刻したというか…まあそんなところ」
教師としての自覚なさすぎ!
こんな人が担任で私のクラスは大丈夫なわけ?
「あ、でも、私の名前よく分かりましたね?初めて会ったはずなのに」
「一応担任だからな、もらった資料には目を通している。それに…」
そこまで言って鳳先生は立ち上がって
踊り場から下りてきた
目の前に立ってびっくり
すごく背が高い、戒さんよりも大きいんじゃないかな。
「俺は刀を守る四霊の一人、鳳凰だ」
「…先生が?」
「理事長から話は聞いてるんだろ?」
返事の変わりに私は大きくうなづいた。
先生も戒さんと同じだったなんて。
先生が私の顔をじっと見る。
そんな風に誰かに見られたことはないから
なんだかドキドキする。
戒さんもだけど、先生もなかなかにイケメンだ。
こんなイケメンに見られたら
心臓も早くなってしまう。
決して私がイケメンに弱いわけではない!
「似てるな」
「誰にですか?」
「珠枝さん」
「お母さんのこと知っているんですか?」
「まあ、一応オレも四霊の一員だし、ガキの頃は良くしてもらったし」
「そうですか」
理事長以外にもお母さんのことを知っている人がいた。
この村にお母さんがいたことが本当だって
実感できる。
「珠枝さんの作る卵焼きが好きでさ、よく作ってもらった。また食いたい」
「それなら、私同じく作れますよ」
「本当?」
「はい!今度作ってきましょうか?」
お母さんの卵焼きが褒められて嬉しい。
「あ…でも生徒から物をもらうのがバレると面倒だな」
「ここでタバコを吸っているよりはマシだと思うんですけど」
「…痛いとこつくな。あーこのことは絶対に教頭に言うなよ?」
内緒、と人差し指を口に当てる。
そのしぐさがかわいくて思わず笑ってしまった。
「何笑ってんだよ」
「いえ、かわいくてつい」
「かわいいってなんだ…もう二十五のおっさんに向かって言うことじゃないだろ」
「先生二十五歳ですか…もっと若く見えますね」
うるせーと私のおでこにデコピンをした。
最初は教師失格!とか思ったけれど
こんなにかわいい人だと思わなかった。
この人が担任で、しかも四霊の一人だと聞いて少しホッとした。
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これで二人、残る四霊も二人。
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